Yumiko's

松井ゆみ子がアイルランドからお届けする「食」と「音楽」のこと

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sweet things

進化するレシピ/アップルケーキ

 ちっともレシピをアップしなくてすみません〜〜
 本日も少々手抜きですが、ひさびさの焼き菓子です。
 拙著「アイリッシュネスへの扉」のおまけレシピ、作ってみました? りんごの季節到来なので、ぜひお試しくださいね!
 そしてこれは「進化」したアップルケーキ。最近はこのバージョンで作っています。手順はほとんど変わりませんが、ポイントはアーモンドフラワーを加えて味に奥行きが出たこと。りんごをたくさん入れているところ。
 なんせ庭でじゃんじゃん収穫できてしまうので、なるべくたくさん消費できるレシピというのが重要なんです。たくさん入れると、ごろごろして焼き上がりが心配でしょう? ところが!
 生地の中で案外小さくなるし、ケーキ自体がりんごでしっとりするし、甘みもでてきて大成功。りんごはヘルシーですしね。たくさん入れましょう。
 紅玉1個としていますが、どのくらいの大きさだったか忘れているので(苦笑)、試しに1個からはじめて、まだいけるな、と思われたら、増やしてください。
 生地が増えすぎちゃったら、型を大きくしてたくさん召し上がってくださいませ〜。

 以下の分量にココア大さじ2を、粉類をまぜるときに加えて、チョコレート味にするのもいいですよ〜。ファームショップでは、まずチョコ味から売れます(笑)。
 まだやってないんですけど、チョコ味のときはレーズンをラムなどに漬け込んでおくと合うのじゃないかな。ナッツはほぼ必須。超合いますから。

 三温糖をはちみつやメープルシロップにする場合。
 分量は40gほど。手順はバターを湯煎で溶かしてはちみつをまぜ、卵を入れるタイミングでまぜこんでください。ちょっとふくらみにくくなるかもしれません。そしたら次回は、ベーキングパウダー小さじ半分、重曹小さじ半分で作ってみてください。解消できるはずなんだけどなー(と、またもや乱暴な料理人の発言)。

「アップルケーキ進化系」

最近のアップルケーキの体裁はこんな感じ。丸型にするときもあります。ポイントはりんご多め、トッピングでなくまぜこむ。

【材料】 1/2 パウンド型
バター 60g
三温糖 60g
薄力粉 100g
アーモンドフラワー 20g
ベーキングパウダー 小さじ1
シナモン 適量
レーズン 適量
紅玉 1個
卵 1個
*牛乳(オプション)生地が粉っぽいようでしたら少し。
*くるみ、アーモンドをまぜたり、トッピングすると食感が楽しめます。

【作り方】
拙著の付録とほぼ同じです。少し変えているのは、りんごをざく切りにして、生地にまぜこむところ。 
1.バターと三温糖をクリーム状にする。
2.粉類、レーズン、ざく切りにしたりんご(5センチ四方✕1〜2センチの厚みくらい。大きさは不揃いの方が食感をいろいろ楽しめます)、卵を加えてさっくりまぜ、粉っぽいようだったら牛乳でととのえてください。
3.アーモンドをちらし、180℃に予熱したオーブンで30〜40分ほど焼けば完成。

追伸
ヒマールのツイッターで紹介していただいたわたしの音楽コラム ”クラン・コラ”というメルマガでも掲載されています。充実の執筆陣ですので、ぜひご購読を。無料です〜〜

【追加情報】
新刊O’Bento、アイルランドにお住まいの方は以下の書店で販売しています。
今のところ国内のみ郵送してくれます。
価格は24ユーロ(送料別途ですが、5ユーロ以下と思います)
Liber bookshop Sligo
071-9142219
info@liber.ie
オンラインショップは liber.ie
bookという項目の中の Food&Drinkをクリックすると料理本が出てきます。
拙著は2ページ目に。表紙をクリックすると内容とともにカートが出てきます。
どうぞご利用くださいませ!



