Yumiko's

松井ゆみ子がアイルランドからお届けする「食」と「音楽」のこと

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himaar

“mission impossible” の成功と、お知らせ。

 まずはお知らせから。
 ヒマールさんとのコラボで、レシピ入りのポストカードを作りました。
 ブログでご紹介したレシピですが、写真を少し変えたりしています。
 繰り返して作っていただけるようなレシピを冷蔵庫に貼ったりできますし、おともだちにお送りしたり、活用していただけたら嬉しいです。
 ヒマールさんの製作なので、おしゃれに仕上がっています!
 アイルランドでは、ロックダウン中にカードやお花を送る人が増えたと聞きました。日本でもそうなるといいなと願っています。

 さらに。
 ヒマールのサイトでお気づきになられたかと思いますが、エッセイ本を作っています。アイルランドの最初のロックダウン直前から書き進めていたので、そろそろゴール(出版)を見定めてもいいかなという段になりました。
 本来なら今頃アイルランドで出版していたはずの「お弁当本」が、こういう時期なので見合わせることになっているのですが、エッセイ本はむしろ、こういう時だからこそ読んでもらいたいな、と思いながら書いています。
 アイルランド人のたくましさというか、めげなさ加減、素晴らしいユーモアのセンス(ここが重要!)をお伝えできたら嬉しいです。

 そして余談の「ミッション・インポッシブル」。
 ポストカードは、英語版も作りました。日本語版とはレシピが異なります。アイルランドで販売するのが目的でしたので。こちらももちろんヒマール製作の日本製!
 しかし。ウィルスの影響で、日本からアイルランドへの郵便(船便を除く)はストップしたままなのです。でも、幸いなことにイギリスへの郵便は再開していたので、北アイルランドに住む知人宅に発送してもらうことに。
 無事、到着して安堵するものの、こちらは再びロックダウンに突入。幹線道路にはあちこちにガーダ(警官)が検問を行っており、なかなかに面倒。
 知人は歯の治療で免疫力が低下しているため、感染要注意にあたるので、感染者の増えているカウンティ・ドニゴールを避け、隣県リートリムのガソリンスタンドで落ち合う算段を整えました。が、マークの仕事と重なり、知人とうまく時間が折り合わず、苦肉の策、ガソリンスタンドで預かってもらおう! そんなことしてくれるのかどうか? アイルランドのことだからしてくれそう。お礼にマドレーヌをたくさん焼いて、いざ出陣。
 知人からは「預かってくれた」とメールがあり、安心したものの、どういう状況で保管されているのかはナゾ。
 以前、パブで買ったTシャツが、家に帰ってみたらギネスの大きなシミがついていて、翌日交換してもらったことがあるのですが、Tシャツはギネスを注ぐカウンターの真下に……保管する場所、他にないの??
 そういう良くも悪くもイージーな国ですので、預かっていただいてるのに不安を覚えるのは失礼と思いつつも、小包見るまで心配でした。
 幸いすべては杞憂。そのガソリンスタンドは、荷物の受け取りと保管をサーヴィスのひとつにしていたのでした。おまけに手数料もとらない。お菓子焼いてってよかった。店員さんたち「そんな、いいのに〜」と遠慮しながらも喜んでくれて。焼き菓子、作れると重宝ですよ!

 その大騒ぎの英語版ポストカード、ほんの少しだけヒマールで販売しています!!

 ご贔屓のほどを。

臨場感あふれる荷姿!


再びロックダウンのアイルランドより(チョコ・クリスピーズ)

 初ロックダウンの3月に逆戻りしています。大きな違いは、一度体験済みなので、人々に多少ゆとりが見えることと、学校を開けていること。といっても今はハロウィンをはさんだ休暇中なのですけど。

 3月のロックダウンがゆっくり解かれる夏、市井の人々の緊張も大きく緩み、近所の海岸には人があふれ「いいのか?」と思っていた矢先。ウィルスが「懲りないやつら」とあざ笑っている図が浮かんで悔しい。
 この状況が、すぐに終わると期待するからイライラするのだと思うのです。しばらく続くと観念すれば、心構えも対処方法も変わるでしょう?

