リセット中の松井ゆみ子さん。
お休みは1月いっぱいの予定でしたが、あと少しだけ、延長いたします。
しばらくはバックナンバーでおたのしみいただけましたら幸いです。
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リセット中の松井ゆみ子さん。
お休みは1月いっぱいの予定でしたが、あと少しだけ、延長いたします。
しばらくはバックナンバーでおたのしみいただけましたら幸いです。
アイルランドでは最近まであまり使わない言葉だと聞きました。ほんとかな??でも確かにデジタルなものがあふれだしたのはつい近年のこと。リセットという言葉になじみが薄かったのかもしれません。
年明けの1月、わたしの暮らしも”リセット”してみようと思います。
月2回のカントリーマーケットも1月はお休み。ファームも農閑期で休みになり、わたしの海苔巻きづくりもベーキングもしばし休業。
この数ヶ月、引っ越しも加わり、珍しく追いまくられるような日々で、ごはんづくりも手抜きになりがちだったし、新しいレシピをつくる余裕もなく、このままじゃいかんな、と感じていました。そもそも不器用で、時間の使い方が超下手。頭脳の使い分けも得意ではないので、リセットという手段に行き着きました。
なので1月、このブログもお休みをいただくことにいたしました。
次に進むために立ち止まる。そんな時間にしたいと思っています。
リフレッシュ休暇をいただく前に、手抜きレシピをご紹介しておきますね。
パンより手軽。甘くないビスケット生地でつくるピザのような感じかな。トマトソースは使いませんが。冬に欠かせないスープのお供に最適です。
マークのお母さんがアイリッシュシチューを作ると必ず、ペーストリー生地を大きく伸ばしたものを焼いて食卓の真ん中に置き、家族それぞれがちぎってシチューにひたして食べたという話が忘れられず。
これは少しリッチなヴァージョンで、スープ抜きでそのまま食べても充分おしいいです。
【材料】ふたり分
小麦粉 200g
バター 100g
水 大さじ3
ハーブ(タイム、ローズマリーなどを適量。できれば生を)
チェダーチーズ 適量 すりおろす
塩 少々(ナチュラルでよい品質のものを。まぜこまず、最後にちらすのがわたしは好みです)
【作り方】
1.小麦粉とバターをそぼろ状にまぜあわせる。
2.水を1に加えて生地にまとめる。
3.生地を二分して平たくのばす。綿棒なしでもオッケー。あまり薄くしすぎず、5ミリから1センチくらいの厚みで。わたし流は、へりを薄めにし、中央を少し厚めにして、カリカリとパン食感の両方を楽しみます。
4.ハーブ、チーズ、塩をトッピング。200℃に余熱したオーブンで約15分焼き、余熱で5分。
5.オーブンから取り出したらラックの上で5分ほど休ませる。
*カリっとした食感になるには少し冷まさないとならないのですが、冷ましきらない方がおいしいので、うまくジャッジしてください。
*ブラックペッパーやカイエンペッパーを少しまぜるのもおいしいです。
追記ですが、今年のクリスマスディナーはローストチキン。アイルランドでは珍しくもない料理ですが、うちでは滅多に登場しないので充分にエキサイティング。ふたり家族にターキーは大きすぎるし、なにより大味だし。
ガーリックとローズマリーをつめてローストし、焼き上がり20分ほど前に、醤油とマーマレード、バルサミコをあわせたものをまわしかけて軽くカラメライズ。これがいい味をかもしだしました。翌日、ゼリー状になったものがさらにおいしかった!
