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アイルランドのパブ(その2)

パブで行われているというセシューン(セッション)を観たい!聴きたい!と憧れていたアイルランド。
が、しかし、パブに行けばセシューンをやっている、というわけではなかった、やはり……。

週末だけ、とか、毎日やっているわけじゃない店が多い。
そもそも、音楽の演奏をまったくやっていないパブも結構ある。
静かに飲んだりおしゃべりしているだけだったり。
ビリヤードに興じていたり。
テレビでサッカーや競馬(アイルランドの文化のひとつです)の中継を観ていたり。

ゆみ子さんちの近所のいきつけにも、音楽をやらないパブがあるそうで。
そのパブに、なんと!
某ローリングストーンズの某メンバーが、ギターを持ってやってきたことがあるんですって!!
そうして、おもむろに演奏を始めようとしたところ、店主が「すみませんが、うちは音楽はやらない店ですので」と。
いや〜!なんというか!!
そういう姿勢、見習いたい、です。

さておき、音楽をやっているパブでも、うっかりセレクトを間違えて入ってしまうと、ビートルズ・メドレーだったりすることもありました……。
で、私たちが聴きたかったアイルランドの伝統音楽のセシューンをやっていたパブで、とりわけ「好きだー」と思ったのが……

スライゴーという街のShoot the Crows。
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店内の雰囲気、店主の方の感じ(滞在中マークさん以外で唯一「ありがとう」と日本語で話してくれた人)、なぜか無性に吉祥寺の曼荼羅が思い出され、妙に落ち着く(苦笑)。

パブめぐりでは、まず夕方に気になった店に入って一杯飲み、「今夜、音楽がありますか?何時からですか?」と聞いて、音楽が始まる時間帯に出直す、あるいは音楽がなかったり雰囲気がイマイチだったりしたら別の店に行く、という作戦をとりました。

Shoot the Crowsは「ウォーターボーイズのフィドラーの人が演奏してる日もあるのよ〜」とゆみ子さんに教えてもらっていたし、店の感じもとても気に入ったので、夜にふたたび。
ウォーターボーイズの人ではなかったけれど、ギターとボタン式アコーディオンの二人の演奏で、なかなかよかった!

shoot the crows2

 

観光客も多い(滞在中唯一、日本人観光客にも会った)ゴールウェイという街では、ちょうど、Galway Sessionという小さめの音楽イベント週間が始まったところで、毎日、夕方にも夜にも、セシューンをやっているパブがたくさんありました。ナイスタイミングー!

Tigh Coiliは店の感じも(若い店員さんの仕事ぶりがすごい!)セシューンも、かなりよかった。
tigh coili1

チーフタンズ!これ、欲しかった〜!
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初日の夕方のセシューンでバンジョーを弾いてた人が、翌日に行った楽器屋のおじさんだったので、「昨日、演奏を聴きました!」と言ったら「ああ、パブでね。昨日のは、まあまあだったね」と、かなりクールでした。
tigh coili1

そのときに「日本から来たの?英語を勉強に来てる日本人で、フィドルを演奏する女の子がいるよ」と教えてもらったのですが、翌日の夕方、たまたまTaaffes Barというパブに行ったら、その女の子と思われる人がセシューンに参加してた!
taaffes bar1

このときは途中から、小さな女の子ふたりが飛び入り。
自分たちのまだ知らないチューンの間はじっと座って待ち、知っているチューンが始まるとサッとフィドルを構えて弾き始める。
可愛らしかったです!

ところで、セシューンに参加している人たちには基本、店から出演料のようなものは出ていないそうです。
お客さんも演奏に対してお金は払っていません。投げ銭のようなものもなし。
演奏者は自分の飲み物を、ほかのお客さんと同じようにカウンターまで来てお金払って買ってました(隣に一緒に来た家族が座って、お世話している姿も)。
お客さんも、音楽を聴きたくて来ている人がいないわけじゃないけど、大声でおしゃべりしている人のほうが多くて、話し声がすごくうるさくて、ちょっと離れるとほとんど演奏が聴こえない(苦笑)。生音だから。
みんな聴かないの?失礼じゃないの?演奏してる人たちはそれでもいいの?と、???が浮かびまくりましたが、ゆみ子さんによると「それでいいの」だそう。
演奏者はセシューンの場所を提供してもらえれば、それでいい。
自分たちの演奏しか耳に入っていないから、周りがおしゃべりしていても気にならないらしい。
確かに、お客さんに聴かせよう、という感じはあまりなくて、自分たちのペースで演奏している感じでした。
近くに座ったお客さんとビール飲みながらしばらくしゃべっていて、なかなか次の演奏が始まらなかったことも。
でも、ときどき、演奏者全員のテンションがぐーっと上がっていって、ものすごく高いところで鳥肌ものの演奏がずーっと続くときがあって、そのときはやっぱりおしゃべりをやめる人も増えるし、演奏が終わってからもしばらく、いや〜いいもん聴かせてもらったわ〜、ものすごくいい演奏だったわ〜、と聴いているほうも興奮するのでした。

