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ヒマデミー賞2024 アルバム部門発表!

年末恒例!2024年ヒマデミー賞アルバム(ミニアルバム含む)部門の発表です。

1. RELAX!/KISS THE GAMBLER
2. Manning Fireworks/MJ Lenderman
3. REAL/リクオ
4. Tigers Blood /Waxahatchee
5. 新世界/夜のストレンジャーズ
6. Good Together/Lake Street Dive
7. AAA/hyukoh & 落日飛車
8. Cardinals – EP/Cardinals
9. Indoor Safari/Nick Lowe & Los Straitjackets
10. Wake The Dead/Chuck Prophet

1位は、海外音楽メディアの2024ベストアルバム上位を席巻(これも驚愕!)したMJ Lendermanを抑え、KISS THE GAMBLER「RELAX!」でした!
今年はずっと聴くのも口ずさむのも気がつけばキスギャンといった感じの1年。初めて観たライブも素晴らしく、本当に「かなふぁん!生まれてきてくれてありがとう!」とご両親に感謝の気持ちでいっぱいです。

ちなみに最優秀楽曲賞はWaxahatchee の『Right Back to It(feat. MJ Lenderman)』でした。もう永遠に聞き続けられます(涙)。MVも良いのでYouTubeで観て欲しいです。

入賞者には副賞として「いつでもヒマールにてライブを開催できる権利」と「ヒマール近郊でのライブに観客+2名確約」を贈ります。 おめでとうございます。 

2024.11/14(木)

15時から読むロバの会(読書会)、18時からつまびくロバの会(ギター練習会)、ダブルヘッダーの日でした。

まずは、読むロバの会。
参加者は1名。
読んでおられたのは、獅子文六『断髪女中』。副題に『ー獅子文六短篇集 モダンガール篇』とあり、女性が活躍する作品を集めた短篇集とのこと。「病院の待ち時間に、短く区切って読みやすく、読んでいてたのしい気分になるものをと思って」選ばれたそう。「モダンボーイ篇」もあわせて購入されたそうです。

わたしは、入荷したばかりのチョン・セラン(すんみ訳)『私たちのテラスで、終わりを迎えようとする世界に乾杯』を。今日の時間で半分ほど読みましたが、もうね、大好きです!すごくいい!ショートショートと詩を中心とした作品集ですが、チョン・セランの魅力がぜーんぶ詰まっている感じ。とはいえ、これは、チョン・セラン作品を初めて読む人よりも、すでにいくつか読んだ人におすすめしたい!(初めての人には、初めての人にこそ、私は長篇・中篇をおすすめしたいので!)それぞれの作品のあとにつけ加えられている著者コメントがまた良いです!

次の読むロバの会は再来週、11月27日(水)15時からやります(来週は特別企画「耳で読むロバの会」になります)。K-BOOKフェア期間中なので、よかったらK-BOOKを読んでみませんか? ジャンルもいろいろ、たくさん店頭にご用意してお待ちしています。フェア期間中はご購入特典もありますので、ぜひ!

続いて、つまびくロバの会。
Nさん、Cさん、ヒマールじゅんこ、ヒマールふみとしの4人で練習。
今日から、(Nさんとヒマールじゅんこにとっては)初めてのコードがたくさん出てくる曲の練習を開始。ほぼ1小節ごとにコードが変わるのでなかなか大変。がんばろうー。
途中、「ギター練習会、気になってます!」とおっしゃっていたHさんが見学に来られて、来週から参加することに決定!その場でギターを注文しました(笑)。

次のつまびくロバの会はまた来週、11月21日(木)18時からやります。
初心者を中心にしたギター練習会です。上級者は初心者をあたたかく見守りサポートしてあげてください。

あ、今日、webサイト「好書好日」に、ハン・ガン作品を紹介する記事がアップされました。
私は『少年が来る』を紹介しています。
ぜひ読んでくださいー
https://book.asahi.com/article/15504678

2024.9/25(水)