翌日、スープストックづくり。いつも水を入れすぎて薄味になるのを解消したく、今回は少なめの水(骨1羽分に対して水2リットルほど)で30分じっくり煮出します。ベイリーフ1枚とパセリの軸数本、これで充分でした。
スープをガラス容器に移したあと、同じ鍋と同じ骨に水を1リットル加えてまた30分。2番出汁も充分な味でした。
ローストチキン、ときどき作ろう!と固く決意。
肉だけでなく、スープストックをつくるだけでも調理する価値あり。
余った鶏肉はサンドウィッチ、サラダなどに活用し、スープはカレー、麺もの、炊き込みごはんにして数日間、献立考えずにすみました(笑)。
ブログの再開はヒマールのサイトでお知らせいたしますので、チェックしてくださいませ。
Stay safe & Stay in touch
しばし間があいちゃってすみません。
オイルタンクから聞こえてくるヴァン・モリソンの歌声の続きです。
毎朝11時になると、あいかわらずタンクの中から声が聞こえてきます。
流れてくるのは地元ラジオ番組「フランシー・ボイラー・ショウ」。そうか、ボイラーだからタンクの中か!と納得したら、マークに「残念だけど、ボイラーじゃなくてボイランです」よくある名字だそう。知らなかった。
ここの大家さんは、ちょくちょく納屋やファームのメンテナンスに来るのですけれど、しばらく留守するとかでご無沙汰の時期に起きた出来事。用心深い人なので、きっとラジオにタイマーを仕掛けて「留守じゃないぞ」とアピールしてるのだろうと納得することに。でも、われわれがいるのに??
そしてある朝、大家さんが納屋に置いてある薪を取りに来たとき「ラジオにタイマーかけていきました?」と聞いてみると「おお、ラジオ!なくしたと思ってたよ。タイマーって??」
ラジオは、雨に濡れないようオイルタンクの陰から現れました。中じゃなかったのね。しかし、大家さんはラジオにタイマー機能があるのをご存知なかった……。
それは大家さんが来る時間帯に合わせてあり「夜の11時じゃなくてよかったねー」と笑い合ったあとに気づいたのです。そういう可能性もあったのに、あえて午前11時。やはりプーカだったか……と確信したのでした。
The End ?
話は変わって。クリスマスを控えた12月7日、アイルランドに台風が上陸しました。南西部コーク、ケリー、クレアが最初に直撃され、ゆっくりと北上し、スライゴーに到達したのは夜になってから。日中は比較的おだやかだったので「ここまで来ないんじゃないの?」と油断してたら、やってきました。
キッチンは海の方に向いているし、換気扇から入り込む風の音でラジオのボリュームを上げないとならないほど。
夜半からさらに風は強まり、部屋の照明がふーっと弱まるときがあり、停電するかも……と心配し始めました。念のために、いつもより多くのキャンドルを灯しておいたのは大正解。うたた寝して目が覚めると電気もラジオも消えており。
おまけにバスルームは水浸し!幸いトイレからの水ではなかったのですが、部屋まで水がきたらどうしよう……停電はいつまで続くのか?ごはんは!?
クッカーもオーブンも電気なので手も足も出ません。お茶も飲めないのか〜
おにぎり作っておくべきだった、と反省しながら寝直したのですが、幸い翌朝、電気は復旧しました。まだ停電が続いている地域も多かったので、うちはラッキーだったようです。バスルームの水も引いていました。前の家だったら、どこも雨漏りでえらい騒ぎだったと思います。
強風は翌日の夕方になっても勢いが衰えず、今までここで体験した風雨の中ではダントツに激しかった。家の中で聞いているだけで、なんだかひどく疲れました。レスキューの人たちや、電気工事の人たちは、ほんとうにたいへん。
そんなこんなで、レシピのご紹介はもう少しお時間くださいませ。
火を使わない料理を研究しておかなくちゃ!と考えています。
突然ですが、引っ越しをしました。
拙著『アイリッシュネスへの扉』をお読みくださった方々は「ええーーっ??」と驚かれると思いますが、わたしとマークにとっても突然な成り行きで。でも結果的に、心地よい家で快適な暮らしをスタートさせることができ、新たな扉を開くことができました。今度の家は、ファームハウス。大家さんはシープ(羊)ファーマーですが、セミリタイアしていて家畜はいません。でもここは今も“ワーキング・ファーム”。大きなトラクターを間近で見られる機会がついにやってきました。
ここでアイルランドに関するクイズです。この国の収穫高ナンバーワンは何だと思われます?じゃがいもって答えたくなりますよね?
