イースターは、クリスマスと同じくらい大切な祝祭日です。
キリスト教が伝わる以前の習慣を踏襲していて、満月が関わり、毎年イースターのスケジュールが異なります。そのためか、日本ではなかなかイースターをとらえにくいようですね。
冬の間、屋内ですごすことが多かった家畜が、ふたたび放牧されるようになるのがイースターのあたり。子牛や子羊も、寒さがすぎたこの時期に合わせて生まれるよう調整されていて、初夏を迎える頃の牧場には、ミニチュアサイズの牛や羊がいっぱい。うさぎたちも穴から出てきて、野原を飛び回ります。
自然界が再生し、活気が戻ったことを祝う、喜びの日がイースター。わたしはクリスマスよりも、そんなイースターが大好き。冬の長い北国では特に、春の訪れはもうそれだけでお祝いに値します。畑のある人たちは、なおさら。
さて、キリスト教においては、イースターの前40日間、レントとよばれる”がまんの日々”があり、肉食を禁じています。現代においては、そこまで厳しいものでなくなりましたけれど、クリスマスのごちそうの後のデトックスにもなるので、ヘルシーで質素な食事を心がける人は多いのじゃないかしら? 魚はまだまだ旬ですし。
レントは常に水曜日から始まるのですが、その前日、パンケーキ・チューズデーとよばれるアイルランドでは誰もが大好きなしきたりがあります。今年は2月17日からレントが始まるので、パンケーキ・チューズデーは2月16日。
そもそもは、レントの前、家の中にあるタンパク源(卵と乳製品)をすべて使い切るのが目的だったそう。そのために作るのがパンケーキなんです。なかなか合理的。
ケルティックタイガーとよばれた好景気以前、パンケーキはレントの前に食べるものときっちり位置づけされていたそうです。ゲストハウスの朝食や、カフェのメニューにパンケーキが登場するようになったのは、ぐっと最近のこと。
今やすっかりポピュラーな食べ物になっていますが、それでもレントの前に食べるパンケーキはまだまだ特別なもの。
アイルランドのトラディショナルなパンケーキは、クレープよりやや厚めですが、日本のホットケーキに比べるとぐっと薄めです。
大雑把なレシピで恐縮ですが、薄力粉カップ1に対して、卵1個、牛乳1カップ強(280ml)。お砂糖もベーキングパウダーも入れません。お砂糖は、焼きあがったものにグラニュー糖をぱらぱらっとかけます。その前にレモンの絞り汁をかけて。
わたしは昭和の、ホットケーキで育った世代なので、ついついパンケーキが分厚くなっちゃうんですよねー。
アイルランド式パンケーキは、下の写真をご参照ください。
ニューブリッジにあったお気に入りの大衆食堂のパンケーキです。王道。
毎年食べに行ってました。マークは毎回「おかわり」して。
あ、これは伝統。「パンケーキ、何枚食べた?」は、日本でいうと元旦にお餅を何個食べた?と同じで、お決まりの確認事項です。
そしてわたしは思い切り邪道(シェフのドニー、そんなこと言ってごめんなさい!)な、ピリ辛ミートソースを巻き込んだトルティーヤ風が超お気に入りでした。
去年は引っ越しのばたばたで、食べたのかどうかも忘れてしまいましたから、今年はリキ入れて作るぞー。