ついに秋がやってきて(と言っても最高気温は30度ですが…)、今週の営業が始まりました。
今日は18時から「読むロバの会(読書会)」でした。
参加者は1名。
読んでおられたのは前回に続いて、京極夏彦の「百鬼夜行」に登場する探偵・榎木津礼二郎のシリーズより『文庫版 百器徒然袋 風』。
中篇が3つおさめられた、とても分厚い文庫本。
今日の読書時間ではちょうど1つめのクライマックスを読まれたそうで、「榎木津さんが大暴れしてくれて、今日も爽快!」とのことです。

わたしは、トンマーゾ・ピンチョ(二宮大輔訳)『ぼくがエイリアンだったころ』を。2章の終わりまで読み進みました。
トンマーゾ・ピンチョはイタリアの作家で、イタリア語で書かれた小説なので、イタリア文学ということになるかと思いますが、物語の舞台はアメリカで、内容も特にイタリア感(?)はありません(今のところ)。
作者のピンチョは、20代で画家を志してニューヨークに渡り、その後イタリアに帰国して作家になったそうで、当時のアメリカの文化にかなり影響を受けている……というか、大好きなんだな!ということは、作家名がトマス・ピンチョンに似ていることからもわかるし、カート・コバーンらしき人物が登場したり、映画「ボディ・スナッチャー」やウィリアム・S・バロウズの本が出てきたりすることからも感じられます。
この先どう展開するのか、まだ全然わからないので、たのしみに読みたいと思います!

実は、まもなく10月6日(土)に、この本の翻訳者・二宮大輔さんが広島へライブ(!)をしに来られるそうで、本が出たばかりのタイミングなので本の話も……となったそうで、ちょっと乗りかかった船というか企画の久保モリソンさんにうまく乗せられて、ライブの合間に一緒に本の話をさせてもらうことになりました。
あまり人前で話す機会がないもので緊張しますが、ご一緒する「ほんのみせマドカラ」の高橋ひろえさんは、先日、読むロバの会に参加してくださって、すでにいろいろおしゃべりした間柄なので心強いですし、ライブに出演される山広朋実さんも店に遊びに来てくださったことがありますし、モリソンさんはレコードを買いに来てくださるし、なので安心して、トークで出演するというよりも、二宮さんと山広さんとモリソンさんのライブをたのしみに、高橋さんとの再会をたのしみに、久々の「本と自由」の空間をたのしみに、伺おうと思ってます。
ご都合つく方、よかったら一緒にライブをたのしみましょうー。
横川・本と自由で、10/6(土)18時から、2,000円+1オーダーです。

さて、次の読むロバの会は10月5日(土)15時から16時ごろまでやります。
各自で読みたい本を黙って読む、読書時間と読書空間を共有する読書会です。
帰り際に読んでいた本をお互いに見せ合っています。
ご予約は不要、参加費のかわりに1ドリンクのご注文か500円以上のお買い物をお願いしています。
15時からの日と、18時からの日があります。
ご都合つく日に、どうぞお気軽にご参加くださいね。

読むロバの会の日

でした(昨日になりましたが)。
参加者はおひとりと、途中から小学生が3人。

小学生3人が読んでいたのは、『マインクラフト』シリーズ、『ハリー・ポッターと呪いの子』、『コロコロコミック』。
『マイクラフト』シリーズは、もう10冊ぐらい読んでいるそう。ゲームもやっていて、「ゲームもおもしろいけど、本もおもしろいよ」とのこと。あまりにも熱心にずっと読み続けているので、そんなにおもしろいの?と思ったお母さんも読み始め、「最初は全然理解できなかったけど、2〜3冊読んでいるうちにルールもわかってきて、世界観に入り込めるようになった」そうです。

もうおひとりが呼んでおられたのは、デニス・ボック(越前敏弥訳)『オリンピア』。第二次世界大戦をきっかけにドイツからカナダへ移住した家族の物語。タイトルは、祖父母とその息子がオリンピック選手だったことや、ドイツからおじさんが訪ねてきているときにミュンヘンオリンピック(と、そこで起きた襲撃事件)をテレビ中継で見るエピソードなどからきているようですが、「時代背景のせいもあるのか、全体を通して、なんとも不穏な感じがする」とのこと。

