突然ですが、引っ越しをしました。
拙著『アイリッシュネスへの扉』をお読みくださった方々は「ええーーっ??」と驚かれると思いますが、わたしとマークにとっても突然な成り行きで。でも結果的に、心地よい家で快適な暮らしをスタートさせることができ、新たな扉を開くことができました。今度の家は、ファームハウス。大家さんはシープ(羊)ファーマーですが、セミリタイアしていて家畜はいません。でもここは今も“ワーキング・ファーム”。大きなトラクターを間近で見られる機会がついにやってきました。
ここでアイルランドに関するクイズです。この国の収穫高ナンバーワンは何だと思われます?じゃがいもって答えたくなりますよね?
実は「草」。家畜の飼料となる牧草なのです。ここのファームも大きな納屋に干し草が積まれ“現役”ファームであることを物語っています。
家は大家さんの実家で、祖父が建てたもの。今はモダンに改装されていて暖房もばっちり。わたしにとっていちばん大事な台所も機能的でとても使いやすく、安堵しています。
新居がマイホームになる瞬間に気づきました。この国の住居の鍵は、どこもクセがあって慣れるのに一苦労。常宿にしていたB&Bの玄関の鍵もなかなかひとりで開けられず、何度かネグリジェ姿のおかみに助けてもらって、おおいに恐縮したものです。
この家の鍵もご多分にもれず。ちょっとしたコツをようやく覚えたばかり。もうひとつの“難関”はオーブンです。この国の借家(アパート=フラットも含む)の付帯設備のひとつがオーブン。これは大家さんが管理すべきもののひとつなのだそうですが、わたしの使用頻度は尋常でなく、これもまた恐縮の極み。今までに4台のオーブンをお釈迦にしており……“経費でまかなえる”ということなのでしょうけれど、かなり気が引けます。
そんなわけで、まずはどの借家にもあるオーブンですが、どれも使い勝手が異なり、慣れるのに少し時間が要る場合も多々。前の家にはオーブンが2台あり、1台はサーモスタットがイカれていて、ほうっておくと200度以上まで上がり、何度かケーキを焦がしました。
今回はふつーにほどよく焼けて、安堵。オーブンと鍵、どちらもアンダーコントロールで、家は早々に「我が家」になりました。
さて、プーカ(おばけ)の来訪について。
引っ越して早々、台所の窓を開けると裏庭で誰かの喋り声が。大家さんが納屋を修復しているので、来ているのかな?と見に行くと誰もおらず。話し声はラジオであることに気づき、納屋の中に忘れて行ったのねと納得したのですが。
外出していたマークに顛末を告げると「そんなわけない、ラジオは見つけてオフにした」。うそ。でも聞いたもん、ラジオから流れる番組。
そういえば、いつのまにか音は消えていた……
そして翌日。やはりマークの外出中に外で音楽が。確認に出動しました。
裏庭に流れるのはヴァン・モリソンの曲で、それはなんと暖房用のオイルタンクの中あたりから響いており!
プーカの仕業にちがいない。
わたしは家に戻ってきっちり鍵をかけました。
続く
PS:この家で初めて作った「ベーコンの炊き込みごはん」がとてもおいしくできたので、ご紹介しますね〜〜
「ベーコンの炊き込みごはん」
【材料】2人分
米 1カップ半
オリーブオイル 小さじ1
にんにく 2カケ スライス
ベーコン 厚切り2枚
焼酎(お酒ならなんでも) 大さじ1 オプション
たまねぎ 半分 みじん切り
しょうが 1カケ みじん切り
にんじん 2〜3cm の角切り1カップ
カブか大根 2〜3cmの角切り1カップ
長ネギ スライス 1カップ
生タイム 2本ほど
塩 小さじ1/4
しょうゆ 小さじ1
水 2カップ
【作り方】
1.米をざるに入れて洗い、水をきって30分ほど置く。
2.厚手なべにオリーブオイルとにんにくを入れて火にかける。
3.ベーコンを入れ、焼き色がついたら取り出し、適当な大きさにスライス。
*取り出す前に焼酎を加えて少し煮詰めるとベーコンがやわらかくなります。
4.たまねぎをさっと炒め、ベーコンを加え、さらにしょうが、にんじん、カブか大根、長ネギ、米、水を加える。塩、しょうゆを足し、上にタイムをのせて蓋をし、強火にかける。
5.沸騰してきたら弱火にして15分炊く。
6.一度強火にして半秒ほど待ち、火をとめて10分。
★5の時点で一度蓋を開けてみて、水っぽいようならもう1〜2分、火にかけてください。
いつもながら大雑把なレシピで恐縮ですけれど、おいしかったので!きのこや、ほうれん草やいんげんなどを入れるといいと思います。
ベーコンは、脂身の少ないステーキ用がベスト。加工肉は極力使わないようにしているのですけれど、上質なものをたまにはいいかなと思っています。