読むロバの会」カテゴリーアーカイブ

K-BOOKを韓国語と日本語で 耳で読むロバの会

昨夜は初めての企画「K-BOOKを韓国語と日本語で 耳で読むロバの会」を開催しました。
参加者は10人!たくさんのご参加ありがとうございました!

「読むロバの会」というのは週1ペースで開催している読書会で、ふだんは各自が読みたい本を黙って読み、最後にそれぞれが読んでいた本を紹介し合う、いわば読書時間と読書空間を共有する読書会なのですが、今回は、11/16から開催しているK-BOOKフェア(韓国の本のフェア)と連動させた読書会をやってみたくて、大好きなキンパのお店・ぱろぱろさんに相談して「K-BOOKを韓国語と日本語で 耳で読むロバの会」を企画しました。

出版社CUON(クオン)から出ている「韓国文学ショートショート」という、1つの短篇小説を韓国語の原文と日本語の訳文の両方で読めるようになっているシリーズがあります。そのシリーズから、ペク・スリン著/李聖和訳『静かな事件』を課題本として選びました。
1〜2ページほどの分量で区切って、先にぱろぱろさんが韓国語原文を、続いてヒマールが日本語訳文を、交互に音読していきました。半分くらいまで音読を聞いてもらったあと、残り半分は各自で、ふだんの読書会のように黙読してもらいました(全部音読すると1時間半ぐらいかかるので)。
そうやって、全員が1冊の本をその場で同時に読み終え、読んでいてわからなかったところを質問しあったり、感想を話したりしました。ぱろぱろさんのキンパとヤンニョムチキンとチャプチェのお弁当を食べながら!

ぱろぱろさんもヒマールも、ふだんは人前で音読する機会がないので(学生のとき以来か!?)すごく緊張しましたが、早口だったのは緊張のせいではなく、黙読も含め1時間くらいで読み終えられるように、と先に打ち合わせをして早口で読むことを意識していたからなのでした。
でも、そのせいで、韓国語を勉強している人のために先に韓国語の音読を聞き取ってもらって日本語の音読で答え合わせできるように、と考えていたことが、終了後に「かなり早口だったので、聞き取ったり原文を目で追いながらついていったりするのが難しかった」という感想を聞き、あまりうまくいかなかったことがわかりました。
日本語訳を中心に聞いていた人からも、「自分のペースで読むときは情景を思い浮かべながら読んでいけるけど、音読が早く進むのでよくわからないまま読み進んでしまった感じがする」という感想があり、“耳で読む”難しさも痛感しました。

参加者の約半数が韓国語を勉強している人たちでしたが、韓国語を耳にする機会がほぼない人や韓国ドラマを観る程度の人たちからも、「韓国語の音読が聞けておもしろかった」「心地よかった」と言ってもらえてよかったです。
そしてもちろん、「お弁当がおいしかった」の声もたくさんいただきました!

初めての試みで、やってみてわかったことも多かったので、参加者のみなさんが帰られたあと、ぱろぱろさんと改善点を話したりアイデアを出しあったり、韓国の本と食べ物を組み合わせた企画をまた一緒にやりましょう!と相談しました。

K-BOOKフェアに参加するのは4回目(?)くらいですが、フェアの期間中にこういうイベントをやったのは初めてです。
韓国語を勉強している人が増えてきていたり、ハン・ガンさんがノーベル文学賞を受賞されたりして、今年のK-BOOKフェアでは例年よりも関心をもって来店される方が多いように感じています。
昨夜のイベント後も、フェアの棚を見る方、K-BOOKを買って帰る方も多くて、とても嬉しくなりました。
引き続き12/7(土)までフェアは開催していますので、ぜひご来店ください!
K-BOOKのこんな企画をやってほしい、こんなK-BOOKが読みたい、などなどのリクエストもじゃんじゃん聞かせてくださいね!

