Yumikoのサバイバル・クッキングレシピ

アイルランド在住の料理家・松井ゆみ子さんから届く、いま作りたい&作ってもらいたいレシピと日々のエッセイ。

この画面は、簡易表示です

2020 / 9月

ケール(チップスとパスタ)

 日本では“青汁”の材料として知られるケールは、栄養価が高いので「野菜の王様」の異名があるほど。たくさん食べるにこしたことないのですが、緑野菜好きのわたしも、ついついほうれん草やカラフルなスイスチャードを選んでしまいます。
 毎週、野菜の仕込みに通っているオーガニックファームのボス、エイダンに「ケールが採れすぎで、たくさん使えるレシピを考えて〜」と泣きつかれてだいぶたちました。ペストにしてみたり、カレーはまずまずでしたけど、毎日食べたいレベルに及ばず。
 しかしながら、ようやく「旨っ!」のレベルのレシピができました。

 説明が前後して恐縮ですが、ポピュラーなケールの種類は3つ。青汁にする、葉の縮れた“カーリーケール”の他に、イタリア食材のトースカーナ(ン)ケールは、黒いキャベツの意味の“カーボロ・ネロ”ともよばれ、パスタソースや煮込みに使われます。炒め物にも。
 わたしがいちばん使いやすいと思うケールは、ロシアン・ケール。葉がやわらかく、味わいがあって、おじやのトッピングにしたりしています。
 調理においていちばんハードルの高いカーリーケールは水分が少なく、佃煮にしてみたのですけど、一旦しんなりした葉が、冷めると煮汁の中から直立する有様。
 そんなタチなので、オーブンでからからに乾かしたクリスプス(チップス)はかなり楽しめます。
 葉を一口大にちぎってボウルに入れ、塩とごま油少々を振り入れて混ぜ合わせ、130℃に予熱したオーブンで10分ほど焼くと、紙のようにパリパリに。オーブンは様々なタイプがあるので、温度を限定するのは好まないのですが、要は、100℃のような低温だと時間がかかるし、150℃だと焦げがち。その中間で、焼くというより乾かす感じ。カロリー限りなくゼロのスナックができます。

 そして会心の作はケールのパスタ。
 パスタにすりゃなんでもおいしいんですけど、手軽で栄養とれて、いいじゃん!
 ケールを一口大にちぎり、パスタ(わたしはスパゲッティとの組み合わせが好みですが、なんでも)と一緒に塩茹でします。茹で上がったら、湯こぼしして、オリーブオイル少々をかけて混ぜ、ガーリックペースト(チューブのものでもいいですけど、自家製がおすすめ。すりおろしにんにくとレモン汁を混ぜて瓶詰めしておくと、すごく重宝です)大さじ1と醤油少々、みじん切りしたチャイブ(パセリでもコリアンダーでもオッケー)大さじ1〜2を和えるだけ。ドライドチリをちょっとかけるのがおすすめです。
 や〜、これは毎日食べてもいいな。
 ケールをパスタと一緒に茹でるのが要だと思っています。リゾットに入れたときも、いい具合にしんなりしてくれて、もしかするとスターチ(でんぷん質)がからむことでケールの水分が保たれるのでは??
 科学の部分はググってみてください。台所の実験では「スターチがケールをやわらかくする」と出ているのですが、どうでしょうか?



ハーブのある暮らし(ハーブ・バターとバジル・ペスト)

