グースベリー

 毎年、初夏の楽しみのひとつがグースベリー。日本ではなじみの薄い食材ですが、アイルランドでもごく短い間しか市場に出回らないので、ここ数年はずっと買いそびれていました。他国から輸入されるので、いちごやブルーベリーはもちろん、野生のブラックベリーでさえ通年手に入るようになり「旬を迎えたこの季節にしか食べられない」のは、ルバーブとグースベリーだけなのでは?と感じています。
 そんな希少なグースベリーが旬を迎えました。おまけに田舎暮らしのおかげで収穫のお手伝いをする機会にも恵まれたので、その顛末含め、どんな風に食べるのか?などをお伝えいたしますね。

 おなじみエイダンのオーガニックファームで知り合いになったご夫婦は、マナーハウスでゲストハウスを経営。ロックダウンでセミ・リタイア状態なのだそうで、広大な敷地内の果樹園にあるフルーツを「無駄にしたくないから」と、エイダンのファームに”寄付”しています。去年の秋は、わたしにも「お菓子にしてね」と段ボール箱いくつものりんごをくださって。今度はグースベリー。摘むのに手がかかるので、マークとわたしが二つ返事でお手伝いに駆けつけた次第。お屋敷を見てみたかったのも大きな理由でした。
 ワイルドなウッドランドの中に建つ美しいマナーハウスに感嘆。泊まってみたかったな〜。

 庭というより森、の奥にある果樹園に向かうと、たわわに実をつけたグースベリーの低木が数本。となりには同じ種属のレッドカラントが何本か並び、そろそろ色づき始めていたので「次はこれ」と狙いを定める自分は、まるで鳥みたいですね。
 ずっと以前、パリでランチしたときに、サラダの上にちらしてあったレッドカラントにいたく感動して以来、真似したいのですけれど、これもまたあまり流通しない食材のひとつなので、思わず「お!」と目が止まったのでした。
 グースベリーがあまり流通しないのは、摘むのが厄介なせいかも。枝にはたくさんの鋭いトゲがあり、気をつけないと腕が傷だらけになります。つい袖をまくって作業していたマークはやられてました。長袖着てきた意味ないじゃん。
 鳥たちのコーラスを聞きながら手元に集中して、ちまちま摘み続けること数時間、10kgほどを収穫しました。全部わたしがいただいたわけではなく、エイダンのファームショップで小売りするのが目的で。しかし。
 意外に売れなかったのです!
 ファームで酵母パンを売るアンとわたしが残ったグースベリーを引き取り、手分けしてジャムと焼き菓子にして販売する予定。みなさん、それをお待ちなのかも。
 グースベリーの使い方ですが、ポピュラーなのはジャム。同じ時期に花を咲かせるエルダーフラワー(ニワトコ)と一緒に煮るのだそう。これは最近知りました。酸味が強く、甘みも香りもほとんどない果実なので、エルダーフラワーのほのかな香りづけと、たっぷりめの砂糖が必須。
 りんごやルバーブと同じく、タルトの具材にすることも多いです。わたしは「フール」を作ってみたかったので、果実の形を残したコンポートに。
 摘みに行ったときにもらったアドヴァイスが「煮立たせないで、静かにゆっくり煮ること」。果実が重ならないような大きいお鍋にグースベリーをぎっしり並べ、半身浴ほどの水と大さじ数杯のウォッカとハチミツを注いで煮てみました。エルダーフラワーの花は茎を少し残した状態で2本ほど。これは煮た後に取り出します。
 10分ほど煮て味見したら、思わずうっとり。エルダーフラワーの静かな力が大きく、こんどはコーディアルを作ろうと固く決意しました。
 「フール」は、なんのことはない、ベリーなどに生クリームをからませただけのデザートです。おばかさんと同意語のFoolの由来も謎ですが、生クリームに空気をまぜこむ”ホイップ” からきてるのでは?が自論です。

グースベリー
エルダーフラワー
グースベリーのフール。果実をフィーチャーしたかったので、”のっけ”たスタイルですが、ふつうはもっとぐずぐずに混ぜあわすようです。シンプルですが、旬の味を楽しむには最適。生クリームに砂糖はまぜないのが基本。でもグースベリーも甘さ控えめなので、上から少し、Agave(テキーラの原料)シロップをかけました。上品な甘さで最近のお気に入り。



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