観光都市ゴールウェイは、朝から晩まで、路上で演奏している人もたくさん。

このフィドルの子、すごくうまくてかっこよかったー!
スプーンズの人と演奏してたかと思ったら、ギターの人と演奏していたり、一人で弾いていた時間も。
一日中弾いてるの!?と思うくらい、通るたびに見かけた。
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こちらは、たぶんゴールウェイの大学生グループ。
演奏はあんまり上手じゃなかったんだけど……どの子も可愛かったので(笑)つい投げ銭しちゃったおじさんとおばさんです(苦笑)。
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アイルランドのパブ(その1)

まずは、パブ!です。

メニューは飲み物だけ、というパブが思っていたよりも多くて、へえーそうなんだー、と。
大きなパブで昼間は「フィッシュ&チップス」や「シチュー」などアイルランドの伝統的な家庭料理をランチに出すところもあったけど、あとはあるとしても「今日のスープ」と「サンドイッチ」、せいぜいポテトチップスの小袋を置いているくらい。
ポテチ小袋さえない店も。

こちらは、料理も出す大きめパブでのランチ。

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ゆみ子さんと3人で、フィッシュ&チップス、シェパーズパイ、サラダ盛り合わせ(付け合わせ用の野菜だけをお願いして盛ってもらった)をシェア。
ちなみに、アイルランドの人は基本的にシェアはしないそう。

パブで、ほとんどの人が注文するのはビール。
田舎町の小さな店でも、カウンター内に少なくとも7〜8本はタップが並んでいました。
こんな感じ。
カウンターの上からのぞいて光っているのがビール類のタップ。

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カウンター越しに注文して現金と引き換えで受け取ります。
基本は1パイント(約568ml)。
こんなに飲めるか!と思ったけど、飲めちゃうんだな〜(苦笑)。
「ハーフ」か「グラス」と言い添えると、小さいグラスで出てきます。

1パイントとハーフ

アイルランドと言えば、ギネス!ですよねえ。
1パイントグラス1杯が、店によって4.3〜5.3ユーロくらい。
日本で飲んだことのあるギネスよりもスムースで、すいーっと飲めました(笑)。

ゆみ子さんによると、少し前まではギネスのモノポリー(独占状態)だったそうですが、最近はほかのスタウトも見かけるようになったとのこと。
私たちも滞在中、ギネスのほかにマーフィーズやオハラなどのスタウトを飲みました。

逆に、最近は「若者のギネス離れ、スタウト離れ」というのが深刻な問題なんだそうで……。
確かに、パブで観察していると、クアーズライトとかハイネケンとか、軽くて冷たい外国産ビールを飲む若者が多かったなー。

冷たい、と書きましたが、ギネスをはじめアイルランドのビールは、日本のビールほど冷えていない感じがしました。
ぬるいってほどではないですけど、冷たーいって感じではなかったです、スタウトだけじゃなくエールも。

エールも、おいしいアイルランドビールがたくさんありましたよ〜。
スミズィクスというレッドエール(ブラウンエールかな?)が気に入って、よく飲みました。

あと、アイルランドもやはりクラフトビールが流行っているそうで、「すぐ近くで作っている」とか「ウチのパブのオリジナル」とか聞くと、これまた飲みたくなるもので〜(苦笑)。

ビールの次に、パブで注文が多そうだったのは、サイダー。
りんごのお酒、シードルです。
ブルマーズというのをよく見かけました。
とりわけ女子に人気っぽい。
夏の飲み物というイメージもあるそうで、おじさんたちもかなり飲んでました。
私も何度か飲みましたが、サイダーの1パイントは無理!(女子もおじさんも1パイントで飲んでたけどね〜)。
だって、甘いし、実はギネスより度数が高いし、たぶんカロリーも……(苦笑)。

アイルランドはウイスキーも有名で、もちろんウイスキーやジンなどのボトルもカウンター内にずらりと並んでいたし、最近ではグラスワインを出すパブも増えてきているそうだけど、飲んでいる人はたまーにしか見かけなかったな〜。
夏だから、かもしれないですけどね。

それよりも、ミルクティーを飲んでいる人が結構いた!
オーダーすると、ステンレスのポットに入った紅茶と、大きなピッチャーにたっぷり入ったミルクと、マグカップが出てきます。
席がなくて立ってる人もいるほどぎゅうぎゅうに混雑しているパブでも、紅茶をオーダーする人はわりといて、そうするとポットやミルクピッチャーが置けるように、店の人やその人が頼んだりしなくても当たり前のように、カウンターやテーブルの隅があく。なんかすごい。

