Yumiko's

松井ゆみ子がアイルランドからお届けする「食」と「音楽」のこと

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2021 / 8月

プラムケーキとパイナップルケーキ

 オーガニックファームのショップでの”小商い”で、定番のケーキです。
 以前ご紹介したシュガーフリーのアーモンドケーキの応用版。手抜きな感じで恐縮ですけれど、最初にご紹介したのはレモンの搾り汁だけのシンプルなもので、これに果物を加えるとぐっと特別感が増すので、ぜひお試しいただきたく。

プラムは皮ごとで大丈夫です。種はとってくださいね! 桃もいいと思いますし、ワインで煮た洋ナシをのせた”ペア&アーモンドケーキ”は、とてもポピュラーな焼き菓子です。これもまた、いろいろな果物でアレンジしてみてくださいね!

 写真のは、初物のプラムをのせました。まだちょっと酸っぱかったので、アガヴェシロップを少し回しかけ、その上にアーモンドスライスをトッピング。アーモンドはから炒りしなくても、焼いている間に香ばしくなるので大丈夫。
 もうひとつの応用版はパイナップル。これは大好評で、売り切れ必須のアイテムになりました。缶詰ではなく、生のパイナップルを刻んで生地にまぜこみ、さらにスライスしたものをトッピングし、アーモンドスライスをちらします。
 難点は、パイナップルが生地になじみにくいのか、少し大きめに刻むと焼きあがったあと、気をつけないと壊れやすいのです。おうちで食べる分には「切る手間が省けた」くらいですみますけれど、どなたかにあげるときはちょっとヒヤヒヤ。アイルランドでは「ちょっと割れちゃってるけど、ごめーん」ですんじゃいますが(笑)。

 どういうわけか、スライゴー界隈では生のパイナップルがとてもポピュラーで、最初はびっくりしました。ニューブリッジでは、大きなスーパーに行かないと買えませんでしたし、いつもたくさんあるというわけでもなし。
 それがスライゴーでは、コンビニのような店でも扱っていましたし、スーパーではほとんど山積み状態。おまけに安いし。
 友人は、家で作るスムーディーのベースにするため、パイナップルは常備。アイルランド北部のキッチン風景としては、かなり不思議な感じです。
 そんな土地柄なので、パイナップルケーキを思いついたわけです。
 アップサイドダウンケーキといって、輪切りのパイナップルと、その真ん中にチェリーの砂糖漬けを飾り、ケーキ型の底にならべ、その上に生地をのせて焼いたケーキがあります。焼きあがったら逆さにして、パイナップルが上にくるので”アップサイドダウン”。これは缶詰のパインを使うようで、おまけにザラメのお砂糖を型にまぶし、焼き上がりがカラメル状態に。チェリーも甘いし、そこそこあま〜いケーキです。
 わたしのパイナップルケーキは砂糖抜き、メープルシロップかハチミツで作るので、さっぱり系です。
 焼き上がりに、アイスクリームをのせていただくのもおすすめ。
 レモンのシャーベットとかも合う気がします。

<編集部より>
松井ゆみ子さんの新刊「アイリッシュネスへの扉」、まもなく発売です!
早ければ今週前半にも印刷所からあがってくる予定。
すでにたくさんの方にご予約でご購入いただき、誠にありがとうございます! 印刷所より納品され次第、発送いたしますので、どうぞあと少しお待ちくださいませ。
特典ポストカード付きのご予約購入は発売日前日8/31まで承っております。ぜひ!


 



ズッキーニのケーキ

 ヒマールのじゅんこ編集長にズッキーニの焼き菓子を作ったと言ったら即「食べてみたーい、作ってみたーい」のリクエストがきました。アメリカのテレビドラマでズッキーニケーキが登場したのだそうで「どんな味なんだろう?」と思われたばかりなのだそうで。
 そろそろ”デッキーニ”状態(日本で見た造語ですが、なかなか言い得ていますね。これを英語で説明すると長くなってインパクトなし。まずズッキーニとよばないし!)で、たくさん消費できる方法は? とレシピを探していて見つけたのがケーキ。しかし以前一度試してみたのですが、いまひとつピンとこない味で。ズッキーニをすりおろすレシピがほとんどで、それも水分をしっかり絞り出す方法。せっかくの水気を捨てるのは忍びなく、そのまま混ぜ込んだせいでしっとりを通りすぎ、味もぼんやり。なんだかなあ……の結果でした。
 最近わたしの中で定着しているズッキーニの下ごしらえは千切り。前にも書きましたけれど、輪切りにしたあとに千切りにすると、切った両端に皮がつくことになり、食感が残せます。きゅうりも春雨サラダにするときなど、この切り方が重宝。
 これでばっちり。と思ったのですけど、膨らまないのよ。オーブンの中ではいい感じでしたけど、外に出したらぺっちゃんこ。で、少し足してみました。奥の手の重曹に加えてヨーグルト。前回は牛乳だったので、生地がゆるくなりすぎたのかも。こういう試行錯誤がけっこう楽しいんですよね~。最終的にうまくいけば、ですが。
 幸い、大成功。かなりの自信作になりました。
 ファームでも販売したのですけど「ズッキーニのケーキ」の名前でひるむ人もいそうなので「チョコ&ミントケーキ、プラス、ズッキーニ」と心理作戦。これもまた成功したようで(笑)。
 味のコンビネーションもぴったりと自画自賛。ミントは庭の野性味あふれる葉で、まるで歯磨き粉(苦笑)。なので使いそびれていたのですが、ぼんやりなズッキーニにはよさそうな気がして。こちらも作戦成功。
 前置きはこのくらいにして。どうぞお試しくださいませ!
 トッピングのピスタチオは、色がきれいなので最近多用していますが、くるみでもアーモンドでもいいですし、なしでもオッケー。ズッキーニを散らすのもいいかも。レモンの皮のすりおろしをまぜこんだり、スパイス足したり、毎度のごとく、アレンジいろいろできそうなので、合わせてお試しくださいね!

