Yumikoのサバイバル・クッキングレシピ

アイルランド在住の料理家・松井ゆみ子さんから届く、いま作りたい&作ってもらいたいレシピと日々のエッセイ。

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2020 / 10月

“mission impossible” の成功と、お知らせ。

 まずはお知らせから。
 ヒマールさんとのコラボで、レシピ入りのポストカードを作りました。
 ブログでご紹介したレシピですが、写真を少し変えたりしています。
 繰り返して作っていただけるようなレシピを冷蔵庫に貼ったりできますし、おともだちにお送りしたり、活用していただけたら嬉しいです。
 ヒマールさんの製作なので、おしゃれに仕上がっています!
 アイルランドでは、ロックダウン中にカードやお花を送る人が増えたと聞きました。日本でもそうなるといいなと願っています。

 さらに。
 ヒマールのサイトでお気づきになられたかと思いますが、エッセイ本を作っています。アイルランドの最初のロックダウン直前から書き進めていたので、そろそろゴール(出版)を見定めてもいいかなという段になりました。
 本来なら今頃アイルランドで出版していたはずの「お弁当本」が、こういう時期なので見合わせることになっているのですが、エッセイ本はむしろ、こういう時だからこそ読んでもらいたいな、と思いながら書いています。
 アイルランド人のたくましさというか、めげなさ加減、素晴らしいユーモアのセンス(ここが重要!)をお伝えできたら嬉しいです。

 そして余談の「ミッション・インポッシブル」。
 ポストカードは、英語版も作りました。日本語版とはレシピが異なります。アイルランドで販売するのが目的でしたので。こちらももちろんヒマール製作の日本製!
 しかし。ウィルスの影響で、日本からアイルランドへの郵便(船便を除く)はストップしたままなのです。でも、幸いなことにイギリスへの郵便は再開していたので、北アイルランドに住む知人宅に発送してもらうことに。
 無事、到着して安堵するものの、こちらは再びロックダウンに突入。幹線道路にはあちこちにガーダ(警官)が検問を行っており、なかなかに面倒。
 知人は歯の治療で免疫力が低下しているため、感染要注意にあたるので、感染者の増えているカウンティ・ドニゴールを避け、隣県リートリムのガソリンスタンドで落ち合う算段を整えました。が、マークの仕事と重なり、知人とうまく時間が折り合わず、苦肉の策、ガソリンスタンドで預かってもらおう! そんなことしてくれるのかどうか? アイルランドのことだからしてくれそう。お礼にマドレーヌをたくさん焼いて、いざ出陣。
 知人からは「預かってくれた」とメールがあり、安心したものの、どういう状況で保管されているのかはナゾ。
 以前、パブで買ったTシャツが、家に帰ってみたらギネスの大きなシミがついていて、翌日交換してもらったことがあるのですが、Tシャツはギネスを注ぐカウンターの真下に……保管する場所、他にないの??
 そういう良くも悪くもイージーな国ですので、預かっていただいてるのに不安を覚えるのは失礼と思いつつも、小包見るまで心配でした。
 幸いすべては杞憂。そのガソリンスタンドは、荷物の受け取りと保管をサーヴィスのひとつにしていたのでした。おまけに手数料もとらない。お菓子焼いてってよかった。店員さんたち「そんな、いいのに〜」と遠慮しながらも喜んでくれて。焼き菓子、作れると重宝ですよ!

 その大騒ぎの英語版ポストカード、ほんの少しだけヒマールで販売しています!!

 ご贔屓のほどを。

臨場感あふれる荷姿!


再びロックダウンのアイルランドより(チョコ・クリスピーズ)

 初ロックダウンの3月に逆戻りしています。大きな違いは、一度体験済みなので、人々に多少ゆとりが見えることと、学校を開けていること。といっても今はハロウィンをはさんだ休暇中なのですけど。

 3月のロックダウンがゆっくり解かれる夏、市井の人々の緊張も大きく緩み、近所の海岸には人があふれ「いいのか?」と思っていた矢先。ウィルスが「懲りないやつら」とあざ笑っている図が浮かんで悔しい。
 この状況が、すぐに終わると期待するからイライラするのだと思うのです。しばらく続くと観念すれば、心構えも対処方法も変わるでしょう?