 田舎で蟄居生活なので、ロックダウン前も後も、わたしの暮らしに変化はなく、ラッキーというしかありません。
 出かける先も、農場と青空マーケットなので、認められた範囲ですし、何よりソーシャルディスタンスとれまくり。

 今回のロックダウンが始まる前日のラジオ番組で、買い物客に「何を買い置きするの?」とインタビューしていたのですが、ある男性が「パジャマとスリッパ!これっきゃないでしょう、あはははは」と答えていて、超ウケまくりました。いいな〜アイリッシュのこの姿勢!

 こういうときは、買い出ししなくても作れる簡単おやつを。
 拙著「アイルランドのおいしい毎日」でも紹介したのですけど、久しぶりに作ってみてあらためて、こりゃイケる、と思ったので、再度ご紹介します、“チョコ・クリスピーズ”。
 こどものおやつですし、わたしが習ったのも当時こどもだったマークの姪っ子。でも「お!」と気づいたのは、これってグルテン・フリーなんですよね。

【材料】
クッキング・チョコレート 150g
シリアルのライスクリスピーズ 60g

 2ダースほど作れるはずです。
 もっとおいしく、と普通のチョコレートを使うとうまくいかないので、必ずクッキングチョコレートを使ってください。
 湯煎でボウルにいれたチョコをとかし、ライスクリスピーズをまぜます。湯煎のまま作業する方がうまくいきますって思うのは、寒くてどんどん固まっちゃう国にいるからかしら??
 ボウルの底の方からライスクリスピーズをかきまぜると、しゃかしゃかって音がかき氷に似ていて。最後にかき氷食べたのはいつだろう?もう夏の日本は無理っ!な体質になっているので、ずいぶん長いこと近寄っていないし。余談でした。
 オーブン用天板などにオーブンペーパーを敷き、スプーンでチョコをまぜたクリスピーズをすくって置いていきます(一口大。あまり大きいと食べにくいので)。
 わたしのレシピは、チョコをかなり薄くコーティングしているので、サクサク感を楽しんでいただけると思います。ふつうはもっと、がっちりチョコ。
 タッパやガラス瓶に入れれば翌日まではぜんぜんオッケーですが、それを過ぎるとちょっとサクサク感が減っちゃいます。食べきりサイズで作ってくださいね。



エッセイ「鯖」by Yumiko

 アイルランドでポピュラーな魚のひとつがサバ。今日は新鮮なのを見つけて爆買いしました。今、旬を迎えています。
 モーターウエイで魚を買う話は以前しましたけど、同じ幹線道路沿いに、今度は北部ドニゴールの魚売りヴァンが登場!ここから車で1時間ちょっとの距離にあるキリベグスという国内のメイン漁港からの直送です。
 いつもはスライゴータウンに近い場所で販売していて、今日わたしが見つけた(正しくはマークが発見して下見してくれた)場所は初めてのロケーションなのだそう。品揃えは素晴らしく、牡蠣、ホタテからアンコウまで様々。
 わたしの前のお客さんは、アンコウを煮込みにすると言ってたくさん買って行きました。今夜はごちそうね!と声をかけると、ありがとーと笑みを残して去って行きました。魚をちゃんと料理するアイリッシュを見ると嬉しくなるというか、安心します。老婆心。
 次はわたしの番。すごく迷ったけど、とても新鮮なサバを見ちゃったら買わずにいられません。爆買い。7尾と頼んだら、お店の気さくな兄ちゃんが「でかいから6尾でいいと思うよ。食べ過ぎさせたくないからねー」の配慮が気に入りました。ずっと昔、新橋にある老舗中華料理屋さんで、あれこれ注文したら、中国人オーナーが「そんなに食べられないと思うから」って調整してくれて、いたく感心したことがありました。儲けたかったら黙って料理を出してると思うの。でも、残したらもったいないの気持ちが感じられて、その店がさらに好きになったのでした。この魚屋さんも同じ。