2024.11/8(金)

18時から、読むロバの会(読書会)の日でした。
参加者は1名。
読んでおられたのは、イーディス・ウォートン(柴田元幸訳)『ウォートン怪談集』。
3つの怪談短篇がおさめられた一冊で、今日の読書時間では2つめの途中まで読んだそう。「1つめは、いわゆる幽霊屋敷のお話なんだけど、何回も繰り返し読んで味わいたいと思った」とのこと。2つめのお話では雪が降っているそうで、「寒いところのお話だし、怪談だしで、今日はただでさえ寒いのがますます寒くなった」そうです。

わたしは、内澤旬子『私はヤギになりたい ヤギ飼い十二カ月』を。
読んでいたらヤギの習性やヤギ飼いの暮らしだけじゃなく、植物(とりわけ雑草)のことにも詳しくなりそう。ヤギには3種類以上の雑草を食べさせるようにしてるのに、自分はキャベツをのせたインスタントラーメンを食べてたりする内澤さん。今日の読書時間では4月から始まって6月までしか読めていませんが、めちゃくちゃおもしろいです!内澤さんが描くヤギや植物のイラストがカラーで載っているのも嬉しい!

さて、次の読むロバの会は11月14日(木)15時からやります。
各自で読みたい本をただ黙って読み、読んでいた本を紹介し合う、読書時間と読書空間を共有する読書会です。
ご予約不要、参加費のかわりに1ドリンクのご注文か500円以上のお買い物をお願いしています。
1時間フルじゃなく30分でも15分でも構いませんので、本を読む時間をつくりたい方、どうぞお気軽にご参加くださいね。

2024.10/30(水)

15時から、読むロバの会(読書会)の日でした。
参加者は1名。
読んでおられたのは、カイ・チェン・トム(野中モモ訳)『危険なトランスガールのおしゃべりメモワール』。
「タイトルとポップな表紙の絵からなんとなくコミカルな内容を想像していたけど、コミカルさはない」「文章(訳)がとてもよい!」「少女小説を読んできた人は絶対好きなはず!」とのこと。

わたしは、パトリック・マッケイブ(矢口誠訳)『ブッチャー・ボーイ』を。以前にもちょっとだけ読んで、長いことそのままにしてあったので、また最初から読み始めました。アイルランドの小説です。今回は読み終えたいと思っていますが、最近ちょっとヘビーなのが続いて弱っているので、再開は今じゃないほうがよかったかもしれません…

さて、次の読むロバの会は11月8日(金)18時からやります。
読むロバの会は、それぞれに読みたい本を黙って読む、読書時間と読書空間を共有する読書会です。
15時からの日と18時からの日があります。
ご予約不要、参加費の代わりに1ドリンクのご注文か500円以上のお買い物をお願いしています。
読書の秋、どうぞお気軽にご参加くださいね。

2024.10/25(金)

18時から、読むロバの会(読書会)の日でした。
参加者は1名。
読んでおられたのは、『19世紀ロシア奇譚集』(高橋知之訳)。
タイトル通り、19世紀のロシアの複数の作家によるおかしな短篇が集められた一冊。
1つめの収録作品の内容を教えてもらいましたが、いろんな機械を発明してつくるのが好きな貴族がいて、そのことにあまりにもお金を使って家が破綻しそうなのでなんとかやめさせてください、と馬車が壊れて立ち寄った人に主人の説得を頼む執事の話だそうです。主人はもちろんその馬車をなおしてあげるのですが、余計な機械をいっぱいつけて、結局また壊れてしまう、という……。
ほかはそこまで奇天烈な話ではなさそう、とのことですが、ロシア文学だー!という感じがして読みたくなりました。

わたしは、宋恵媛・望月優大著/田川基成写真『密航のち洗濯 ときどき作家』を。12歳で親元を離れて日本統治下の朝鮮半島から日本へ、その後何度か行き来して、アメリカ占領下で渡航が制限されていた終戦直後に朝鮮半島から日本へ密航、クリーニング屋を営み作家でもあった尹紫遠(ユン・ジャウォン)の足跡を辿るノンフィクション。その人の人生はもちろんですが、その背景にある歴史的事実が本当に知らないことばかりで、読みながら「知らなかったー!」を連発しています。山口県、いっぱい出てくるしー。

さて、次の読むロバの会は10月30日(水)15時からやります。
それぞれに読みたい本を黙って読む、読書時間と読書空間を共有する読書会です。
ご予約は不要、参加費のかわりに1ドリンクのご注文か500円以上のお買い物をお願いしています。
15時からの週と、18時からの週があり、ほぼ毎週、曜日を変えてやっています。
どうぞお気軽にご参加くださいね。

2024.10/17(木)