実は「草」。家畜の飼料となる牧草なのです。ここのファームも大きな納屋に干し草が積まれ“現役”ファームであることを物語っています。
家は大家さんの実家で、祖父が建てたもの。今はモダンに改装されていて暖房もばっちり。わたしにとっていちばん大事な台所も機能的でとても使いやすく、安堵しています。
新居がマイホームになる瞬間に気づきました。この国の住居の鍵は、どこもクセがあって慣れるのに一苦労。常宿にしていたB&Bの玄関の鍵もなかなかひとりで開けられず、何度かネグリジェ姿のおかみに助けてもらって、おおいに恐縮したものです。
この家の鍵もご多分にもれず。ちょっとしたコツをようやく覚えたばかり。もうひとつの“難関”はオーブンです。この国の借家(アパート=フラットも含む)の付帯設備のひとつがオーブン。これは大家さんが管理すべきもののひとつなのだそうですが、わたしの使用頻度は尋常でなく、これもまた恐縮の極み。今までに4台のオーブンをお釈迦にしており……“経費でまかなえる”ということなのでしょうけれど、かなり気が引けます。
そんなわけで、まずはどの借家にもあるオーブンですが、どれも使い勝手が異なり、慣れるのに少し時間が要る場合も多々。前の家にはオーブンが2台あり、1台はサーモスタットがイカれていて、ほうっておくと200度以上まで上がり、何度かケーキを焦がしました。
今回はふつーにほどよく焼けて、安堵。オーブンと鍵、どちらもアンダーコントロールで、家は早々に「我が家」になりました。
さて、プーカ(おばけ)の来訪について。
引っ越して早々、台所の窓を開けると裏庭で誰かの喋り声が。大家さんが納屋を修復しているので、来ているのかな?と見に行くと誰もおらず。話し声はラジオであることに気づき、納屋の中に忘れて行ったのねと納得したのですが。
外出していたマークに顛末を告げると「そんなわけない、ラジオは見つけてオフにした」。うそ。でも聞いたもん、ラジオから流れる番組。
そういえば、いつのまにか音は消えていた……
そして翌日。やはりマークの外出中に外で音楽が。確認に出動しました。
裏庭に流れるのはヴァン・モリソンの曲で、それはなんと暖房用のオイルタンクの中あたりから響いており!
プーカの仕業にちがいない。
わたしは家に戻ってきっちり鍵をかけました。
続く
PS:この家で初めて作った「ベーコンの炊き込みごはん」がとてもおいしくできたので、ご紹介しますね〜〜
【材料】2人分
米 1カップ半
オリーブオイル 小さじ1
にんにく 2カケ スライス
ベーコン 厚切り2枚
焼酎(お酒ならなんでも) 大さじ1 オプション
たまねぎ 半分 みじん切り
しょうが 1カケ みじん切り
にんじん 2〜3cm の角切り1カップ
カブか大根 2〜3cmの角切り1カップ
長ネギ スライス 1カップ
生タイム 2本ほど
塩 小さじ1/4
しょうゆ 小さじ1
水 2カップ
【作り方】
1.米をざるに入れて洗い、水をきって30分ほど置く。
2.厚手なべにオリーブオイルとにんにくを入れて火にかける。
3.ベーコンを入れ、焼き色がついたら取り出し、適当な大きさにスライス。
*取り出す前に焼酎を加えて少し煮詰めるとベーコンがやわらかくなります。
4.たまねぎをさっと炒め、ベーコンを加え、さらにしょうが、にんじん、カブか大根、長ネギ、米、水を加える。塩、しょうゆを足し、上にタイムをのせて蓋をし、強火にかける。
5.沸騰してきたら弱火にして15分炊く。
6.一度強火にして半秒ほど待ち、火をとめて10分。
★5の時点で一度蓋を開けてみて、水っぽいようならもう1〜2分、火にかけてください。
いつもながら大雑把なレシピで恐縮ですけれど、おいしかったので!きのこや、ほうれん草やいんげんなどを入れるといいと思います。
ベーコンは、脂身の少ないステーキ用がベスト。加工肉は極力使わないようにしているのですけれど、上質なものをたまにはいいかなと思っています。
かわいい名前でしょう?