米粉のケーキ

ついに完成、”米粉のケーキ”レシピ!
なかなか使いこなせないでいた米粉ですが、初めて満足のいくケーキが焼けたので、レシピをお伝えしたいと思います。
これは、シュガーフリー、グルテンフリー、デイリー(乳製品)フリーの三拍子そろった”ギルティフリーケーキ”。
連休中にお試しくださいね!

「米粉のマーマレードケーキ」

【材料】1/4パウンド型
米粉 60g
ベーキングパウダー 小さじ1/2強
オリーブオイル 30g
メープルシロップ 40g
無糖オレンジマーマレード 大さじ1
卵 1個

【作り方】
1.米粉とベーキングパウダーを混ぜあわす。
2.オリーブオイル、メープルシロップ、マーマレード、卵をよく混ぜあわせて1に加え、さっくりと混ぜる。
3.型に油をひくか、オーブンペーパーをしき、生地を入れる。
4.170℃に予熱したオーブンで30分ほど焼く。

★出来心で、コリアンダーを少し刻んで混ぜてみました。思ったほど味に影響はなく、ほんのり若草色が加わってきれいでした。ミントとかローズマリー、シャービルなど、生のハーブを少し混ぜてみると楽しいと思います。
★抹茶を入れてみたのですが、ちょっとドライな仕上がりになっちゃいました。

米粉は、さっくりした焼き上がりになるので、果物やヨーグルトなどを加えるといいと思います。あー、抹茶にも、生クリームとか足せばよかったのかな。また試してみます〜。



シュガーフリー/デーツのトラッフルとゴマ・ビッキー

 シュガーフリー・スウィーツ第3弾!
 小さなお菓子なので2品ご紹介しますね。

 日本では「トリュフ」とよびますが、こちらでは”Truffles(トラッフル)” 。ふつうは生クリームを使ったガナッシュにココアパウダーをまぶしますが、デーツとナッツを使ってみました。遜色なし! ぜひお試しください。
 料理用のダークチョコレートには若干の砂糖が含まれていて、完全なシュガーフリーとは言えないのですけれど、かなり「微糖」です。

 もう1品は、ゴマ味のビスケット。”ビッキー”はビスケットの愛称です。
 米粉とすりゴマでサクサクの仕上がりになりました。練りゴマでも大丈夫だと思います。

「デーツのトラッフル」

【材料】約10個分
デーツ 3個 タネをとってつぶす
*ソフトなタイプを使いました。しっかり乾燥したタイプは20分ほど水かお酒に浸してやわらかくしてみてください。代用以上の材料は、いちじく(乾燥)。
レーズン 大さじ1ほど きざむ
ウォールナッツ 3〜4個 きざむ
ダークチョコレート(料理用)50g
無糖ココア 大さじ1
無糖マーマレード 大さじ1
*St.Dalfour社のThick cut Orange Spreadを愛用しています。日本でも入手可能。

【作り方】
1.チョコレートを湯煎で溶かす。
2.デーツ、レーズン、ウォールナッツを混ぜあわせ、チョコとマーマレードを混ぜこむ。
3.スプーンでプチトマト大に丸め、ココアをまぶす。常温で10分ほど休ませればできあがり。
*べたべたするので、最初はスプーンでまとめるのがラクだと思います。最後は指で整形。

「ゴマ・ビッキー」

【材料】 約12個分(直径5センチほど)
米粉 80g
*薄力粉でもできますが、米粉やグルテンフリーフラワーが、サクサク度を高めます!
バター 20g
すりゴマ 大さじ1
ピーナッツバター 大さじ1
はちみつ 40g

【作り方】
1.米粉とバターをそぼろ状に混ぜあわす。
2.すりゴマを加えて混ぜあわせ、ピーナツバターとはちみつを混ぜこむ。
3.生地を手で丸め、オーブンペーパーを敷いたベーキングトレイにならべる(大きさはお好みで)。フォークで押して平たくする。
4.予熱180℃のオーブンで15分ほど焼けばできあがり。

★ごま味でないものを作られる場合は、バターを30gに増やしてピーナッツバターとすりゴマを省いてください。バリエーションはおまかせします〜!