 お料理雑誌の特集記事のタイトルみたいですけど、この夏に実感していたことなんです。台所にたくさんハーブがあるって、なんて豊かな気分にさせてくれるんだろう、と。今までも、スーパーマーケットでパック入りのハーブはけっこう買っていました。でも、イスラエルやら遠くの国から運ばれてくるものが多く、すぐにぐったり。それが今年は、近所にあるエイダンのオーガニックファームに野菜を注文するときに“bunch of”(超適当な分量!)ハーブを追加してもらっていて、料理がぐっと楽しくなりました。レギュラー陣は、バジル(夏ですから!)、ミント、コリアンダー(わしわし食べられる!アジアっぽい料理には欠かせません、特にヌードル系)。毎週魚を買うようになってからはディルも常連。日持ちするので隔週にやってくるのはローズマリーとタイム。最近レギュラーに加わったのがチャイブ。今の時期にあるのを知らず、たまたまファームで見つけたので「ほしい〜」と言ったらすぐに切ってくれました。定番のパセリ(今はイタリアンのフラットパセリ)が入っていないのを不思議に思われるかもしれませんけれど、さすがに使いきれなくなるので今はお休み。

 ハーブは家で育てるのがいちばんなんですけど、これだけの種類を常に置くのはスペースが要るので台所で育てるのには限界があるし、外で育ちますけど美しいコンディションを保たせるのは簡単ではないので、元気できれいなハーブを毎週入手できるのは、ほんとうにラッキーなことだと感じています。

 摘みたてのハーブは元気で、切り口がきれいなものは水につけておくと根が出てくるのですが、土に入れてだめにしたことが何度もあるので、水耕栽培にとどめて誰かほしい人にあげています。いつか、ハーブ専用の小さなビニールハウスを持ちたいな〜

 ハーブは使い道がよくわからない、という声を聞きますが、わたしもそうでした。アイルランドで料理するようになって、パセリ、タイム、ローズマリーは郷土料理にしばしば登場するので身近なものになりましたけれど、セージやタラゴンなど使いこなせていないハーブは多数。コリアンダーは嫌いな人が多いですけれど、アイルランドで育つものは香りがやわらかくて使いやすいです。わたしはそもそもコリアンダー好きなので、アジア産のがっつり系も問題ないのですが。アジア風の麵ものにはたっぷりトッピングします。幸い夫マークもコリアンダー好きなので、炒めものやタイ風カレーにはてんこ盛り。餃子にも欠かせません。

 フレッシュ・ミントは、お菓子づくりに大活躍。ご存知のようにチョコとの相性がいいので、先日はチョコ味&ミント入りのマドレーヌを作りました。

 ローズマリーもベイキングに最適。タルト生地にまぜこんだり、オレンジマーマレード入りのスコーンにちょこっとまぜたら、いい仕事をしてくれました。

 ハーブは、料理人のイマジネーションを刺激する名脇役たちだと思います。

 レシピってほどではないですが、調理例をいくつか。

「ハーブ・バター」

室温でやわらかくしたバターに、にんにくのすりおろしと刻んだハーブ(チャイブ、ローズマリー、ディルなど)を混ぜ込む。使い方は、トーストしたバゲットにぬる他、魚や肉のソテーにのせるなどお好みで。

「バジル・ペスト」

常備したい便利な保存食。冷凍できます。

<作りやすい分量>
バジルの葉 25g
パインナッツ(松の実) 大さじ1(くるみなどでもオッケー)
レモン汁 小さじ1
オリーブオイル 大さじ1(たいていのレシピはもっと多いと思います)
塩 少々

材料全部をハンドミキサーなどでブレンドするだけ!
ミキサーがないときは、すり鉢でもできます(オイルは最後に)。
塩はブレンドした後に、味見しながら加えてください。

バジルをコリアンダーにしたり(唐辛子との相性抜群)、レモンをライムにしたり、変幻自在です。
パルメザンチーズを入れるのがオリジナルのレシピですが、うちはパスタにするときに最後に加えたり、ダイエット事情で入れなかったり(笑)。
最近は、これにケールをまぜこむ知恵がつきました。かさが増すだけでなく、栄養価もぐんとアップ。
たくさん作り置きすると便利な調味料です。
茹でたパスタにまぜるだけで一品になるし、サンドウィッチのベースにしたり、魚料理のソースにしたり、万能選手。

庭にあった、ウイキョウ(フェンネル)の実を収穫したところで、家の中にいい香りが漂っています。もうね、それだけで豊かな気分。




top