 新鮮なサバは軽く小麦粉をはたいて、オリーブオイルでソテーするのがいちばんだと思っています。いいフライパンがあれば、小麦粉を省いてもオッケー。4尾はソテーにして、残り2尾はつみれ汁に。アイルランドに来なかったら、こんな面倒なことは一生しなかったと思う。面倒というと語弊がありますけれど、ちょっと手間がかかる。まだスキルがないせいかな。
 骨を避けてナイフですき身にします。フードプロセッサーを使うと身が細かくなりすぎて、わたしは好きじゃないの。ナイフでたたきにするくらいが、いい食感のつみれになると思います。
 ざっくりしたサバのすき身に、お味噌(麦味噌とか、玄米麹味噌とか、ちょっとエグいタイプ)とチャイブか小ねぎのみじん切りを混ぜ込み、沸騰した湯(昆布を入れて、沸騰する前に出すとさらにおいしくなります)の中に、スプーンですくって落としこんでいきます。サバつみれが浮いてくるまで約5分で完成。最後に醤油を入れて味をととのえたら、素晴らしいつみれ汁に。
 麺を加えるときは、塩少々と砂糖小さじ1(日本ではみりん大さじ1〜2)を足すといい感じのだし汁になります。麺は、そうめんとか細麺うどんが相性ばっちり。もちろんお蕎麦もグー。トッピングに、さらに小ねぎをてんこ盛りしてください。ほうれん草も!

追記。同じつみれをフライパンで焼いてみたら、素晴らしいサバ・バーグになりました。冷めるとちょっと魚臭くなるので、あつあつがおススメです。お弁当とかに入れるのなら、カレー粉などのスパイスを加えるといいかも。

サバのつみれ蕎麦 in アイルランド。


ホットポット/ hotpot

アイリッシュシチューと材料はほぼ同じですが、じゃがいもを煮込まず “ふた”にします。イギリスでポピュラーなスタイルらしく、料理本などにもよく登場しますけれど、うちの食卓にはあまり出てこないなと思って、作ってみました。オーブン焼きしたじゃがいもの表面はカリカリに、シチューに触れていた面は味つきでしっとり。なるほど、2度楽しめる。

煮込み料理にチップスやローストポテトを添える感じですが、調理は一発ですむし。合理的ですね。

アイルランドで「パイ」と名のつく料理で有名なのは、シェパーズパイ(あるいはコテージパイ)、フィッシュパイで、どちらもマッシュポテトをたっぷりのせてオーブン焼きしたもの。パイというと、タルト生地(ショートクラスト・ペーストリーとよばれるビスケット状のもの)やパフ・ペーストリー(ミルフィーユ状のもの)を連想していたので、アイルランドの「パイ」の領域の広さに驚きました。どうやら「パイ」は愛称のようなもので、具材を詰め込んでオーブン焼きしたらパイ。なんでも巣に持ち込む鳥のマグパイ(カササギ)が由来なのではと言われています。なので、パイの具材はなんでもあり。

うちのホットポットは、アイリッシュシチューのオルタナティヴバージョンとして考案いたしました(大げさ)。

「ホットポット/ hotpot」

【材料】多めの2人分
じゃがいも 350g(皮付きで)メークイーン系
たまねぎ 1個
オリーブオイル 小さじ1
マッシュルーム 5個
ラム肉(シチュー用。なければ牛肉で)350g
にんにく 1カケ
にんじん 1本(厚めのスライス)
ターニップ(オプション)にんじんと同量(にんじんと同じくらいにスライス)
セロリ 1本 (スライス)
タイム(できれば生)小さじ1
パセリ(生)みじん切りを小さじ1
シードル(なければ白ワイン)400ml
塩 小さじ 1/2

【作り方】
1.じゃがいもを皮付きのまま、少し芯が残るくらいに茹でてスライス(厚み1〜2センチほど)。
2.たまねぎをスライスし、オリーブオイルで炒め、しんなりしたらマッシュルームを加えて炒める。ラム肉とにんにくを入れて、さらに軽く炒める
3.にんじん、ターニップ(op)、セロリ、タイム、パセリ、塩を足し、シードル(あるいは白ワイン)を加えて30分煮る。
4.耐熱皿などに入れ、上にじゃがいものスライスを並べ、180℃に予熱したオーブンで15〜20分焼く。じゃがいもに焼き色がつけば完成。

*じゃがいもに薄く溶かしバターを塗るといい焼き色に。



ケール(チップスとパスタ)