シュガーフリー/ハニー&チョコケーキ

 シュガーフリースウィーツ第二弾!
 お待たせしました、ハニー・ケーキのレシピです。
 はちみつを使ったケーキ、かなりおいしいです。はちみつ自体が重たいので、少しむっちりした仕上がりになりますけど、味わいがあって、すっかりハマっております。ただいまクッキーを試作中。米粉を使用したサクサクのクッキーができそう。レシピ、しばしお待ちくださいませ。
 アーモンドフラワーをしばしば使っていますが、味に奥行きが出るのと、焼き上がりにボリューム感が出るので気に入っています。が、使わなくてもできますので。その場合、以下の薄力粉の分量を60gにしてお作りください。マンゴーを入れてみましたが、りんごや洋梨、ブルーベリーなども合います。でもマンゴー、いい仕事をしたので試してみてください。切り方はネットなどで確認してくださいませ。

「ハニー&チョコケーキ」

【材料】1/4パウンド型
バター 30g
はちみつ 50g
薄力粉 50g
アーモンドフラワー 10g
ベーキングパウダー 小さじ1/2
ココア(無糖)大さじ1
卵 1個
マンゴー(オプション) 1/4個ほど 細かいさいの目に切る

【作り方】
1.バターとはちみつを湯煎で溶かす。
2.薄力粉、アーモンドフラワー、ベーキングパウダー、ココアを混ぜ合わせ、マンゴー、卵を加えてさっくり混ぜる。
3.1を加えてさらに混ぜ合わせて型に入れる。
4.180℃に予熱したオーブンで30分ほど焼く。

*若干焦げやすいので、色づきが早まるようならオーブンペーパーなどで覆ってください。
*1/4パウンド型が使いやすく、ここでも使用していますが、1/2パウンド型や1パウンド型を使われる場合、はちみつの分量を倍増するのは勇気が要ると思いますので、1/2パウンド型ならはちみつ70g、1パウンド型なら120gくらいにしてみてください。甘みが足りないと思われたら、召し上がるときにはちみつをかけてください。大雑把で恐縮ですけど、はちみつは重たいので、たくさん入れると膨らみにくくなってしまうので。



バナナブレッド

 ロックダウン中、アイルランドの家庭でたっくさん作られたのがバナナブレッドなんですって。夫マークがラジオかなんかで仕入れた情報なので、真相はわかりませんけど、さもありなん。誰もが好きな焼き菓子で、簡単に作れるし。バナナが入ってることでヘルシーな感じもしますしね。
 おいしいのが買えるので、今まで家で焼こうという気にならなかったのですけど、こういう状況なので手作りするようになりました。
 以下、久しぶりのちゃんとしたレシピです! が、いつもの通り「失敗しないので」。

バナナブレッド

これは1/4パウンド型を使用。右がアーモンドパウダーなしで焼いたもの。左はありで、左下のちょっとへこんでる部分はバナナ!(笑)

【材料】1/2パウンド型ひとつ分
薄力粉 80g
バター 50g
ベーキングパウダー 小さじ1
三温糖 60g
アーモンドパウダー 大さじ2(オプション)
バナナ 1本
たまご 1個
プレーンヨーグルト 大さじ1
ウォールナッツ(くるみ) 3〜4個(砕く)

【作り方】
1.薄力粉とバターを手でそぼろ状態にまぜあわせる。
2.1にベーキンパウダー、三温糖、アーモンドパウダー、ウォールナッツ(くるみ)を加えてまぜる。
3.バナナをフォークなどであらくつぶし(つぶしすぎないのがわたし流。半分を完全にマッシュし、半分を刻む感じ。その方が焼き上がりを食べるときに「あ、バナナ」という食感が残って楽しいです)2に加える。さらに、たまご、ヨーグルトを加えてよくまぜあわす。
4.生地を型に入れ、180℃のオーブンで40分ほど焼く。

★ココナッツ味のヨーグルトを入れることもあり、これがまたよく合うんですよね〜。なので、ココナッツミルクをちょっとまぜたり、乾燥ココナッツをまぜるのもいいと思います。
★アーモンドパウダーを入れると、さらにしっとり仕上がるので、最近気に入っております。が、カロリーは若干増えますので悪しからず。