大体が、こんなにお酒を飲む人が大勢集まる場所なのに、酔っぱらって喧嘩になるとか、くだをまいて周りに迷惑をかけるとか、吐いて店内を汚すとか、お酒が原因のそういうトラブルは驚くほど少ないのだそう。
私たちも滞在中に一度も見なかった(酔っぱらって大声出してる観光客はホテルにいましたけどね……)。
マークさんが「アイリッシュの気質かなー」とおっしゃってましたが、観察していると、飲み方にも理由がありそう。
時間をかけてゆっくり飲む人が多い印象です。
パブは禁煙(パブに限らず人が集まる室内は原則禁煙らしい)なんですが、タバコを吸う人が少ないわけでは決してなくて、飲んでいる途中でグラスを置いたままタバコを吸いに外に出る、で、戻ってきてちょっと飲んでまた吸いに出る人が結構いる。
誰かとしゃべったり、音楽を聴いたり、持ってきた本を読んだり、ぼーっとしながら、ちびちび飲んでいる人も。
冷え冷えのビールじゃないからか、多少時間がたってもおいしく飲めるんですよねー。
1杯で1時間以上(!)とか全然アリ!
おつまみとかなく、ビールだけで、ですよ。
で、ほとんどの人が1杯か2杯で帰る、または店を変えている模様。

こうして毎日パブに通っていたら、素朴な疑問がわいてきました。
大きな街の、混雑するほどお客さんがいるパブはさておき、小さな田舎町の、カウンター席におじいさんが4〜5人しかいないようなパブは、なんでやっていけてるんだ!?と。
ゆみ子さんとマークさんに聞いてみると、田舎町だと副業を持っている人もいるとのこと。
隣や近所でほかにパブ以外の店をやっているとか、家族がほかの仕事で収入があるとか。
パブはライセンスがないとできなくて、このライセンスは新たに発行されることはないのだそう。
つまり、すでにライセンスを持っているパブが代々引き継がれていくのが基本で、新しくパブを開きたい場合は、跡を継ぐ人がいなくて閉店することになったパブからライセンスを買い取るしかない……つまり、過当競争のようなものがない。
しかし、いずれにせよ、なによりも、パブはアイリッシュにとってなくてはならない場所、とりわけ田舎になればなるほど、社会的にも大切な役割をもつ場所、誰にも行きつけのパブがあってほぼ毎日通う場所、自宅ともう一つの居場所みたいなところ、だからなくなることはない、アイリッシュの大切な文化の一つ、なのだそうです。

お酒を飲めない人も、パブにはたくさん。
ジュースやミルクティーを注文しても全然オッケーな感じ。
夜遅くない時間には子どもも来てたし。

田舎町の静かなパブにて。
カウンター席のお客さんとお店の人の会話、私にもっと英語力があれば……
どんな話をしているのか、こっそり聞いてみたかったな。

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ところで、パブの近くに泊まると、真夜中や朝にガラガラとうるさい。
正体はこれ。
ぜーんぶ、ビールとサイダーの樽です!

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夕べもみなさん、よく飲んだのねー。

さて、かなり長くなってしまいましたが、パブの話はまだまだ、音楽のことなどを「その2」で!
続きます!!

アイルランドへ

長い休みをいただき、ありがとうございました!
本日よりまた、いつも通りの日々です。

休みの間、アイルランドへ行ってきました!
2013年7月に開催した「ロバとめぐるアイルランド」にご参加くださった方はきっと、「ああ、あのときの!松井ゆみ子さん!」と思い出してくださるでしょう。
あのアイルランドイベントでとってもお世話になった松井ゆみ子さんが、この5月に20年来のパートナーであるマークさんとご結婚されたので、直接お祝いをお伝えしたいし、この機会に行ってこよう!と。

アイルランドへはずっと、行ってみたいと思っていたのです。
HEAT WAVEの山口洋さんやSOUL FLOWER UNIONなど、大好きな日本のミュージシャンをきっかけに知るようになったアイルランドの音楽。
行ってみたいなあ、パブで行われるというセシューン(SESSIONのこと)を生で聴いてみたいなあ、と思っていたのです。
けれど、いわゆるアイルランドのガイドブックなどを見てみると、ほかにどんな見どころがあるのか……
もちろん、なくはないんですけど、いまひとつ、行っておもしろいのかどうか、よくわからなかった……(苦笑)
ゆみ子さんと知り合っていなかったら、まだまだ行っていないかもしれません。

だから、ゆみ子さんと知り合えてよかった!アイルランドに行けてよかった!!
ものすごーく、よかったのです!アイルランド!!
実際に行ってみてわかるよさが多いと思うので、言葉や写真ではうまくお伝えできないかもしれませんが、ぜひ、一人でも多くの方に興味を持ってもらって、行ってもらえたら嬉しいなあ、と。
それくらいホントおすすめしたいので、これから何回かにわけて、アイルランドのことを書いてみようと思ってます。

都合により1回目以降、中断してしまっている松井ゆみ子さんの「ロバとめぐるアイルランド」も、ゆみ子さんが帰国されたらまたぜひ!とお願いしていますので、どうぞ気長にお待ちいただけましたら幸いです!

ということで、今日のところはアイルランドのロバくんたちの写真を。
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ちょうどやってきたサイクリストの集団に釘付けで、誰もこっちを向いてくれません。
おーい、ロバくーん、こっちも見て〜!