 田舎で蟄居生活なので、ロックダウン前も後も、わたしの暮らしに変化はなく、ラッキーというしかありません。
 出かける先も、農場と青空マーケットなので、認められた範囲ですし、何よりソーシャルディスタンスとれまくり。

 今回のロックダウンが始まる前日のラジオ番組で、買い物客に「何を買い置きするの?」とインタビューしていたのですが、ある男性が「パジャマとスリッパ!これっきゃないでしょう、あはははは」と答えていて、超ウケまくりました。いいな〜アイリッシュのこの姿勢!

 こういうときは、買い出ししなくても作れる簡単おやつを。
 拙著「アイルランドのおいしい毎日」でも紹介したのですけど、久しぶりに作ってみてあらためて、こりゃイケる、と思ったので、再度ご紹介します、“チョコ・クリスピーズ”。
 こどものおやつですし、わたしが習ったのも当時こどもだったマークの姪っ子。でも「お!」と気づいたのは、これってグルテン・フリーなんですよね。

【材料】
クッキング・チョコレート 150g
シリアルのライスクリスピーズ 60g

 2ダースほど作れるはずです。
 もっとおいしく、と普通のチョコレートを使うとうまくいかないので、必ずクッキングチョコレートを使ってください。
 湯煎でボウルにいれたチョコをとかし、ライスクリスピーズをまぜます。湯煎のまま作業する方がうまくいきますって思うのは、寒くてどんどん固まっちゃう国にいるからかしら??
 ボウルの底の方からライスクリスピーズをかきまぜると、しゃかしゃかって音がかき氷に似ていて。最後にかき氷食べたのはいつだろう?もう夏の日本は無理っ!な体質になっているので、ずいぶん長いこと近寄っていないし。余談でした。
 オーブン用天板などにオーブンペーパーを敷き、スプーンでチョコをまぜたクリスピーズをすくって置いていきます(一口大。あまり大きいと食べにくいので)。
 わたしのレシピは、チョコをかなり薄くコーティングしているので、サクサク感を楽しんでいただけると思います。ふつうはもっと、がっちりチョコ。
 タッパやガラス瓶に入れれば翌日まではぜんぜんオッケーですが、それを過ぎるとちょっとサクサク感が減っちゃいます。食べきりサイズで作ってくださいね。



エッセイ「鯖」by Yumiko

 アイルランドでポピュラーな魚のひとつがサバ。今日は新鮮なのを見つけて爆買いしました。今、旬を迎えています。
 モーターウエイで魚を買う話は以前しましたけど、同じ幹線道路沿いに、今度は北部ドニゴールの魚売りヴァンが登場!ここから車で1時間ちょっとの距離にあるキリベグスという国内のメイン漁港からの直送です。
 いつもはスライゴータウンに近い場所で販売していて、今日わたしが見つけた(正しくはマークが発見して下見してくれた)場所は初めてのロケーションなのだそう。品揃えは素晴らしく、牡蠣、ホタテからアンコウまで様々。
 わたしの前のお客さんは、アンコウを煮込みにすると言ってたくさん買って行きました。今夜はごちそうね!と声をかけると、ありがとーと笑みを残して去って行きました。魚をちゃんと料理するアイリッシュを見ると嬉しくなるというか、安心します。老婆心。
 次はわたしの番。すごく迷ったけど、とても新鮮なサバを見ちゃったら買わずにいられません。爆買い。7尾と頼んだら、お店の気さくな兄ちゃんが「でかいから6尾でいいと思うよ。食べ過ぎさせたくないからねー」の配慮が気に入りました。ずっと昔、新橋にある老舗中華料理屋さんで、あれこれ注文したら、中国人オーナーが「そんなに食べられないと思うから」って調整してくれて、いたく感心したことがありました。儲けたかったら黙って料理を出してると思うの。でも、残したらもったいないの気持ちが感じられて、その店がさらに好きになったのでした。この魚屋さんも同じ。