この『オリンピア』、2023年から出版を始められた北烏山編集室という“ふたり出版社”から出ています。翻訳された越前敏弥さんは『ダ・ヴィンチ・コード』や『Xの悲劇』などのベストセラーを多数手がけている翻訳者で、『オリンピア』という素晴らしい作品をぜひ日本で紹介したいと思ったもののなかなか出版社が決まらず、北烏山編集室から出すことになったという経緯があるようです。
「最近、海外文学の翻訳小説を出してくれる小さい出版社が増えたよね」「そういうところがなかったら、読むことのできなかった作品がいっぱいあるってことよね」「ありがたいね」と、読んでいた人と話しました。たくさん読もう、ありがたく読もう、これからも世界のいろんな作品を読ませてもらえるように、と思いました。

わたしは、内田樹(朴東燮編訳)『図書館には人がいないほうがいい』を。こちらの本、著者は内田樹さんなのですが、じつは「韓国で出版された本の日本語版」というちょっとふしぎ(?)な一冊です。“世界でただ一人の内田樹研究者”である韓国の翻訳者・独立研究者の朴東燮さんが企画編集、内田さんのこれまでの講演やブログなどから「図書館と書物」についての話を集めて、韓国で出版されました。その日本語版の出版が「音楽本」を出しているアルテスパブリッシング、というのもちょっとふしぎ(?)でおもしろい。内容ももちろんおもしろいです!最近、経済優先でずっときているのが今のいろんな問題をつくっているよなあと思っていたので、リンクする話がたくさんあって、今読めてよかったです。

さて、次の読むロバの会は、7月19日(金)の15時から16時ごろまでやります。
読書空間と読書時間を共有する読書会です。
読みたい本を持って(店頭で買ってくださっても!)どうぞお気軽にご参加ください。
ご予約不要です。

読むロバの会の日

でした。
参加者は2名。

それぞれに読んでおられたのは、
サーシャ・バイン(高見浩訳)『心を強くする 「世界一のメンタル」50のルール』
米澤穂信『夏季限定 トロピカルパフェ事件』

『心を強くする』は、プロテニスプレーヤー・大坂なおみさんの元コーチによる一冊。メンタルが弱いほうなので少しでも強くなれるヒントがあったら、と思って読み始めたそうです。嫌なことがあって、「気にしなければいい、と言われても、すごく気になってしまう。気持ちを切り替えることが難しい」とのこと。それは大なり小なり、みんなそうですよねえ、難しいですよねえ、と少しおしゃべり。

『夏季限定 トロピカルパフェ事件』は、米澤穂信の小市民シリーズ・ミステリーの一冊。「『冬季限定』が発売になったのだけど、かなり久しぶりに出たので既刊の内容を忘れてしまっていて、その新刊を読むためにシリーズを再読中」とのこと。今日は暑かったので、つい「トロピカルパフェ食べたい」と思ってしまいました(笑)。

わたしは、チャールズ・ブコウスキー(都甲幸治訳)『勝手に生きろ!』を。河出文庫ですが、新装版が出たので、店頭にあった前の装丁版を自分で買うことにして読み始めました。久しぶりにこういう感じの小説を読むので、なんだか新鮮です。主人公がずっとお酒を飲んでいるし、今日は暑いしで、読書会終了後に『夏季限定 トロピカルパフェ事件』を読んでいた人と近所のCASPOLLさんへクラフトビールを立ち飲みしに行ってしまいました。営業中にすみませんー(明るいうちからのビール、最高!)

さて、次の「読むロバの会」は6月20日(木)15時から16時ごろまでやります。
各自で黙って本を読む、読書空間と読書時間を共有する読書会です。
ご予約不要です。お気軽にどうぞ。
これからの季節、読書会のあとはCASPOLLでビール、おすすめです!