今日は、「読むロバの会(読書会)」と「つまびくロバの会(ギター練習会)」、ダブルヘッダーの日でした。

15時からの「読むロバの会」は参加者2名。
それぞれに読んでおられたのは…
真山知幸『「神回答」大全 人生のピンチを乗り切る著名人の最強アンサー100』
ヴァージニア・ウルフ(片山亜紀訳)『月曜か火曜』

『「神回答」大全』を読んでいた方は、「自分の発想にはない考えにふれられるのがおもしろくて、よく名言集を読むんです」とのこと。今日読んだ中では、将棋棋士の羽生善治さんが「豊かな人生とは?」と聞かれたときの回答「後悔が多いこと(後悔が多いということは、選択が多い人生だったということ)」にハッとさせられたそうです。

『月曜か火曜』は、ヴァージニア・ウルフが自ら編んだ短篇集。姉のヴァネッサ・ベルによる版画が、1921年の刊行当時のまま表紙と挿画に使われているそうです。「訳者による注と解説がこんなにある!(本のほぼ半分)」ということで、注って読みますか?(今日の参加者は全員、初めて通して読むときには読まないという人ばかりでした)、長篇なら読み飛ばせても短篇の場合は注がないと理解が難しいものもある気がする、注の分量に訳者の作品に対する愛が表れる!?というような話にもなりました。

わたしは、チョン・セラン(吉川凪訳)『アンダー、サンダー、テンダー』を再読中。来月開催のK-BOOKフェスティバルに、チョン・セランさん(キム・チョヨプさんも!)来日されるそうなので!

18時からは「つまびくロバの会」。
実は、ゼロからスタートのNさんのリクエストもあって、初回から「スタンドバイミー」をキーGで、各自のレベルで練習していたのですが、今日はOさんがベースラインを練習してきたということでみんなで合わせて演奏してみたら、あれ?なんか違うぞ、と。
Oさんのベースライン、原曲と同じキーAだ!
さあ、どうするどうする?
Oさん、キーGでベースラインをとりなおす?
われわれ(主にNさんとヒマールじゅんこ)、キーAで練習しなおす?
キーAだとF#mが難関、なのでキーGで練習してきたわけですが……
いったん、NさんはOさんからカポを借りて、覚えていたキーGの指使いのままキーAで演奏することに成功。
でもでも、いつかは通る道だよね〜、F……新しいコードも覚えたいと思ってたし!
ということで、カポを外してキーAで練習しなおすことに決定!
いやー、思いがけず、よいきっかけになりました。わたしは個人的に、キーやコードがどういうことになっているのか、今日初めて理解できたし!結果オーライ!Oさん、ありがとう!
というわけで、これから参加を考えている方、「スタンドバイミー」はキーAになります。

さて、次の「読むロバの会」は10月25日(金)18時から。
次の「つまびくロバの会」は10月24日(木)18時からです。
どちらもご予約不要、参加費のかわりに1ドリンクのご注文か500円以上のお買い物をお願いしています。
どうぞお気軽にご参加くださいね。

2024.10/9(水)

読むロバの会の日でした。
参加者は1名。
読んでおられたのは、梨木香歩『f植物園の巣穴』。
「最近、ブライアン・エヴンソン(柴田元幸訳註)の『英日バイリンガル 現代ゴシック小説の書き方』を読んだら、その中でエヴンソンが、本は何回も読むものだ、というようなことを書いていて、その通りだな!と思って」読んだことのある本を思いつくままに再読し中なのだそう。『f植物園の巣穴』、「やっぱりおもしろい」そして「いろいろ発見がある」とのことです。

わたしは、イ・チャンドン(中野宣子訳)『鹿川(ノクチョン)は糞に塗れて』を。
イ・チャンドン監督の映画作品は「ペパーミント.キャンディー」など観たことがありますが、映画監督の前に小説家だったとは知りませんでした。
これは表題作を含む中短篇集ですが、「映画の仕事を始める転換点になったとも言える小説」とのこと。
今日の読書時間では表題作を途中まで読みましたが、ちょっと笑えたりせつなかったり、読んでいて映画化された映像が浮かんでくるようでした。

次の読むロバの会は10月17日(木)15時から16時ごろまでやります。
各自で読みたい本を黙って読み、最後に読んでいた本を紹介し合う、読書時間と読書空間を共有する読書会です。
ご予約不要、参加費のかわりに1ドリンクのご注文か500円以上のお買い物をお願いしています。
ご都合ついたら、どうぞお気軽にご参加くださいね。