 日本では“青汁”の材料として知られるケールは、栄養価が高いので「野菜の王様」の異名があるほど。たくさん食べるにこしたことないのですが、緑野菜好きのわたしも、ついついほうれん草やカラフルなスイスチャードを選んでしまいます。
 毎週、野菜の仕込みに通っているオーガニックファームのボス、エイダンに「ケールが採れすぎで、たくさん使えるレシピを考えて〜」と泣きつかれてだいぶたちました。ペストにしてみたり、カレーはまずまずでしたけど、毎日食べたいレベルに及ばず。
 しかしながら、ようやく「旨っ!」のレベルのレシピができました。

 説明が前後して恐縮ですが、ポピュラーなケールの種類は3つ。青汁にする、葉の縮れた“カーリーケール”の他に、イタリア食材のトースカーナ(ン)ケールは、黒いキャベツの意味の“カーボロ・ネロ”ともよばれ、パスタソースや煮込みに使われます。炒め物にも。
 わたしがいちばん使いやすいと思うケールは、ロシアン・ケール。葉がやわらかく、味わいがあって、おじやのトッピングにしたりしています。
 調理においていちばんハードルの高いカーリーケールは水分が少なく、佃煮にしてみたのですけど、一旦しんなりした葉が、冷めると煮汁の中から直立する有様。
 そんなタチなので、オーブンでからからに乾かしたクリスプス(チップス)はかなり楽しめます。
 葉を一口大にちぎってボウルに入れ、塩とごま油少々を振り入れて混ぜ合わせ、130℃に予熱したオーブンで10分ほど焼くと、紙のようにパリパリに。オーブンは様々なタイプがあるので、温度を限定するのは好まないのですが、要は、100℃のような低温だと時間がかかるし、150℃だと焦げがち。その中間で、焼くというより乾かす感じ。カロリー限りなくゼロのスナックができます。

 そして会心の作はケールのパスタ。
 パスタにすりゃなんでもおいしいんですけど、手軽で栄養とれて、いいじゃん!
 ケールを一口大にちぎり、パスタ(わたしはスパゲッティとの組み合わせが好みですが、なんでも)と一緒に塩茹でします。茹で上がったら、湯こぼしして、オリーブオイル少々をかけて混ぜ、ガーリックペースト(チューブのものでもいいですけど、自家製がおすすめ。すりおろしにんにくとレモン汁を混ぜて瓶詰めしておくと、すごく重宝です)大さじ1と醤油少々、みじん切りしたチャイブ(パセリでもコリアンダーでもオッケー)大さじ1〜2を和えるだけ。ドライドチリをちょっとかけるのがおすすめです。
 や〜、これは毎日食べてもいいな。
 ケールをパスタと一緒に茹でるのが要だと思っています。リゾットに入れたときも、いい具合にしんなりしてくれて、もしかするとスターチ(でんぷん質)がからむことでケールの水分が保たれるのでは??
 科学の部分はググってみてください。台所の実験では「スターチがケールをやわらかくする」と出ているのですが、どうでしょうか?



ハーブのある暮らし(ハーブ・バターとバジル・ペスト)

 お料理雑誌の特集記事のタイトルみたいですけど、この夏に実感していたことなんです。台所にたくさんハーブがあるって、なんて豊かな気分にさせてくれるんだろう、と。今までも、スーパーマーケットでパック入りのハーブはけっこう買っていました。でも、イスラエルやら遠くの国から運ばれてくるものが多く、すぐにぐったり。それが今年は、近所にあるエイダンのオーガニックファームに野菜を注文するときに“bunch of”(超適当な分量!)ハーブを追加してもらっていて、料理がぐっと楽しくなりました。レギュラー陣は、バジル(夏ですから!)、ミント、コリアンダー(わしわし食べられる!アジアっぽい料理には欠かせません、特にヌードル系)。毎週魚を買うようになってからはディルも常連。日持ちするので隔週にやってくるのはローズマリーとタイム。最近レギュラーに加わったのがチャイブ。今の時期にあるのを知らず、たまたまファームで見つけたので「ほしい〜」と言ったらすぐに切ってくれました。定番のパセリ(今はイタリアンのフラットパセリ)が入っていないのを不思議に思われるかもしれませんけれど、さすがに使いきれなくなるので今はお休み。