ミンスパイ始めました

 アイルランド人にとって、クリスマスは日本のお正月と同じで大きな年中行事です。パブが閉店するのは1年でこの日だけ(今年は超例外で閉めてることが多かったですけど)。以前はもう1日、イースター前の金曜日もパブは閉めなければならなかったのですが、こちらは去年からオープンが許されるようになったばかり。
 クリスマス前後のロックダウンは、国民の喜びと希望を失わせると配慮されたのか解除されました。でも、鎮静している状況ではないので、クリスマス後はまたロックダウンかも?と腹をくくりながらの奇妙な12月です。

 さて、通常ならば今頃は、クリスマスに向けて台所が忙しさを増すとき。
 うちはマークと2人暮らしなので、作り控えが必須。マークに「絶対食べたいのは何?」と確認するのですが、いつもトップリストはミンスパイ。オッケー、わたしも食べたいし。
 初めてミンスパイを食べたのは、マークの姉の家でクリスマスディナーをふるまってもらったとき。食後はお腹ぱんぱんだったのに、夜も更けてくる頃にはまた小腹がすいてきて……というときに登場したのがミンスパイ。オーブンから直行で、パイ型から直接サーブしてもらったような記憶が。かれこれ20数年前のことです。
 義兄は料理上手で、パイの中身ももちろんお手製。姉はパイ生地づくりが上手で、ふつうはショートクラスト・ペーストリーとよばれるビスケット生地を使うのですが、フランスにいたこともある姉のパイ生地はミルフィーユに近く、ほろほろさくさく、おまけにあつあつでおいしいのなんの。
 ミンスミートとよばれるパイの中身は、レーズンなどの干した果物、ナッツ、レモンやオレンジの皮としぼり汁、そしてたっぷりのお酒をしみこまた“餡”で、いつもわたしは“月餅”に似ているかなと思うのですよね〜。
 ミンスパイはイギリスの伝統菓子で、十字軍の遠征で中東の食べ物を元に作られたといわれています。もともとは羊肉が使われていたらしく、マークの友人も「うちのは牛ひき肉が入ってた」と言っていて、中東の羊肉を使ったパスティラのようなパイが、イギリスに渡ったのかな。
 わたしの中では月餅なんですよね〜(笑)。
 シルクロードの産物なのかもしれないと思うと、「食」ってロマンがいっぱい!

 ミンスパイの中身は日持ちするので、10月あたりに作るそう。わたしのレシピは拙著「家庭で作れるアイルランド料理」(河出書房新社)に紹介しているので、チェックしてみてください。アイリッシュの家族、友人知人にお褒めいただいております。ひとつ注釈!ミンスミート(パイの中身)12個分とありますが、作りやすい量ということで、拙著の分量だと36個作れます!

 今年は、差し上げたい人がたくさんいるので、早々に作り始めました。
 フードプロセッサーを使わないので、レーズンをちまちま刻むのが少々面倒ですけど、単純作業はきらいじゃないのでそれなりに充実。すでに6ダース焼いて、リムリックに住むマークの姉には郵送してみました。
 翌日届いて、すぐに写真とメールが送られてきて「郵便配達の人が、“まだこういうことする人がいるって、いいね〜”って感心してた」そう。さらに姉の記述に愕然。「こどもの頃、母の妹がケリーからニューブリッジにターキー郵送してきたのよ〜。包みにちょっと血が滲んでたりして」って、え?生の??他の郵便物に支障はなかったのだろうか??

 明日作る分は、隣県ドニゴールに住む兄に送る予定。
 ミンスパイはちっちゃいけど、食べ応え充分。ワインにもウィスキーにも合う大人のお菓子です。



再びロックダウンのアイルランドより(チョコ・クリスピーズ)

 初ロックダウンの3月に逆戻りしています。大きな違いは、一度体験済みなので、人々に多少ゆとりが見えることと、学校を開けていること。といっても今はハロウィンをはさんだ休暇中なのですけど。

 3月のロックダウンがゆっくり解かれる夏、市井の人々の緊張も大きく緩み、近所の海岸には人があふれ「いいのか?」と思っていた矢先。ウィルスが「懲りないやつら」とあざ笑っている図が浮かんで悔しい。
 この状況が、すぐに終わると期待するからイライラするのだと思うのです。しばらく続くと観念すれば、心構えも対処方法も変わるでしょう?