2024.10/5(土)

読むロバの会の日でした。
参加者は1名。
読んでおられたのは『文豪ノ怪談ジュニア・セレクション 「夢」夏目漱石・芥川龍之介ほか』。
「夢」のほかに「恋」「呪」「霊」「影」などがシリーズにあり、テーマごとにピックアップされた日本の文豪たちによる怪談・怪奇小説を一冊でいろいろと読むことができる、ジュニア向けのアンソロジーです。編纂は東雅夫さん。挿し絵もよい感じでした。

わたしは、アダニーヤ・シブリー(山本薫訳)『とるに足りない細部』を。
1949年ナクバの渦中に起きたイスラエル軍によるベドウィン少女のレイプ殺人(実際にあった事件)と、2004年になってたまたまその記事を目にして事件の痕跡を辿っていくことになったパレスチナ人女性(作者か?)を描いた小説……ということで、読んでおきたいと思っていた一冊を今日ようやく手にしました。が、読み始めてすぐにご来店があったりして、今日の読書時間ではほとんど読めなかったので、またあらためて読みます。

さて、次の読むロバの会は10月9日(水)18時から19時ごろまでやります。
夜の回です、お仕事終わりの方、ぜひ。
読むロバの会は、読みたい本を各自で黙って読む、読書時間と読書空間を共有する読書会です。本はご持参いただいても、店頭で買ってくださっても。
ご予約は不要、参加費のかわりに1ドリンクのご注文か500円以上のお買い物をお願いしています。
どうぞお気軽にいらしてくださいね。

2024.9/19(木)

読むロバの会(読書会)とつまびくロバの会(ギター練習会)、ダブルヘッダーの日でした。

まずは15時から、読むロバの会。
参加者は1名。
読んでおられたのは、京極夏彦『百器徒然袋 雨』。
百鬼夜行シリーズのスピンオフ、探偵・榎木津礼二郎を主人公にした作品だそうで、「あまりにも暑すぎるので、爽快な作品を読みたくて!」とのこと。とても分厚い文庫版ですが、「おもしろすぎて、あっという間に読んでしまう」「悪をこらしめる装置を考えているところが特におもしろい」「スカッとする!」と。
「榎木津がほんとにいたらいいのに!」「悪をこらしめてほしいね!」と言い合いました。

わたしは、奈倉有里『文化の脱走兵』を。奈倉さんはロシア文学研究者・翻訳者。エッセイ集ですが、ロシアの作家の言葉や詩人の作品もたくさん引用されています。
奈倉さんが訪露の際に聞いて救われ、この数年繰り返し思いだしているという、「国や政府とは、その行政単位に暮らす人々や、その国にかかわる人の人権を守るためだけに存在する最低限の必要悪であるべき」との言葉、今日は特にわたしの心に強く響きました。

そして18時から、つまびくロバの会。
今日が1回目の、ギター練習会です。
チューニングをするのも初めて、借りたギターで参加のNさん。
1年前からギターの練習を続けているOさん。
三日坊主を繰り返しているわたくしヒマールじゅんこ。
参加者の中では一番ギター歴が長い(けど、弾くより買うほうが得意)ヒマールふみとし。
4人で練習をスタートしました。1時間あっという間!
わたしは久しぶりにギターを弾いて、すっかり指が痛くなっています……。

さて、次の読むロバの会は9月25日(水)18時から。
次のつまびくロバの会は9月26日(木)18時から。
どちらもご予約不要ですので、どうぞお気軽にご参加ください。
ご質問などもお気軽に、コメント欄、店頭などでどうぞ。

2024.9/13(金)

13日の金曜日、18時から、読むロバの会の日でした。

参加者は1名。
読んでおられたのは、ステファン・テメルソン(大久保譲訳)『缶詰サーディンの謎』。
若島正・横山茂雄 責任編集で国書刊行会から出版されている〈ドーキー・アーカイヴ〉という新海外文学シリーズの最新配本、8冊目。ドーキー・アーカイヴは、「知られざる傑作、埋もれた異色作を、ジャンルや年代を問わず、本邦初訳作品を中心に紹介するシリーズだそうで、この『缶詰サーディンの謎』も、ポーランドの前衛作家ステファン・テメルソンを日本に初めて紹介する長篇作品となるそうです。
「5章まで読んだけど。こんな話……というふうに説明できない! いろんなことが起きているんだけど、それぞれがどうつながって、これからどうなっていくのか、まったく想像もつかない!」とのこと。読みでがありそうですねえ。
「ドーキー・アーカイヴの1冊目も持っていて、シリーズ名の由来が確かあったと思うのだけれど、思い出せない……」そうです。