 ハーブは家で育てるのがいちばんなんですけど、これだけの種類を常に置くのはスペースが要るので台所で育てるのには限界があるし、外で育ちますけど美しいコンディションを保たせるのは簡単ではないので、元気できれいなハーブを毎週入手できるのは、ほんとうにラッキーなことだと感じています。

 摘みたてのハーブは元気で、切り口がきれいなものは水につけておくと根が出てくるのですが、土に入れてだめにしたことが何度もあるので、水耕栽培にとどめて誰かほしい人にあげています。いつか、ハーブ専用の小さなビニールハウスを持ちたいな〜

 ハーブは使い道がよくわからない、という声を聞きますが、わたしもそうでした。アイルランドで料理するようになって、パセリ、タイム、ローズマリーは郷土料理にしばしば登場するので身近なものになりましたけれど、セージやタラゴンなど使いこなせていないハーブは多数。コリアンダーは嫌いな人が多いですけれど、アイルランドで育つものは香りがやわらかくて使いやすいです。わたしはそもそもコリアンダー好きなので、アジア産のがっつり系も問題ないのですが。アジア風の麵ものにはたっぷりトッピングします。幸い夫マークもコリアンダー好きなので、炒めものやタイ風カレーにはてんこ盛り。餃子にも欠かせません。

 フレッシュ・ミントは、お菓子づくりに大活躍。ご存知のようにチョコとの相性がいいので、先日はチョコ味&ミント入りのマドレーヌを作りました。

 ローズマリーもベイキングに最適。タルト生地にまぜこんだり、オレンジマーマレード入りのスコーンにちょこっとまぜたら、いい仕事をしてくれました。

 ハーブは、料理人のイマジネーションを刺激する名脇役たちだと思います。

 レシピってほどではないですが、調理例をいくつか。

「ハーブ・バター」

室温でやわらかくしたバターに、にんにくのすりおろしと刻んだハーブ(チャイブ、ローズマリー、ディルなど)を混ぜ込む。使い方は、トーストしたバゲットにぬる他、魚や肉のソテーにのせるなどお好みで。

「バジル・ペスト」

常備したい便利な保存食。冷凍できます。

<作りやすい分量>
バジルの葉 25g
パインナッツ(松の実) 大さじ1(くるみなどでもオッケー)
レモン汁 小さじ1
オリーブオイル 大さじ1(たいていのレシピはもっと多いと思います)
塩 少々

材料全部をハンドミキサーなどでブレンドするだけ!
ミキサーがないときは、すり鉢でもできます(オイルは最後に)。
塩はブレンドした後に、味見しながら加えてください。

バジルをコリアンダーにしたり(唐辛子との相性抜群)、レモンをライムにしたり、変幻自在です。
パルメザンチーズを入れるのがオリジナルのレシピですが、うちはパスタにするときに最後に加えたり、ダイエット事情で入れなかったり(笑)。
最近は、これにケールをまぜこむ知恵がつきました。かさが増すだけでなく、栄養価もぐんとアップ。
たくさん作り置きすると便利な調味料です。
茹でたパスタにまぜるだけで一品になるし、サンドウィッチのベースにしたり、魚料理のソースにしたり、万能選手。

庭にあった、ウイキョウ(フェンネル)の実を収穫したところで、家の中にいい香りが漂っています。もうね、それだけで豊かな気分。



ビーフシチュー/ beef stew

写真は一見、ハヤシライスですね! ほんとならギネスを入れたいとこでしたけど、うちの近所にはビール売ってるお店が“今”はないんです。なのでワインとトマト味で仕上げてみました。誰かさんちで食べた記憶のあるシチューです。ごはんでもオッケーですが、マッシュポテトに合わせただけで、ぐっとアイルランドっぽくなります。

実はこの一品、写真撮った後にカレー粉まぜて即席カレーにして、マッシュポテトと食べました。思いっきりアイリッシュな感じ〜。
残ったら、試してみてください。もう少し、塩気と甘みを足すといいです、カレーの場合。お醬油入れると双方満たせます。すごいね、日本の調味料。