 田舎で蟄居生活なので、ロックダウン前も後も、わたしの暮らしに変化はなく、ラッキーというしかありません。
 出かける先も、農場と青空マーケットなので、認められた範囲ですし、何よりソーシャルディスタンスとれまくり。

 今回のロックダウンが始まる前日のラジオ番組で、買い物客に「何を買い置きするの?」とインタビューしていたのですが、ある男性が「パジャマとスリッパ!これっきゃないでしょう、あはははは」と答えていて、超ウケまくりました。いいな〜アイリッシュのこの姿勢!

 こういうときは、買い出ししなくても作れる簡単おやつを。
 拙著「アイルランドのおいしい毎日」でも紹介したのですけど、久しぶりに作ってみてあらためて、こりゃイケる、と思ったので、再度ご紹介します、“チョコ・クリスピーズ”。
 こどものおやつですし、わたしが習ったのも当時こどもだったマークの姪っ子。でも「お!」と気づいたのは、これってグルテン・フリーなんですよね。

【材料】
クッキング・チョコレート 150g
シリアルのライスクリスピーズ 60g

 2ダースほど作れるはずです。
 もっとおいしく、と普通のチョコレートを使うとうまくいかないので、必ずクッキングチョコレートを使ってください。
 湯煎でボウルにいれたチョコをとかし、ライスクリスピーズをまぜます。湯煎のまま作業する方がうまくいきますって思うのは、寒くてどんどん固まっちゃう国にいるからかしら??
 ボウルの底の方からライスクリスピーズをかきまぜると、しゃかしゃかって音がかき氷に似ていて。最後にかき氷食べたのはいつだろう?もう夏の日本は無理っ!な体質になっているので、ずいぶん長いこと近寄っていないし。余談でした。
 オーブン用天板などにオーブンペーパーを敷き、スプーンでチョコをまぜたクリスピーズをすくって置いていきます(一口大。あまり大きいと食べにくいので)。
 わたしのレシピは、チョコをかなり薄くコーティングしているので、サクサク感を楽しんでいただけると思います。ふつうはもっと、がっちりチョコ。
 タッパやガラス瓶に入れれば翌日まではぜんぜんオッケーですが、それを過ぎるとちょっとサクサク感が減っちゃいます。食べきりサイズで作ってくださいね。



トライフル/trifle

アイルランドではクリスマスのデザートとして定着している、イギリス発祥のお菓子です。500年以上前の料理本に紹介されていたというのは、最近まで知らなかった。スポンジケーキを果物やゼリーなどと何層にも重ねて、カスタードで蓋をし、シェリーなどの洋酒を注いで全ての具材を封じ込めた不思議なデザートです。
trifleには“くだらないもの”という意味もあり、気の毒な命名のお菓子ですが、きらいと言う人はいるのか?と思うくらい、万人に愛されています。クリスマスのデザートと思っていましたけど、スーパーマーケットでは年中売られていて、売れ行きもコンスタント。日本で、冬のおやつの“おしるこ”や“ぜんざい”が年中食べられるのと同じかもしれません。
定番スタイルは拙著「家庭で作れるアイルランド料理」におさめていますが、スイスロールとよばれるジャムをまきこんだロールケーキをスライスしたものの上に果物(缶詰が主流になっていました)、ベリー系のゼリーをぐずぐずにこわしたものと重ね、カスタードクリームでふたしてシェリー酒をふんだんに注ぎ、一晩置きます。食べる前にホイップした生クリームをトッピング。各自にサーブするときも、ざっくり大さじですくって、いただくときも、ぐずぐずにくずして。
trifle のもうひとつの意味はここか?

レシピというよりは、コンセプトをご紹介しますので、いろいろ試してみてください。ものすごくポテンシャルなデザートだと思うので。
形状の一例だけ、写真でご紹介しておきますので!