読むロバの会の日

でした。
参加者は1名。
読んでおられたのは、『ユリイカ2019年5月臨時増刊号「橋本治」』。緊急追悼特集として当時出された一冊で、過去のインタビューや、橋本治さんと親しかった方々が寄せた文章などを読むことができます。「神奈川近代文学館でやっている特別展『帰って来た橋本治展』へ行く予定で、その前に読んでおこうと思って」とのこと。

わたしは、ペク・スリン(カン・バンファ訳)『夏のヴィラ』を。わたしにしては久しぶりの韓国文学。8タイトルがおさめられた短編集で、今日はその中から表題作の「夏のヴィラ」を読みました。余談ですが、ペク・スリン作品、今年3月に韓国へ行った際、ハングルで書かれた原書を1冊買ってきてあるので、それを自力で読むのが今年(!)の目標です。

次の読むロバの会は、5月29日(水)15時から16時ごろまでやります。
読書時間と読書空間を共有する読書会、ご予約不要ですので、ご都合ついたらお気軽にいらしてくださいね。

読むロバの会の日

でした(昨日ですが)。
ゴールデンウィークに入って、いつも以上に静かな週末。
参加者は1名でした。

読んでおられたのは、滝口悠生『高架線』。
前回、植本一子と滝口悠生の往復書簡『さびしさについて』を読んでおもしろかったので、図書館で借りてみたのだそう。
『高架線』は長編小説。出るときには次の入居者を探してくることがきまりになっている古いアパートが舞台で、「○○(名前)です。」「××です。」と語り手を変えながら、ずっとその語りだけで展開していく物語らしく、「これ、すごくおもしろい!」とのこと。
読んでみたくなりました。

わたしは、朴沙羅『家(チベ)の歴史を書く』を。社会学者で、在日コリアン二世の父と日本人の母をもつ著者が、在日一世の伯父や伯母にインタビューして書いた一冊。第一章にまず「生活史を書く」という考察があり、そこからすでにおもしろく読み始めました。ちょうど今、ヒマールから出しているh+ bookletシリーズの2冊目になるインタビュー音源を文字起こししているところで、それがなんとなく「生活史を書くのと近いな」と思ったり、あとハン・ガンさんの『別れを告げない』を読み始めたところで、「どちらにも済州島四・三事件のことが書かれているな」と思ったりしながら読んでいます。
『高架線』を読んでいた人が、「『高架線』は小説だけど、これも生活史みたい」と言って、わたしたちはいつも読む本を事前に相談したりはしないけど、そういえばリンクしていることが多いな、と思いました。

さて、次の読むロバの会は5月3日(金・祝)15時から16時ごろまでやります。
ゴールデンウィークにゆっくり本を読みませんか?
読むロバの会は、各自で黙って本を読む、読書時間と読書空間を共有する読書会です。
読みたい本を持ってくるか、店頭でご購入ください(選書のお手伝いもいたします)。
ご予約不要、1ドリンクのご注文か500円以上のお買い物をお願いしています。
途中参加・途中退場もOKですので、10分でも1時間でも本を読んでいってください。
週1ペースで開催していて、曜日や時間帯のリクエストも大歓迎です。ぜひ。

読むロバの会の日

でした。
参加者は1名。
読んでおられたのは、『「その他の外国文学」の翻訳者』。
図書館や書店などで「その他の外国文学」として棚にまとめられる、日本語に翻訳され紹介されることの少ない、つまりは学習者が少ない言語で書かれた外国文学の、翻訳者へのインタビュー集。今日の読書会中には、丹羽京子さん(ベンガル語)、吉田栄人さん(マヤ語)、青木順子さん(ノルウェー語)へのインタビューを読まれたそうです。日本でその言語の翻訳者はその人一人だけ、という方もいて「おもしろすぎる」とのこと。翻訳者がいてこそさまざまな国の作品を読むことができるので、読者としてはとてもありがたい存在だし、マイナーな言語を学ぶのってたのしんだよなあ、とお話を聞きながら(わたしも広東語とハングルを学んでいます)。

わたしは、ハン・ミファ著(渡辺麻土香訳/石橋毅史解説)『韓国の「街の本屋」の生存探究」を。昨年のK-BOOKフェア参加店から「飾り付けコンクール」の優秀賞に選ばれたごほうびで、「韓国の書店を巡る旅」にご招待いただいたので、行く前に韓国の書店事情を少しでも知っておきたいと思って読み始めました。まだ途中ですが、日本と似ているところもあったり違うところもあったり、書店としてのヒマールをこれからどうしていくか考えているところでもあるので参考になる点も多く、とてもおもしろく読んでいます。ソウルで案内していただける予定の書店も紹介されていて、ますます訪問がたのしみになっています!