「ビーフシチュー/beef stew」

【材料】2人分
牛肉 300g (シチュー用、すき焼き用、なんでも)
たまねぎ 1(スライス)
にんにく 2カケ(みじん切り)
にんじん 1(粗みじん)
薄力粉 大さじ1
赤ワイン 1/2カップ
水 1/2カップ
トマト 1(皮をむいて粗みじん)
トマトピューレ 小さじ1
トマトケチャップ 小さじ1
ハチミツ 小さじ1
塩 小さじ1/4
ウスターソース 少々(お好みで)
パセリ みじん切り 小さじ1
*写真の添え物は、マッシュポテトに小ねぎをまぜたものと、茹でたブロッコリ。

【作り方】
1.オリーブオイルを熱し、たまねぎとにんにくをよく炒める。
2.にんじんを加え、薄力粉をまぜこむ。ワイン、水を加え、トマトを投入。トマトピューレ、ケチャップ、ハチミツ、塩、ウスターソースを加えてまぜあわせて20分煮る。
3.できあがりにパセリをちらし、マッシュポテトに小ねぎをまぜたもの「チャンプ」と茹でたブロッコリを添えて。

★いつもはマッシュルームを入れます。たまねぎと炒めて。サバイバル中で買い出しを控えているので断念。あれば入れてくださいませ〜。セロリもぜひ。

[ Ingredients] Makes 2
Olive oil 1 teaspoon
Beef   300g  (for stewing or stir fry)
Onion 1 (sliced)
Garlic  2 cloves (chopped)
Carrots 1 (chopped roughly)
plain flour 1 tablespoon
Red wine  1/2 cup
Water   1/2 cup
Tomato 1 (skin off and chopped roughly)
Tomato puree 1 teaspoon
Tomato ketchup  1 teaspoon
Honey  1 teaspoon
Salt  1/4 teaspoon
Worcestershire sauce   a dash (op)
Parsley  (chopped ) 1 tablespoon as a garnish
*serve with mashed potatoes with scallions = champ and cooked broccoli

1.Heat olive oil, fry onion and garlic until  they are soften.
2.Add carrots then plain flour, mix well.Pour wine then water. Add tomato, tomato pure, honey, salt, Worcestershire  sauce, cook for 20min.
3.To serve, add parsley as a garnish.

★Please add mushrooms which I couldn’t get them at moment. Celery can works too as you know.

Stay safe & keep healthy !!
Yumiko


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トライフル/trifle

アイルランドではクリスマスのデザートとして定着している、イギリス発祥のお菓子です。500年以上前の料理本に紹介されていたというのは、最近まで知らなかった。スポンジケーキを果物やゼリーなどと何層にも重ねて、カスタードで蓋をし、シェリーなどの洋酒を注いで全ての具材を封じ込めた不思議なデザートです。
trifleには“くだらないもの”という意味もあり、気の毒な命名のお菓子ですが、きらいと言う人はいるのか?と思うくらい、万人に愛されています。クリスマスのデザートと思っていましたけど、スーパーマーケットでは年中売られていて、売れ行きもコンスタント。日本で、冬のおやつの“おしるこ”や“ぜんざい”が年中食べられるのと同じかもしれません。
定番スタイルは拙著「家庭で作れるアイルランド料理」におさめていますが、スイスロールとよばれるジャムをまきこんだロールケーキをスライスしたものの上に果物(缶詰が主流になっていました)、ベリー系のゼリーをぐずぐずにこわしたものと重ね、カスタードクリームでふたしてシェリー酒をふんだんに注ぎ、一晩置きます。食べる前にホイップした生クリームをトッピング。各自にサーブするときも、ざっくり大さじですくって、いただくときも、ぐずぐずにくずして。
trifle のもうひとつの意味はここか?

レシピというよりは、コンセプトをご紹介しますので、いろいろ試してみてください。ものすごくポテンシャルなデザートだと思うので。
形状の一例だけ、写真でご紹介しておきますので!

以下、こんなのありかも?を羅列しておきます。

「アイリッシュウィスキー・トライフル」

出ました、アイリッシュウィスキー!大人限定です。
グラスの底にフルーツケーキ。市販のもので大丈夫。果物は、できれば洋梨やりんごをお砂糖で煮たものを刻んで。生ならハチミツをからませて。
ブルーベリーやパイナップル、すぐに召し上がるならバナナもいいですね。
で、カスタード部分は、市販のカスタードプリンをぐずぐずにくずしてのせる。
即席バージョンです。で、ウィスキーを注ぎます。15分くらい置いて、ウィスキーがケーキにしみこんだら、ホイップした生クリームかアイスクリームをのせて召し上がれ!