初めて瓶詰めの“piccalilli” を見つけたときは、なんだろう??と不思議でした。カレー色をしたピクルスで、調べてみると“インドのピクルス”。見た目そのまんま(笑)。
18世紀頃からイギリスで親しまれている食材なのだそうですが、アイルランドの中部域ではあまり目にすることがありませんでした。近所の店になかっただけかな。スライゴーのご贔屓食材屋さんにはイギリス産のものも多く、ピカリリもそこで発見。
レシピを探してみると、やはりスライゴーの人気カフェ“surf cafe”のレシピブックに載っていました。
豪快に野菜2キロを使ったレシピで、瓶詰めがいくつもできるのでしょうけれど、初めて作るのには勇気のいる量なのでぐっと減らし、調味料の数もぎりぎりまで削った簡単バージョンです。味に遜色なし。
食べきりサイズで保存食の意味がなくなっちゃいましたが(苦笑)。
あ、そうそう。
今、オーブンが壊れていて、ベーキングができないのです。
壊れたというより、オーバーワークのための過労死なんです(涙)。
この20年間でオーブンをお釈迦にしたのは、これで4台目。うち3台は借家の前住人が使っていたものなので、時期が来たと思うこともできるのですが、1台は前の家で新品に入れ替えてもらったのに、確か5年ほどで力尽きた(泣)。
アイルランドではオーブンは必需品のひとつで、設置は大家さんの義務の範疇なのだそう。家族の人数が多いとオーブンは欠かせませんし、なによりクリスマスのごちそうが作れませんものね。
しかし、わたしの使用頻度は尋常ではないので「せめて半分持ちます」って言うのですけど、前の大家さんも「いいから、いいから」とおおらかでした。助かる。
オーブンが使える日まで、しばしベーキング以外のレシピをご紹介いたしますね。
蒸しケーキのレシピもほぼ完成、乞うご期待!
【材料】
野菜(きゅうり、カリフラワー、ズッキーニ、たまねぎ、にんじん、パプリカ)計400g
*カリフラワーとズッキーニはマスト・アイテムです。
*細かくなりすぎないよう一口大にざく切りにし、大きなボウルに入れて塩小さじ1を加えてまぜあわせ、一晩置きます。
*にんじんは、軽く下茹でした方がいいかな〜。あるいは、薄すぎないスライスで。
コーンフラワー 小さじ1
カレー粉 小さじ1
粒マスタード 小さじ1
マスタード 小さじ1
水 100cc
はちみつ 小さじ2
ビネガー 大さじ1
【作り方】
1.コーンフラワー、カレー粉、粒マスタード、マスタードをまぜあわせておく。
2.水、はちみつ、ビネガーを火にかけ、沸騰したら火からおろし、1をまぜあわす。
3.水気を切った野菜に、2が熱いうちにまぜあわす。
*量が少ないので長期保存には向きませんが、2〜3日は大丈夫。すぐに食べ切れてしまうと思いますが(笑)。
*肉や魚の付け合わせにしたり、ハムやチーズに添えたり、サンドウィッチの具材にもなります。わたしはサラダ代わりに、そのままぱくぱくいただきます。
ちっともレシピをアップしなくてすみません〜〜
本日も少々手抜きですが、ひさびさの焼き菓子です。
拙著「アイリッシュネスへの扉」のおまけレシピ、作ってみました? りんごの季節到来なので、ぜひお試しくださいね!