以下、こんなのありかも?を羅列しておきます。

「アイリッシュウィスキー・トライフル」

出ました、アイリッシュウィスキー!大人限定です。
グラスの底にフルーツケーキ。市販のもので大丈夫。果物は、できれば洋梨やりんごをお砂糖で煮たものを刻んで。生ならハチミツをからませて。
ブルーベリーやパイナップル、すぐに召し上がるならバナナもいいですね。
で、カスタード部分は、市販のカスタードプリンをぐずぐずにくずしてのせる。
即席バージョンです。で、ウィスキーを注ぎます。15分くらい置いて、ウィスキーがケーキにしみこんだら、ホイップした生クリームかアイスクリームをのせて召し上がれ!

「ベイリーズ・トライフル」

ベイリーズはアイルランド特産のリキュールで、クリームとウィスキーで作られた甘いお酒。お菓子づくりにすごく重宝です。スポンジケーキやアイスクリームの上に注いだだけで高級デザートになります。
でも、トライフルバージョン。
やはりベースはフルーツケーキで、果物も上記ウィスキーと同じようなラインアップで。甘くない果物のほうがいいかもしれません。
カスタードプリンのかわりに、クリームチーズかアイスクリームをのせてみてください。ベイリーズにすごく合うので。で、ビターなチョコレートをちらして。

「お酒を飲まない方や、お子様向けに」

スポンジケーキと果物の上に、甘みをつけたレモンの絞り汁をしませてみてください。要は、ケーキにシロップ(お酒も含めて)がしみこんで、ずぶずぶしたのがおしいんです。ティラミスも同じコンセプトといえると思います。
チョコ風味のスポンジケーキに濃いコーヒーをしみこませて、パッションフルーツをのせて、カスタードプリンでふたして、ビターなチョコアイスをのせるとか。

きりがないので、あとはみなさまに丸投げ!



キャロットケーキ/ carrot cake

不動の王道焼き菓子。国民みんなが好きにちがいない。

友人宅で作るのを手伝ったとき、にんじんの皮むきをひたすら続けた。こんなに使うんだ!が、まずびっくり。焼き上がりのしっとり、おいしいのにまたびっくり。量の多さにまたびっくりだったので、これは少数家族向きのバージョン。小麦粉1パックとか、書けませんもん。

「キャロットケーキ/ carrot cake」

これはミニパウンド型を使って焼いてみたもの。ふつうのパウンド型はお好きな厚みにカットしてどうぞ。

【材料】1/2パウンド型 1本分
にんじん 150g
小麦粉 130g
ベーキングパウダー 小さじ1
重層 小さじ1/2
三温糖 50g
シナモン 適量
卵 2個
オリーブオイル 100ml
ウォールナッツ 30g
レーズン 大さじ1

【作り方】
1.にんじんを粗くすりおろす。
2.小麦粉、ベーキングパウダー、重層、三温糖、シナモンとにんじんをまぜあわせる。
3.2に溶き卵、オリーブオイルを加えてさっくりまぜわせ、ウォールナッツ、レーズンも混ぜ入れた後、型に流し入れる。
4.190℃に予熱したオーブンで25分ほど焼く。

★アイシングがポピュラーなトッピングだけれど、わたしはヨーグルトに少しハチミツを加えたもので。ちょっとにんじんをトッピングにあしらうとかわいい。クリームチーズをのせたりすることもあり。トッピングはお好みで。小麦粉に全粒粉をまぜるのもいいですね。



ブラウンブレッド/ brown bread

アイルランドの伝統的な小麦全粒粉でつくるパン、ブラウンブレッドは、イーストを使わずに重曹と発酵した牛乳「バターミルク」で作る簡単かつ健康的なパンです。

バターミルクは、牛乳のうわずみ(バターのもとになるクリーム部分)のすぐ下のあたり。アイルランドでは、ブラウンブレッドを作るためのバターミルクが市販されていて、どこでも容易く買えますが、日本ではなかなかに困難。ですが、ヨーグルトで代用ができます。びっくりするほど簡単に作れますが、そこからが「伝統」の始まり。各家庭のお母さんたちが「うちの味」を作り上げて、こどもに伝承していくのです。