「ベイリーズ・トライフル」

ベイリーズはアイルランド特産のリキュールで、クリームとウィスキーで作られた甘いお酒。お菓子づくりにすごく重宝です。スポンジケーキやアイスクリームの上に注いだだけで高級デザートになります。
でも、トライフルバージョン。
やはりベースはフルーツケーキで、果物も上記ウィスキーと同じようなラインアップで。甘くない果物のほうがいいかもしれません。
カスタードプリンのかわりに、クリームチーズかアイスクリームをのせてみてください。ベイリーズにすごく合うので。で、ビターなチョコレートをちらして。

「お酒を飲まない方や、お子様向けに」

スポンジケーキと果物の上に、甘みをつけたレモンの絞り汁をしませてみてください。要は、ケーキにシロップ(お酒も含めて)がしみこんで、ずぶずぶしたのがおしいんです。ティラミスも同じコンセプトといえると思います。
チョコ風味のスポンジケーキに濃いコーヒーをしみこませて、パッションフルーツをのせて、カスタードプリンでふたして、ビターなチョコアイスをのせるとか。

きりがないので、あとはみなさまに丸投げ!



エッセイ「モーターウエイで魚を買う」by Yumiko

 夫マークがスライゴーの町から車で家に向かっている途中、路肩で魚を売っているヴァンを発見。新鮮そうだったからと買ってきたのが、キッパー、燻製サバ2尾、生鮭のでっかい切り身が2切れ。おまけにタラの切り身(半身ですっ)が、どど〜ん!ひょ〜。
 まず鮭を茹でて冷凍庫へ。タラはクリーム煮にしようと湯引きしたときに気づいた。うそっ、うろこがついてるじゃん!
 そうなんです。アイルランドの魚屋さん、なぜかうろこをちゃんととらない。皮は食べるときにはがすことが前提だからだと思うけど、調理するときにだって邪魔なんですけど。湯引きした後は皮をびーっとはがすのも難しく、いじくり回したタラは思い切り煮崩れ、かなり悲惨な仕上がりに。
 しかし、初めて口にした魚屋さんの燻製サバはくせになるおいしさ。スーパーで売られているパック入りのものしか使ったことがなかったので、ソフトな燻製サバは焼き直すのだろうと思っていたら、マークが「そのまま食べられるよ」と教えてくれ、半信半疑で味見してみたら確かに調理済みの味と食感。のちに知ったのは、キッパーとよばれる燻製ニシンは燻煙方法が異なるので、調理しないといけないんですって。牛乳で茹でるのが伝統的な方法。キッパーも切り身のものしか食べたことがなかったのですが、丸ごとのものは見た目がほとんどホッケの開き。これは焼くしかないなと思ってフライパンで油を引かずに焼いてみたら、思った通り和食でした(笑)。炊きたてごはんを用意すべきだったな。これは次回。

ほっけの干物に見えません?これが燻製ニシン、キッパー。伝統食材です。でもおカシラつきのは初めてです。
燻製サバ、まるごとです。獲れたてのサバを使うからか、庭で燻煙して食卓に運んだかのような新鮮さ。じゃがいもも付け合わせ野菜もエイダンのファームのもの。魚の向きが逆ですが、この国にはルールなし。これもおカシラつきでいたけど、顔がコワイので削除しました!

 魚屋さんは隣県メイヨーから出張してくるのだそう。お店を構えているわけではなく、漁船から水揚げされた魚を直売する方式で、彼は船に乗らず車での販売担当。いつもは、作家イエイツの眠る教会のすぐ近くにあるカントリーマーケットに出店しているそうですが、青空市場は再開したけれど屋内マーケットはまだで、すぐ近くの路上で販売しているところだったのですって。
 そのマーケットはファームのエイダンも出店していて、クラフトも含めて40店舗も並ぶのだとか。小さいマーケットと思っていたので、びっくり。