そしてこれは「進化」したアップルケーキ。最近はこのバージョンで作っています。手順はほとんど変わりませんが、ポイントはアーモンドフラワーを加えて味に奥行きが出たこと。りんごをたくさん入れているところ。
なんせ庭でじゃんじゃん収穫できてしまうので、なるべくたくさん消費できるレシピというのが重要なんです。たくさん入れると、ごろごろして焼き上がりが心配でしょう? ところが!
生地の中で案外小さくなるし、ケーキ自体がりんごでしっとりするし、甘みもでてきて大成功。りんごはヘルシーですしね。たくさん入れましょう。
紅玉1個としていますが、どのくらいの大きさだったか忘れているので(苦笑)、試しに1個からはじめて、まだいけるな、と思われたら、増やしてください。
生地が増えすぎちゃったら、型を大きくしてたくさん召し上がってくださいませ〜。
以下の分量にココア大さじ2を、粉類をまぜるときに加えて、チョコレート味にするのもいいですよ〜。ファームショップでは、まずチョコ味から売れます(笑)。
まだやってないんですけど、チョコ味のときはレーズンをラムなどに漬け込んでおくと合うのじゃないかな。ナッツはほぼ必須。超合いますから。
三温糖をはちみつやメープルシロップにする場合。
分量は40gほど。手順はバターを湯煎で溶かしてはちみつをまぜ、卵を入れるタイミングでまぜこんでください。ちょっとふくらみにくくなるかもしれません。そしたら次回は、ベーキングパウダー小さじ半分、重曹小さじ半分で作ってみてください。解消できるはずなんだけどなー(と、またもや乱暴な料理人の発言)。
「アップルケーキ進化系」
【材料】 1/2 パウンド型
バター 60g
三温糖 60g
薄力粉 100g
アーモンドフラワー 20g
ベーキングパウダー 小さじ1
シナモン 適量
レーズン 適量
紅玉 1個
卵 1個
*牛乳(オプション)生地が粉っぽいようでしたら少し。
*くるみ、アーモンドをまぜたり、トッピングすると食感が楽しめます。
【作り方】
拙著の付録とほぼ同じです。少し変えているのは、りんごをざく切りにして、生地にまぜこむところ。
1.バターと三温糖をクリーム状にする。
2.粉類、レーズン、ざく切りにしたりんご(5センチ四方✕1〜2センチの厚みくらい。大きさは不揃いの方が食感をいろいろ楽しめます)、卵を加えてさっくりまぜ、粉っぽいようだったら牛乳でととのえてください。
3.アーモンドをちらし、180℃に予熱したオーブンで30〜40分ほど焼けば完成。
追伸
ヒマールのツイッターで紹介していただいたわたしの音楽コラム ”クラン・コラ”というメルマガでも掲載されています。充実の執筆陣ですので、ぜひご購読を。無料です〜〜
【追加情報】
新刊O’Bento、アイルランドにお住まいの方は以下の書店で販売しています。
今のところ国内のみ郵送してくれます。
価格は24ユーロ(送料別途ですが、5ユーロ以下と思います)
Liber bookshop Sligo
071-9142219
info@liber.ie
オンラインショップは liber.ie
bookという項目の中の Food&Drinkをクリックすると料理本が出てきます。
拙著は2ページ目に。表紙をクリックすると内容とともにカートが出てきます。
どうぞご利用くださいませ!
5年を費やした「O’Bento」もやっと完成! 感無量です。
アイルランドで編集を担当してくれたシボーンの、情熱と忍耐がなかったら実現できなかった料理本。デザイナーのショーンとともに、感謝してもしきれません。奇しくも、ここでもまた「アイリッシュネスへの扉」と同様ミニマムなチーム構成でした。編集者、デザイナー、著者の3人に印刷屋さん。
印刷は「Printed in Ireland」にこだわり続けた結果、北アイルランドのタイローンで印刷できました。超クール!!