夫の実家ヌーナン家の味は、マークが引き継ぎました。わたしは嫁として継いでいくべきなのですけど、追求心が旺盛すぎて、いまだに自分のブラウンブレッドがつかみきれていません。あ、ふつうにというか、かなりおいしいです、念のため。でもいつも「ああしてみよう、こうしてみよう」が先に立って「これが、わたしの味」って決められないのよね〜。最近凝っているのは、近海でとれる海藻を乾燥させたものを混ぜ込むこと。

アイルランドに来始めて30年! ずいぶんたくさんのブラウンブレッドを食してきましたけれど、数年前にマークの親戚の作ってくれたものは「え、何この味??」と分析不可能なおいしさで、アイリッシュブレッドの奥の深さに愕然。ゆっくり検証して、後日確認してみたら糖蜜がキーポイントでした。

小麦粉もいろいろあるので、どれを使うかでスタイルが決まります。
小麦全粒粉といっても、粗挽きや古代小麦のスペルト、ブラン(ふすま)を加えるのか、オーツ(オートミール)を加えるのかで食感もぐっと異なってきますし。

正解はありません。そこがアイリッシュ。あなたは、どこを目指し、どこに着地するのか。あなた次第。この国のパンづくり(どの国も同じかもしれないけど)は哲学です。

ハードル上げちゃいましたけど、もとい。簡単にできるパンです。
ぜひトライしてみて、さらに “自分の味” に近づけてみてください!

「ブラウンブレッド/ brown bread」

ローフはブラウンブレッド、スライスは甘いバージョン。
ブラウンブレッドにアイリッシュチェダーのっけ。ワイルドガーリックがよく合います。
甘いバージョンをさらに進化させたもの。三温糖を小さじ2から1に減らし、オレンジマーマレード大さじ1を加えました。しっとり仕上がるみたい。ぜひお試しを。

【材料】1/2パウンド型 1本分
小麦全粒粉 160g
薄力粉 20g
重曹 小さじ1/2
三温糖 小さじ1(お好みで)
塩 (上質な海塩) 小さじ1/4
ヨーグルト 大さじ2
水 大さじ6
牛乳 大さじ2

【作り方】
1.オーブンを予熱180℃にする。
2.粉物をすべて混ぜ、次に水気もの(ヨーグルト、水、牛乳)をまぜあわえて加える。
3.型に流し込み、予熱したオーブンで30分焼く。
4.オーブンから取り出したあと、15分ほど置いて型から出す。

*オーブンによって、焼き時間は若干異なります(引っ越したての今の家のオーブンは、20分で焼けてしまうんです〜ほんとか??と心配で、余熱で10分置いておいたりしたのですが、どうもここは20分で焼けちゃうよう)。なので、オーブンから取り出したら一応、パンに竹串を刺してみて、すっと生地がついてこない状態だったら焼けてます。さらに型から出して、底をぽんぽんとたたいてみて、乾いた、いい音がしたらさらに安心。もしも心配だったら、オフにしたオーブンに5分ほど入れておくと安全です。あるいはスライスしてみてください。

★甘いバージョンは、上記の材料の小麦全粒粉160gと薄力粉20gを、薄力粉オンリーで180gにし、三温糖を小さじ2に。レーズンなどのドライフルーツを大さじ1〜2加えるのが異なるだけで、あとの材料もプロセスも同じです。ほんのり甘く、ブラウンブレッドとは一味ちがう仕上がりになるので、お試しください。

[Ingredients} Makes  1/2 pound tin 1
Wholemeal wheat flour  160g
Plain white flour 20g
Baking soda 1/2 teaspoon
Raw cane sugar 1 teaspoon (OP)
Natural  sea salt  1/4 teaspoon
Plain yoghurt  2 tablespoon
Water  6 tablespoon
Milk 2 tablespoon

1.Preheat oven to 180℃.
2.Mix flour, baking soda, sugar, salt. Then mix yogurt, water, milk, add to mixed flour. Combine well.
3.Put it into a tin, bake for 30min.
4.After taking out from the oven, leave for 15min then take the bread out from the tin.

★You can make sweet bread too. Just change the flour and amount of sugar.
Plain wheat(or Spelt) flour  180g
raw cane sugar 2 table spoon
dried fruit like raisins  1~2 table spoon
omit salt

Stay safe & keep healthy !!
Yumiko




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