「ズッキーニのケーキ」

【材料】*1/2パウンド型
ズッキーニ 150g (そこそこ大きいものを半分くらい)
バター 100g
三温糖 120g
薄力粉  120g
アーモンドフラワー 20g
ココア 大さじ3
ベーキングパウダー 小さじ1
重曹 小さじ1/2
たまご 2個
ヨーグルト 大さじ1
ミントの葉 6枚
ピスタチオ 適量(砕いてトッピング)

【作り方】
1.ズッキーニを薄く輪切りにしたあと、縦に千切り。
2.バターと三温糖を混ぜ合わせてクリーム状にする。(一気に混ぜようとすると、けっこうたいへんですが、少し混ぜてから10分ほど置いておくと、砂糖の湿気で混ぜやすくなります。)
3.2に、薄力粉、アーモンドパウダー、ベーキングパウダー、重曹、ココアを加え、さっくり混ぜ合わす。
4.3にズッキーニ、ミントの葉、ヨーグルトを加えてさっと混ぜ、溶き卵を加えてさっくり混ぜ合わせる。
5.型にオーブンペーパーを敷き(底の部分だけでもオッケー)生地を入れ、砕いたピスタチオをトッピングする。
6.180度に予熱したオーブンで35分ほど焼く。

<お知らせ>
新刊「アイリッシュネスの扉」が9月1日に発売になります!
ただいまヒマールのオンラインストアにてご予約販売を受け付けています。
すでにたくさんの方にお申し込みをいただいていて、心から感謝いたします!
ご予約購入には特典として「レシピ付きポストカード」をおつけしておりますので、よろしければ。
どうぞよろしくお願いいたします!




ズッキーニ

 まずは、9月1日に発売の拙著「アイリッシュネスへの扉」、ご予約販売ですでにたくさんご購入いただいているようで、みなさま本当にありがとうございます! 書店さんからもご注文をいただいていると聞き、とても嬉しく思います。
 発売まであと3週間ちょっと、たのしみにお待ちいただけましたら幸いです。

 さて、元気な夏野菜がファームにあふれ、どれもこれも欲しくなって、毎週末ダンボール箱にいっぱいの野菜を買い込んでいます。
 家庭菜園でも、プロのファームでも、どうしても生産過剰になってしまうのがズッキーニ。成長がとまりません。採れ始めの頃の小ぶりなズッキーニだけ欲しいといっても無理。一旦育て始めたら大きいやつも面倒みないと。
 無駄にならないよう、わたしもせっせと購入していて、おいしい食べ方プラスたくさん消費できる方法を試しまくっています。
 レシピの話に入る前に。このあたりで「ズッキーニ」(イタリア由来)とよんでいるのは、わたしくらい。たいていの人は「クールジェット/courgette」(フランス由来)とよんでいます。アメリカ英語とイギリス英語のちがいのひとつで、理由はどうぞ各自でググってみてください。

 まずは炒めもの。まちがいのない調理法で、なんだかんだいちばんたくさん食べられる気がします。
 写真にあるのは、千切りをオリーブオイルでさっと炒めただけ。味付けは塩と、フライパンが熱くなってきたときに入れたクミンシードほんのひとつまみ。これがいい仕事をしてくれました。一緒に炒めたのは、長ネギの輪切りに見えますが、たまねぎの軸。今の時期はまだ新たまねぎで、茎つき。そろそろ茎は”腑抜け”の状態でスカスカしたものもありますが、使えるものもあり、炒めものやスープに使っています。これは長ネギを使っていただくか、なくてもぜんぜんオッケー。
 塩は、千切りにしたズッキーニにからめておくのがポイント。水分が出てきて、炒める時間をさらに短縮できます。
 切り方は、わたし流ですが、まず輪切りにして(薄くなりすぎず5ミリ強)それを粗く千切りに。そうすると、切り口の上下に皮がつくので食感が保てます。

 今までのズッキーニの炒めものの定番は、ごま油で炒め、最後にすりごまを和える。で、韓国料理のレシピを簡素にしたもの。これも最初に塩をまぶしておいて、余計な水気を絞ってから炒めます。この方法のときは、輪切りか半月。最初に覚えた方法なので今もキープ。確か、元のレシピはガーリックと唐辛子が入っていたはず。韓国料理ですね。
 写真の二品目は、ピカタっぽいですけど、卵多めのパンケーキ。かな? これもまた、ワインのアテにぴったり! ズッキーニ(半分)をわたし流粗めの千切りにしてボウルに入れ、塩、米粉小さじ1ほど、卵1個を加えてまぜあわせます。フライパンにオリーブオイルを熱して生地を入れて焼くだけ。
 エイダンのファームの卵が、すごくヴィヴィッドな黄色で抜群の仕上がりになるのはラッキーなことです~。ズッキーニは卵との相性がとってもいいので、オムレツやキッシュ、フリタッタなどに。和風に厚焼き卵に入れてもいいですね。今度やってみよ。
 塩気を気持ち強めにしたので、何もつけずにそのままでいただけます。が、薄味にして、酢醤油をちょっとつけるのもいいかもしれません。

 ズッキーニのケーキ、材料のひとつを切らせたままなので、すみません! 次回に持ち越し!

ズッキーニの炒めもの。酒のつまみにサイコー。
ピカタ風パンケーキ。米粉は、サクサクした仕上がりになるので、いい感じです。



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