今年の国技ゲーリックフットボールで優勝を遂げたのもタイローン。応援しましたとも。国の大半が、対戦相手のメイヨーを応援する中で。すべてがラッキーな方向へ向かうような気分にしてくれました。
「O’」としたのは、アイルランドの名字「O’Donnell」などに使われる「O’」を利用したら覚えやすいかなと思ったのです、この国でもぼちぼちBentoは見かけるようになっているのですが、わたし自身「べんとー」と口にするのに抵抗があり、「お」はつけようよ、と提案したかったのです。
ちなみに名前につく「O’」は息子を意味し、O’Donnellはドネルさんの息子という意味。O’Bentoの「O’」は丁寧な言い方です、と説明しています。
「O’Bento」はおべんとうをテーマにしていますが、レシピはランチにもディナーにも使えるようにしていますし、おやつも盛り込んでいます。
アイルランドのおべんとうといえばサンドウィッチに果物、お菓子がちょこっとといったシンプルなものばかり。グルテンフリーが主流になる中で、ランチボックスの中身はあいかわらずというのは、いかがなものか?
冷めてもおいしく食べられる日本米を紹介しつつ、自家製のパイなどなじみのあるものも含めています。ベジタリアンが増えているので、肉なしの麻婆豆腐やビーフンなど、日本人にはちょっと珍しいレシピも。
出汁や、みりん、酒など、ふだんここで使わない食材を加えないレシピなのが工夫したところです。
海苔巻きなどに使う酢飯も、レモンとはちみつを使っています。酢にはグルテンが含まれていることが多いので。
ヒマールのじゅんこ編集長から「O’Bentoから1品、紹介してください。和訳で!」とリクエストがありましたので、ご披露いたしますね。
「肉なし麻婆豆腐」
夫マークの大好物。ベジタリアンメニューを捻出しているときに思いつきました。作ってみて「なんだ、肉を入れなくても充分おいしいじゃん!」と自画自賛。家にある野菜でさっと作れる気軽な1品になりました。
【材料 2人分】
干ししいたけ 2枚(水100mlに15分浸し、スライス)
にんにく 1カケ みじん切り
しょうが 15g
豆腐 1丁
長ネギ 1本 スライス
*ソース
味噌 小さじ2
ケチャップ 小さじ2
はちみつ 小さじ2
醤油 小さじ2
唐辛子 1本 種をとってみじん切り
片栗粉 小さじ2(葛粉もおすすめ)
しいたけの戻し汁 100ml
水 100ml
【作り方】
1.深めのフライパンにソースの材料を入れてまぜあわせ、にんにく、しょうが、しいたけを加えて火にかける。
2.ソースを煮立たせて、とろみが出たら豆腐とネギを加えて3分ほど煮ればできあがり。
*おべんとう本のレシピとは、若干変えています。
しいたけの戻し汁など、ビギナーのアイリッシュには少しクセが強いかな?と思って減らしていますが、逆に日本では物足りないかもしれませんので。
材料は最少限にしていますが、にんじんのみじん切りや、さやえんどうなど、いろいろ加えてみてください。セロリもいい仕事します。野菜を足すときは、豆腐を入れる前にもう2〜3分煮てください。
とろみは少なめかもしれません。ベシャメルなどクリームソースはポピュラーですが、アジア系の「あんかけ」はあまり見かけないので、さらっとした仕上がりにしています。
【追加情報】
新刊O’Bento、アイルランドにお住まいの方は以下の書店で販売しています。
今のところ国内のみ郵送してくれます。
価格は24ユーロ(送料別途ですが、5ユーロ以下と思います)
Liber bookshop Sligo
071-9142219
info@liber.ie
オンラインショップは liber.ie
bookという項目の中の Food&Drinkをクリックすると料理本が出てきます。
拙著は2ページ目に。表紙をクリックすると内容とともにカートが出てきます。
どうぞご利用くださいませ!