 新鮮なサバは軽く小麦粉をはたいて、オリーブオイルでソテーするのがいちばんだと思っています。いいフライパンがあれば、小麦粉を省いてもオッケー。4尾はソテーにして、残り2尾はつみれ汁に。アイルランドに来なかったら、こんな面倒なことは一生しなかったと思う。面倒というと語弊がありますけれど、ちょっと手間がかかる。まだスキルがないせいかな。
 骨を避けてナイフですき身にします。フードプロセッサーを使うと身が細かくなりすぎて、わたしは好きじゃないの。ナイフでたたきにするくらいが、いい食感のつみれになると思います。
 ざっくりしたサバのすき身に、お味噌(麦味噌とか、玄米麹味噌とか、ちょっとエグいタイプ)とチャイブか小ねぎのみじん切りを混ぜ込み、沸騰した湯(昆布を入れて、沸騰する前に出すとさらにおいしくなります)の中に、スプーンですくって落としこんでいきます。サバつみれが浮いてくるまで約5分で完成。最後に醤油を入れて味をととのえたら、素晴らしいつみれ汁に。
 麺を加えるときは、塩少々と砂糖小さじ1(日本ではみりん大さじ1〜2)を足すといい感じのだし汁になります。麺は、そうめんとか細麺うどんが相性ばっちり。もちろんお蕎麦もグー。トッピングに、さらに小ねぎをてんこ盛りしてください。ほうれん草も!

追記。同じつみれをフライパンで焼いてみたら、素晴らしいサバ・バーグになりました。冷めるとちょっと魚臭くなるので、あつあつがおススメです。お弁当とかに入れるのなら、カレー粉などのスパイスを加えるといいかも。

サバのつみれ蕎麦 in アイルランド。


ホットポット/ hotpot

アイリッシュシチューと材料はほぼ同じですが、じゃがいもを煮込まず “ふた”にします。イギリスでポピュラーなスタイルらしく、料理本などにもよく登場しますけれど、うちの食卓にはあまり出てこないなと思って、作ってみました。オーブン焼きしたじゃがいもの表面はカリカリに、シチューに触れていた面は味つきでしっとり。なるほど、2度楽しめる。

煮込み料理にチップスやローストポテトを添える感じですが、調理は一発ですむし。合理的ですね。

アイルランドで「パイ」と名のつく料理で有名なのは、シェパーズパイ(あるいはコテージパイ)、フィッシュパイで、どちらもマッシュポテトをたっぷりのせてオーブン焼きしたもの。パイというと、タルト生地(ショートクラスト・ペーストリーとよばれるビスケット状のもの)やパフ・ペーストリー(ミルフィーユ状のもの)を連想していたので、アイルランドの「パイ」の領域の広さに驚きました。どうやら「パイ」は愛称のようなもので、具材を詰め込んでオーブン焼きしたらパイ。なんでも巣に持ち込む鳥のマグパイ(カササギ)が由来なのではと言われています。なので、パイの具材はなんでもあり。

うちのホットポットは、アイリッシュシチューのオルタナティヴバージョンとして考案いたしました(大げさ)。

「ホットポット/ hotpot」

【材料】多めの2人分
じゃがいも 350g(皮付きで)メークイーン系
たまねぎ 1個
オリーブオイル 小さじ1
マッシュルーム 5個
ラム肉(シチュー用。なければ牛肉で)350g
にんにく 1カケ
にんじん 1本(厚めのスライス)
ターニップ(オプション)にんじんと同量(にんじんと同じくらいにスライス)
セロリ 1本 (スライス)
タイム(できれば生)小さじ1
パセリ(生)みじん切りを小さじ1
シードル(なければ白ワイン)400ml
塩 小さじ 1/2

【作り方】
1.じゃがいもを皮付きのまま、少し芯が残るくらいに茹でてスライス(厚み1〜2センチほど)。
2.たまねぎをスライスし、オリーブオイルで炒め、しんなりしたらマッシュルームを加えて炒める。ラム肉とにんにくを入れて、さらに軽く炒める
3.にんじん、ターニップ(op)、セロリ、タイム、パセリ、塩を足し、シードル(あるいは白ワイン)を加えて30分煮る。
4.耐熱皿などに入れ、上にじゃがいものスライスを並べ、180℃に予熱したオーブンで15〜20分焼く。じゃがいもに焼き色がつけば完成。

*じゃがいもに薄く溶かしバターを塗るといい焼き色に。




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