 サバはメイヨーとスライゴーの県境のキララ湾で獲れたものなんだそうで、ほぼ地元産。キララって、雲母みたいで不思議ですよね(笑)。
 2度目のマークのお買いものは、少しセーブしますって言ってたのに、またまた巨大な燻製タラ(の一種)が含まれていたし、3度目の正直はムール貝にほたて、まるごとのカレイ(煮つけにしました)、マス2切れ、生鮭はわたしが「1切れだけ要るんだけど」と頼んだのがアダに。魚屋さんが「負けとくよ!」ってさらに2切れ加えてくれてました。
 こちらもだいぶ学習したので、残りそうになると、から炒りしてふりかけにする手を覚えました。山椒の粉といりごまをふりいれて。楽しい。

 毎週土曜日は、そんなわけで魚と野菜の調理やら下ごしらえで、すごく忙しいんですけれど、充実のひととき。

おうちでムール貝を食べるしあわせ。イエイツゆかりのリサデル・ハウス近くで収穫されたもの。最近はきれいに下処理されていて助かります。初めて買ったときは、貝殻をきれいにしないと調理できなかった。海藻が殻からはみ出て、ひっぱると中の貝ががんばっちゃって綱引き状態に。あ、それは今もときどきありますが。


エッセイ「野菜の買い出し」by Yumiko

 毎週土曜日はとても忙しい。近くのオーガニックファームへ注文しておいた野菜を取りに行く日で、まずは冷蔵庫に残っている野菜の整理から。だいぶ上手に使いきれるようになったので、次の野菜を入れるスペースを楽に確保できていますが、最初の数週間は「え、もう次が来る?」とプレッシャーでした。15ユーロの箱買いは、食べごろの野菜をファームの方で選んで詰めるので、当日まで何がくるかわからないのですが、それもやっと楽しみにできるように。7月のはじめまではサラダリーフがたくさん。おいしいので、さらに追加して買ったところに、なんとマークの兄さんたちが家庭菜園で収穫したレタスを次々に持ってきてくれたときは少々パニック。食べきれるのか??根っこつきなので多少日持ちしましたけど、ぱりぱりの食感が薄れたら惜しいので、毎日サラダ。でも味も食感もいいので飽きないんですよね。

 ファームは自由に散策できるので、作物の成長ぶりを見て「来週はトマトがくるかな?」とか予測できるようにもなってきています。

ファームは素晴らしいロケーションの中に。この山はスライゴーのシンボル、ベンブルベンに連なる連峰のひとつです。

 敷地内には、こじんまりしたファームショップがあって、手作りのサワードウ・ブレッドやアップルパイ、チャツネなども売っており、野菜を買い足すこともでき、なによりファームの主エイダンとのお喋りが楽しみ。

 今年は夏が前倒し、今になって雨が多く気温も上がらず、じゃがいもが育ちきらないなんて聞くと、われわれは今日明日の天気しか頭になく、長いタームで天候が土の中にどう影響するかなんて、まったく知らないでいることに愕然とします。

 土の上では、ウィルス騒ぎで世界中がジタバタしていますけれど、畑で作業する人たちはいつだって、コントロール不能な状況をいかにベストな方向に持っていくか、努力し続けているんですよね。毎年、事情は異なるし、正解はあってないようなもの。すごいな。

 大学生の息子が、ロックダウンで休講になっている間、畑仕事を手伝いに来ているそう。専攻はまったく異なるのに、あるいはそれだから?畑仕事が楽しいと率先して働いているのですって。そういえばニューブリッジのなかよしだったオーガニックファームでも、大学生の息子が「いい気分転換になるし」と言って、父親の手伝いに来ていたっけ。

 こういう若者に出会うと、アイルランドの将来はまだまだ明るいなと思うのです。

 土曜日の忙しさは野菜だけでなく、マークが偶然見つけた路肩の魚屋さんで“男買い”(大人買いでなく、台所の状況を知らないまま、うっかり大量に生鮮食品を買ってきちゃう男性。え!?差別用語じゃないですよね??わたしのオリジナルですが…)嬉しいけど、借家の冷蔵庫はとても小ぶりで、野菜と魚が押し合いへし合い。せっかく新鮮なんだから、早く調理しなきゃと焦る焦る。

 長くなるので、魚の話はまた次回。これがまた、おいしいんだ〜

busy kitchen
食べられるブーケ。これ、全部エディブルなんですよ〜サラダに入れたり、メインディッシュのお皿にあしらったり、食卓が華やぎます。



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