さて、次の読むロバの会は2月8日(木)17時から18時ごろまでやります。
夕方遅めのほうがご都合のいい方、ぜひご参加ください。

各自で読みたい本を読む、読書時間と読書空間を共有する読書会です。
ご予約不要です。お気軽にどうぞ。

「Amazonで買えますか?」へのお返事

ヒマールが出版している本(取引を代行している「こぶな書店」の本も含む)について、「Amazonで買えますか?」とよく聞かれます。
短くお返事するなら「Amazonでも買うことはできます。でも、Amazonからは買えません」。
……ん?それってどういうこと?……と思った人もおられるでしょうから、もうちょっとだけ詳しく、とは言え、かなり長くなってしまうお返事も書いてみます。

まずはじめに、基本情報として知っていただきたいことをふたつほど。

ひとつめ。
本はざっくり言うと以下の2つのいずれかで流通しています。

1.出版社→取次(卸問屋のようなもの)→書店
この流れは「取次」「取次経由」と呼ばれています。

2.出版社→書店
この流れは「直接取引」「直取引」と呼ばれています。

ふたつめ。
書店には、本を「取次経由のみで仕入れている店」「直接取引のみで仕入れている店」「取次と直接取引の両方で仕入れている店」があります。
同様に出版社も、本を「取次経由のみで卸している社」「直接取引のみで卸している社」「取次でも直接取引でも卸している社」があります。

さて、Amazonは、本を「取次と直接取引の両方で仕入れている店」です。
そして、ヒマールは、出版した本を「直接取引のみで卸している社」です。
ということは、直接取引を行なえば、Amazonでヒマールの本が販売されることはある、ということになりますね。
でも、ヒマールはAmazonと直接取引をしていません。
なぜか、その理由を書きます。

Amazonとの直接取引は「e託」と呼ばれ、ほかの書店との直接取引とはちょっと違っています。
一般的に、書店と出版社との直接取引においては、卸掛け率、買取なのか委託なのか、送料はどちらが負担するか、などの取引条件を出版社側から書店に提示したあと、お互いがその条件を了承することで取引が始まります。
Amazonのe託の場合は、Amazon側が決めた条件で、交渉の余地はありません。出版社はまず年会費を支払い、Amazonが決めた卸掛け率で取引することになります。買取はなく委託のみ。年会費を支払っていても常に在庫として預かってもらえるわけではなく、Amazonから連絡があってはじめて納本することができ、Amazon指定の方法で発送。当然返本もあり返送時の送料も出版社負担、といった感じになっています。

Amazonの卸掛け率は、ヒマールがほかの書店に提示している卸掛け率に比べ、Amazon側に多く利益が出る掛け率に設定されています。そして、年会費を支払っていてもどれだけ納本の連絡が来るかわからず、送料も、ほかの書店へ納本するときよりも多くかかってしまう取引条件です。

Amazonという膨大な顧客を抱える超有名店で販売され売上が増えるであろうことを思えば、卸掛け率の違いも「アリ」と考えることはできるでしょう。年会費や送料でコストが多くかかることについても、ヒマールがもっと出版点数の多い出版社であれば「アリ」と判断したかもしれません。

コストのことで言うと、ヒマールがAmazonと直接取引をしない理由と、取次を使っていない理由は同じです。
ヒマールは出版点数と出版部数が少ないので、1冊あたりにかかるコストが大きくなりがちです。
そのコストを抑えて、読者がなるべく買いやすい本体価格にしつつ、書店の利益と出版社である自分たちの利益がきちんと出るようにしたいと考えたとき、コストの中で比重が大きいと思えたのが、本の保管にかかる費用と移動に伴う送料でした。
取次を使うことで多くの書店に扱ってもらいやすくなったり、Amazonで手軽に買ってもらえたりするのは魅力的ですが、そのメリットとコストを比べて考えて、現状では取次を使わないこと、Amazonと直接取引をしないことを選んでいる、というわけです。