拙著がオフィシャルに出版され「届きました」や「半分読んだー」などなどメールがわんさか。ひさかたぶりの”声”も多く、返信も長くなりがちで、先週はずっとパソコンの画面に向かっておりました。なので今回のブログはレシピなしでごかんべんください。そのかわりというのもナンですが、毎週土曜日の昼食風景をご披露いたします。
土曜日はオーガニックファームに焼き菓子を納品し、オーダーしていた野菜をピックアップする日。金曜日は丸1日、焼き菓子作りに追われるので、土曜日はその開放感もあり、採れたての新鮮野菜と、アンの作る自然酵母パンの、シンプルだけれど最高のごちそうを楽しみます。
ここに引っ越してきて、お皿に並ぶ食材に、それぞれ「だれそれさんの」と生産者の名前がつくことに気がつきました。
たとえばこの日。ジェリー・バーンズのビーフ、エイダンのサラダリーフとズッキーニ、アンのパン。すてきでしょう? ときには、ジョニーのサバや、ジェイソンのポロック(スケソウダラ)、ヤスミンのレタスと卵なども。新たに加わったのはエルカのアップルジュース。エルカからも卵をいただいた。サイダー(シードル)作りのためにおすそわけしたリンゴのお返しで。
日曜日にマーケットがある週は、ここにイーアンの野菜や最近やみつきになっているコーリーンのチリジャムなども肩を並べます。生産者が異なると同じ野菜でも味がちがうので、エイダンとイーアンのじゃがいもの食べ比べなど楽しみも倍増。
ポロックは身がくずれやすいので、まだ調理になれませんが、大きなタラよりも味が繊細で新たなお気に入りの魚になりました。ジェイソンが自分で釣って、きれいにさばいてきてくれるので大助かり。耳よりな情報も。
「タラは大食いで、腹をさばくと中からヨーグルトのパックとか出てくるんだぜー。その点ポロックはお上品でね、食べるものを選ぶから内臓美人」
フィッシュ&チップスといえば、たいていはCod(大きいタラ)を使いますが、最近ポロックを使うレストランを発見。値段が安いこともあるのでしょうけど、理由はそれだけではなさそうです。
上記の人たちのほとんどは、拙著新刊の登場人物ですので、合わせてお楽しみくださいね。おっとエルカはここで初登場。去年までクリフォニー・カントリーマーケットのメンバーでした。今はお客さんとしてやってきます。彼女のだんなさんは趣味でリンゴの発泡酒サイダー(シードル)を作ると紹介されたのが去年の秋の終わり。残念なことに、庭のリンゴのほとんどは使い切ってしまっていて「来年は必ず」と約束していたのです。すでにやってきた「来年」。今年は大豊作だったので、助けて〜〜とリンゴもぎに来てもらいました。
次に、わが食卓を飾るのは手作りサイダー。週末にエルカのファミリー総出で収穫したリンゴがお酒になって帰ってくるのです。
まさしく、わらしべ長者の気分!
<編集部より>
松井ゆみ子さんの新刊「アイリッシュネスへの扉」、9月1日に発売となりました。
通販でのお求めはヒマールのオンラインストアにて、ぜひどうぞ!
お読みになっての感想など、こちらのブログのコメント欄にぜひお寄せください。
早々にご予約くださった方々は、すでにお手元に届いていると思います。まだ刷り上がってもいない時点でご購入くださって、恐縮しております。
アイルランドに到着するのはいつかしら??
ヒマールの辻川純子編集長が、速攻で発送してくださって。ポストカードのときと同様、北アイルランド在住の「O’Bento」本の編集者シボーンあてです。日本とアイルランド共和国間の郵便事情はまだ改善しておらず、イギリス圏の北アイルランドへの郵便はずっと早く届くので。待ち遠しい〜〜
でも、多少のタイムラグがあってよかったのかも。本は、出版されると同時に著者のものではなく、読者のものになるのだと誰かが言ってましたけれど、ほんとうにそのとおりなんです。できあがった拙著を見て「え? 誰が書いたの?」という感じで、実感がわかない。
友人が「本を作るって、出産みたいなものよね」って言ってくださったのですが、産んだ途端に成人して家から出て行っちゃう感じ。なんだかネガティヴに聞こえることを書いちゃいましたけれど、強調します。拙著はみなさんのものになりました。お楽しみいただけたら嬉しいです!!!