わたしは、ともだちが以前この時間に読んでいた『どこか、安心できる場所で 新しいイタリアの文学』を借りて、先日から読んでいます。〈いま〉のイタリア文学の複数の作家の作品を集めた短篇集で、今日の読書会の時間ではイジャーバ・シェーゴ(飯田亮介訳)「わたしは誰?」を読みました。
〈いま〉の日本文学、と言ってもさまざまなジャンルや作風などがあるように、〈いま〉のイタリア文学もそれぞれ、さまざまだということがよくわかります。収録順に読んでいますが、どれも、それぞれにとてもいいです! 味わいが違いながら読みやすい作品が集められているなあと感じます。おすすめ!
この本も、『缶詰サーディンの謎』と同じく、国書刊行会の出版。「国書刊行会、すごいよね」と帰り際に言い合いました。ほんと、おもしろい海外文学をこうして次々に読ませてくれて、すごくありがたいです。

さて、次の読むロバの会は9月19日(木)15時から16時ごろまでやります。
読むロバの会は、それぞれに黙って本を読む、読書時間と読書空間を共有する読書会です。
帰り際に読んでいた本を見せ合っています。
ご予約不要。
参加費のかわりに、1ドリンクのご注文か500円以上のお買い物をお願いしています。
ご都合つく方、どうぞお気軽にご参加ください。

2024.9/4(水)

読むロバの会の日でした。
参加者は2名。
それぞれに読んでおられたのは……
小山さんノートワークショップ編『小山さんノート』
ディーノ・ブッツァーティ(長野徹訳)『魔法にかかった男』

『小山さんノート』は、「小山さん」と呼ばれたホームレスの女性が遺した膨大な文章、80冊にも及ぶ手書きのノートを、複数の人たち(ワークショップメンバー)が集まって8年の歳月をかけてテキストデータ化し、編集して一冊にまとめられた本です。わたしも以前、この会の時間に読んだことがあります。
「暴力を受けていて読むのも苦しいけど、読みたいと思って」「初めて参加したけど、そばで誰かが読んでいると自分も読まなきゃと思うのか、集中して読めた」「だいぶ読めたので、がんばって最後まで読みたいです」とのこと。

『魔法にかかった男』は、現代イタリア文学を代表する作家のひとり、ブッツァーティの短篇集。「超短篇、ショートショートと言っていいくらいの短い作品が多い。ちょっと星新一作品みたいな感じ。だけど、SFではなくて……」と一つの物語のあらすじを紹介してくれました。
「子ども向けのお話も書いている」とのことで、「カルヴィーノ(以前、課題図書を読むロバの会で『見えない都市』を読んだ)もそうよね?」とわたしが言うと、「カルヴィーノはおしゃれな感じ。ブッツァーティは説教くさい」とのこと(笑)。

わたしは、佐々涼子『エンド・オブ・ライフ』を。友人にすすめられて随分前に購入していたもののなかなか気分が向かず、しばらく積ん読になっていましたが、佐々さんが亡くなられたと知り、今日、読み始めました。訪問診療でおもに終末医療に携わる、京都の診療所を取材したノンフィクションです。
まだ前半部分しか読めていませんが、いまのところ、「在宅医療は素晴らしいですよ」という言葉に佐々さんはまったく頷けず、看護師たちにも「家で看取られたいですか?」と聞いています。取材を通して、佐々さんの気持ちは変わっていくのだろうか、佐々さんは脳腫瘍でなくなったそうだけれど……と思いながら読んでいます。

さて、次の読むロバの会は、9月13日(金)18時から19時ごろまでやります。
お仕事帰りの方も、ぜひいらしてください。18時すぎて、途中からの参加も遠慮なくどうぞ。
読むロバの会は、各自で黙って本を読む、読書時間と読書空間を共有する読書会です。
帰り際に、その日読んでいた本を見せ合っています。
参加費のかわりに1ドリンクのご注文か500円以上のお買い物をお願いしています。
ご予約は不要ですので、ご都合ついたらお気軽にご参加ください(15時からやる日もあります)。