Yumiko's

松井ゆみ子がアイルランドからお届けする「食」と「音楽」のこと

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2020 / 11月

ニシンの酢漬け

 生のニシンを見つけると買わずにいられません。
 冬に向かうほんの短い間だけ、魚屋さんの店頭に並ぶ幻の魚。海のない内陸部では滅多に買えなかったのです。
 北部ドニゴールの漁港キリベグスから売りに来る魚屋さんはここ毎週、新鮮なニシンの切り身を持ってきてくれて超嬉しい。丸ごとも売っているのですが、使いやすいのでつい切り身。
 気に入ってる料理法は、照り焼きと酢漬け。照り焼きは、オレンジマーマレード、醤油、赤ワインに一晩漬け込みます。そんなに長時間浸さなくてもいいんですけど、先攻は一緒に買ったムール貝なので、ニシンは後攻。でも味を落としたくないのでマリネでまったりしていていただく作戦。成功しています。
 今のニシンは小ぶりで身も繊細。ちょっと、うなぎの蒲焼風ほろほろ感があって、たまりません。
 そして酢漬け。ロールモップ(rollmop)とよばれる、ニシンの切り身をくるくるっと巻いた酢漬けが市販されていて好物のひとつなのですが、衰退の一途で心配していたところ、東欧からの移民が増えたためか、リバイバル。ポーランド系の食材屋では必ず買えるのです。
 北欧も酢漬けニシンが特産ですが、ここからアイルランドに移住した女性がオリジナルブランドを立ち上げて話題になり、わたしも愛食していました。バルサミコやマスタード、スターアニスで味付けしたものなど5種類あって、どれもおいしい。現在このブランドはキリベグスの水産業社に引き継がれ、スライゴー界隈ではどこでも買えるので重宝しています。が、今年はコロナが影響しているのか、商品を見かける機会が少なく、がっかり。
 そういうときに見つけた生ニシン。そして酢漬けの簡単レシピを偶然、料理本で見つけたのでした。
 まだ2回しか作っていないので、これはまだレシピとよぶに至りませんが、こんな感じ。

ニシンの切り身 2つ
たまねぎの薄切り 1/2個
 酢(うちはアップルヴィネガー)大さじ2、ワイン大さじ2、はちみつ小さじ1、水大さじ1、塩少々を鍋に入れて火にかける。ふつふつしてきたらニシンを入れて弱火で15分。
 フェンネル・シードをひとつまみ一緒に煮たのですが、いい仕事をしてくれました。スターアニスや、コリアンダーシードなどもいいと思います。
 ガラス容器に移し、冷めたら冷蔵庫で一晩。
 カリカリのトーストにのせて食べたり、サラダに添えたり。

 まだ発展途上で、味がまろやかすぎだったので、食べるときにマスタードをちょっとまぜたらぐっと味が引き締まりました。こういう瞬間が楽しい。

 酢漬けといっても、浅漬けのレベルなので、2〜3日で食べきった方がいいと思います。が、すぐに食べきっちゃうと思います!

 ニシンが手に入らなかったら、小ぶりなアジでもオッケーなはず。

 来週も売ってるといいな〜生ニシン!

*追記です。ニシンは英語でHerring(へリング)。特産のオランダではHaringで日本でもこちらの“ハーリング”で表記されていることが多く、アイルランドでハーリング(hurling)は国技なので違和感が大きいです(笑)。
 アイルランドのニシンは、イギリスと同じくキッパーとよばれる乾物にすることがメインなので、生ニシンがさらに新鮮にうつるわけです。


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エッグ・マヨ

 ときどき無性に食べたくなるのが、エッグ・マヨのサンドウィッチ。
 定番の具材ですけれど、作りたてのエッグ・マヨは、炊きたてごはんで作るおにぎりに似ていると思うのですよね。お弁当などで、冷めた状態のおにぎりが普通ですけれど、炊きたての握りたてのおにぎりのおいしさといったら! エッグ・マヨも同じと言ったら、ほんと?と疑われそうですけど、卵好きとしては、きっぱり断言。同じくらいの“特別感”です。
 茹でたての卵をフォークでくずし、できれば開栓したばかりのマヨネーズを混ぜます。どちらも冷蔵庫に入れたときから劣化すると感じています。劣化はいいすぎかもですが、茹で卵のふんわり感は完全に失われます。マヨネーズも同じで、常温で置かれたものを開栓したすぐ後は、ふんわりしていて市販のものでもけっこうおいしい。
 なにより、エイダンのオーガニック・ファームの卵が上質で、簡単なサンドウィッチをぐっと格上げしてくれる。味が濃厚なのはもちろん、黄身の色が鮮やかで調理するのが楽しくなります。焼き菓子もよくふくらむことに気づいたのは、エイダンのところの卵を切らして、他の卵を使ったとき。以前は地元産だし、フリーレンジだし、気に入っていたのですけど、違いがまざまざ。
 エイダンのところの雌鶏たちは、とてもイノセントで、好奇心が旺盛。マークとわたしが放し飼いになっているエリアの柵越しに見物に行くと、あちこちからわらわらと雌鶏が集まってきて、柵越しに見物されるのはわれわれのほう。ハーレム状態になっている雄鶏は、じろりという感じでこちらを一瞥し、妻たちのうしろで静かに警護している様子。
 ファームには猫もいるのですが、なかよく同居しているんですよね〜

 そしてエッグ・マヨ。
 うちでほぼ必ずまぜるのは、スカリオン(小ねぎ)。たまねぎを入れることもありますが、水でさらしたりの手間が面倒だし、スカリオンの緑色がアクセントになるので気に入っています。
 そしてトマトのみじん切り。タネをとって、なるべく細かく刻みます。プチトマトなら卵2個に対して3〜4個かな。これにパセリのみじん切りが定番。マヨネーズには、マスタードを混ぜ込みます。
 その日の気分で、ケイパーや黒オリーブを混ぜたり、カレー粉を混ぜてみたり。ナツメグか、ドライド・オレガノも合います。でも、あまりいじらないでシンプルな方がマークのお好み。
 食パンを使いますが、エッグ・マヨには全粒粉のものを使うことが多いかな。バターも塗りません。キュウリのサンドウィッチには必須ですが。
 そうそう。エッグ・マヨは即席タルタルソースになります。なんて、みなさんご存知ですよね。これにはケイパーを入れるのがおすすめ。レモン汁を混ぜ込み、パセリもいいけど、ディルやオレガノをふんだんに。
 白身のあっさりした魚のソテーなどに合わせると、すっかりよそいきのエッグ・マヨに変身。


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