で、タイムラグ。忘れた頃に届く拙著に「わー、できた〜〜」って、無邪気に喜べたらいいなと思って。
そして、なんと。5年がかりで制作していたレシピ本「O’Bento」も、今印刷にとりかかっています。2冊同時刊行は人生初。狙ってできるものではありません! なんせ日本とアイルランド2カ所で、ばらばらに取りかかっていた作業ですから。
たくさんの方々に読んでいただくための努力をしつつ、次の本にとりかかれる喜びを密かにかみしめてもいます。
ツイッターに、拙著新刊が出ると思わなかったってコメントがあり、ちょっとショックでした。17年かかっちゃいましたけど、出す気は満々でしたので(笑)。
ご感想、ご意見、どうぞ遠慮なくお寄せください。お手やわらかに〜
通販でのお求めはこちら!
オーガニックファームのショップでの”小商い”で、定番のケーキです。
以前ご紹介したシュガーフリーのアーモンドケーキの応用版。手抜きな感じで恐縮ですけれど、最初にご紹介したのはレモンの搾り汁だけのシンプルなもので、これに果物を加えるとぐっと特別感が増すので、ぜひお試しいただきたく。
写真のは、初物のプラムをのせました。まだちょっと酸っぱかったので、アガヴェシロップを少し回しかけ、その上にアーモンドスライスをトッピング。アーモンドはから炒りしなくても、焼いている間に香ばしくなるので大丈夫。
もうひとつの応用版はパイナップル。これは大好評で、売り切れ必須のアイテムになりました。缶詰ではなく、生のパイナップルを刻んで生地にまぜこみ、さらにスライスしたものをトッピングし、アーモンドスライスをちらします。
難点は、パイナップルが生地になじみにくいのか、少し大きめに刻むと焼きあがったあと、気をつけないと壊れやすいのです。おうちで食べる分には「切る手間が省けた」くらいですみますけれど、どなたかにあげるときはちょっとヒヤヒヤ。アイルランドでは「ちょっと割れちゃってるけど、ごめーん」ですんじゃいますが(笑)。
どういうわけか、スライゴー界隈では生のパイナップルがとてもポピュラーで、最初はびっくりしました。ニューブリッジでは、大きなスーパーに行かないと買えませんでしたし、いつもたくさんあるというわけでもなし。
それがスライゴーでは、コンビニのような店でも扱っていましたし、スーパーではほとんど山積み状態。おまけに安いし。
友人は、家で作るスムーディーのベースにするため、パイナップルは常備。アイルランド北部のキッチン風景としては、かなり不思議な感じです。
そんな土地柄なので、パイナップルケーキを思いついたわけです。
アップサイドダウンケーキといって、輪切りのパイナップルと、その真ん中にチェリーの砂糖漬けを飾り、ケーキ型の底にならべ、その上に生地をのせて焼いたケーキがあります。焼きあがったら逆さにして、パイナップルが上にくるので”アップサイドダウン”。これは缶詰のパインを使うようで、おまけにザラメのお砂糖を型にまぶし、焼き上がりがカラメル状態に。チェリーも甘いし、そこそこあま〜いケーキです。
わたしのパイナップルケーキは砂糖抜き、メープルシロップかハチミツで作るので、さっぱり系です。
焼き上がりに、アイスクリームをのせていただくのもおすすめ。
レモンのシャーベットとかも合う気がします。
<編集部より>
松井ゆみ子さんの新刊「アイリッシュネスへの扉」、まもなく発売です!
早ければ今週前半にも印刷所からあがってくる予定。
すでにたくさんの方にご予約でご購入いただき、誠にありがとうございます! 印刷所より納品され次第、発送いたしますので、どうぞあと少しお待ちくださいませ。
特典ポストカード付きのご予約購入は発売日前日8/31まで承っております。ぜひ!