ところで、Amazonには「マーケットプレイス」というものがあるのをご存知でしょうか?
会員登録することで(無料と有料があります)Amazonのサイト上に新品や中古品を出品することができ、それが売れたら購入者に直接発送して、規定の手数料を差し引かれた代金がAmazonから支払われる、というものです。

ヒマールは新刊を出すとすぐに、このマーケットプレイスに出品するようにしています。もちろん新品です。
これが、冒頭に書いた「「Amazonでも買うことはできます。でも、Amazonからは買えません」という短いお返事の意味です。

実は、本を出版することになったら出版情報登録センター(JPRO)というところに登録するのですが(書店や図書館が出版情報を得ることができるようになります)、Amazonや楽天ブックスなどはJPROに新刊の情報が登録されると、自社のサイト内にその本の商品ページ(発売前であれば予約ページ)を自動で作成するプログラムを組んでいるようです。なので、Amazonや楽天ブックスで取り扱っておらず在庫がなくても、自動的にヒマールの本のページができてしまうのです。
するとどういうことが起きるかと言うと、「Amazonに在庫がないということは、手に入りにくい希少な本に違いない」と思い込んでしまう人を狙って、高額出品する業者が出てきます。
ヒマールがマーケットプレイスに出品するのは、Amazonのサイトで販売したいからというよりも、出版元には新品の在庫があることを知らせ、高額出品を防ぎたいからです。
ちなみに、ヒマールのマーケットプレイスへの出品を購入なさる際にはAmazon規定の送料がかかり、割高になるのでおすすめいたしません。

そういう事情で、ヒマールの本は、どこの書店でも買えるわけではない(Amazonも含む)ということになっているのです。
本を購入しようとされた方の中には、わざわざ書店まで出かけて行ったのに取り寄せてもらえなかった(取次経由のみで仕入れている店だった)ということも多くて、本当に申し訳なく思っています。
書店さんにも、直接取引のみでご不便をおかけしています。
少しずつにはなりますが、お取り扱い店が増えて購入しやすくなるように、書店さんにもできるだけ手間や負担は少なく仕入れてもらえるように、努力と工夫を重ねていきたいと思っていますので、ご理解いただき、おつきあい願えましたら幸いです。

長い返事を最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

ヒマール 辻川文俊/辻川純子

追伸、お近くの書店にお取り扱いがなく通販でお求めになりたいときは、よろしければヒマールの通販サイトをご利用ください。ヒマールとこぶな書店の出版物は常時在庫・販売しております。
【ヒマールのオンラインストア】 https://himaar.stores.jp/

9月の読むロバの会(オンライン読書会)開催中

こちらは「読むロバの会(オンライン読書会)」の会場です。
日々のブログの更新は、ひとつ下の投稿から始まります。

読んで書く、文章に親しみたのしむ読書会です。
本を読んで感じたこと、考えたこと、それを言葉に、ましてや文章にするのはなかなか難しいかもしれませんが、どうぞ気軽に書いてみてください。

9月の「読むロバの会(オンライン読書会)」
テーマは「宇宙」
壮大なテーマです。SF小説からノンフィクション、科学よみものなど、さまざまなジャンルからテーマにひっかかった本を読んで、紹介しあいましょう。

9月末までの1ヶ月間、上記のテーマで選んだ本について、このブログのコメント欄に書いていってください。

過去に読んだ本から選び、オススメ紹介文を書いてもよし。
テーマをもとに自分自身の今月の一冊を選んで、読んだ感想などを綴ってもよし。
匿名でもOK。
何度書いてもOK。
誰かのコメントに返信してもOK。
書き方は自由です。
ヒマール店頭でも、今月のテーマで本をセレクトして並べますので、よかったらチェックしにいらしてください。

ご参加をお待ちしています!

2022年8月の読むロバの会「テーマ:戦争と平和」はこちら
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2020年12月の読むロバの会 「今年おすすめの一冊!」はこちら
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