生のニシンを見つけると買わずにいられません。
冬に向かうほんの短い間だけ、魚屋さんの店頭に並ぶ幻の魚。海のない内陸部では滅多に買えなかったのです。
北部ドニゴールの漁港キリベグスから売りに来る魚屋さんはここ毎週、新鮮なニシンの切り身を持ってきてくれて超嬉しい。丸ごとも売っているのですが、使いやすいのでつい切り身。
気に入ってる料理法は、照り焼きと酢漬け。照り焼きは、オレンジマーマレード、醤油、赤ワインに一晩漬け込みます。そんなに長時間浸さなくてもいいんですけど、先攻は一緒に買ったムール貝なので、ニシンは後攻。でも味を落としたくないのでマリネでまったりしていていただく作戦。成功しています。
今のニシンは小ぶりで身も繊細。ちょっと、うなぎの蒲焼風ほろほろ感があって、たまりません。
そして酢漬け。ロールモップ(rollmop)とよばれる、ニシンの切り身をくるくるっと巻いた酢漬けが市販されていて好物のひとつなのですが、衰退の一途で心配していたところ、東欧からの移民が増えたためか、リバイバル。ポーランド系の食材屋では必ず買えるのです。
北欧も酢漬けニシンが特産ですが、ここからアイルランドに移住した女性がオリジナルブランドを立ち上げて話題になり、わたしも愛食していました。バルサミコやマスタード、スターアニスで味付けしたものなど5種類あって、どれもおいしい。現在このブランドはキリベグスの水産業社に引き継がれ、スライゴー界隈ではどこでも買えるので重宝しています。が、今年はコロナが影響しているのか、商品を見かける機会が少なく、がっかり。
そういうときに見つけた生ニシン。そして酢漬けの簡単レシピを偶然、料理本で見つけたのでした。
まだ2回しか作っていないので、これはまだレシピとよぶに至りませんが、こんな感じ。
ニシンの切り身 2つ
たまねぎの薄切り 1/2個
酢(うちはアップルヴィネガー)大さじ2、ワイン大さじ2、はちみつ小さじ1、水大さじ1、塩少々を鍋に入れて火にかける。ふつふつしてきたらニシンを入れて弱火で15分。
フェンネル・シードをひとつまみ一緒に煮たのですが、いい仕事をしてくれました。スターアニスや、コリアンダーシードなどもいいと思います。
ガラス容器に移し、冷めたら冷蔵庫で一晩。
カリカリのトーストにのせて食べたり、サラダに添えたり。
まだ発展途上で、味がまろやかすぎだったので、食べるときにマスタードをちょっとまぜたらぐっと味が引き締まりました。こういう瞬間が楽しい。
酢漬けといっても、浅漬けのレベルなので、2〜3日で食べきった方がいいと思います。が、すぐに食べきっちゃうと思います!
ニシンが手に入らなかったら、小ぶりなアジでもオッケーなはず。
来週も売ってるといいな〜生ニシン!
*追記です。ニシンは英語でHerring(へリング)。特産のオランダではHaringで日本でもこちらの“ハーリング”で表記されていることが多く、アイルランドでハーリング(hurling)は国技なので違和感が大きいです(笑)。
アイルランドのニシンは、イギリスと同じくキッパーとよばれる乾物にすることがメインなので、生ニシンがさらに新鮮にうつるわけです。