投稿者「ヒマールじゅんこ」のアーカイブ

読むロバの会の日

でした。
参加者は3名。

それぞれに読んでおられたのは…
山本一力『ひむろ飛脚』
コルソン・ホワイトヘッド(藤井光訳)『ニッケル・ボーイズ』
アレクサンダル・ヘモン(岩本正恵訳)『ノーホエア・マン』

『ひむろ飛脚』、まだ読み始めたばかりだそうですが、将軍に献上する氷を加賀藩から運ぶ飛脚たちの物語のようです。「いまのところ6人の飛脚が出てきていて、チームで運んでいるみたいです」とのこと。

『ニッケル・ボーイズ』は「とにかく酷い」と。「黒人の少年が主人公の、刑務所の話だから」と聞いて、参加者全員、ああ……となりました。

『ノーホエア・マン』は前回に続いて。前回は読み始められたばかりでしたが、今日読み終わったそうです。「場所も時代もあちこち飛んで、視点も変わって、あれ?とよくわからなくなるところもあったけど、すごい一冊だった」とのこと。

わたしは、小山さんノートワークショップ編『小山さんノート』を。小山さんと呼ばれていたひとりのホームレスの女性が書き遺した80冊のノート。小山さんが十数年の日々を綴ったその文章もすごいのですが、それがこうして一冊の本になった過程がほんとうにすごいとわたしは感じました(「すごい」は陳腐な表現ですが、これから読む方も多いと思うので、ひとまず)。達筆すぎ、独自の当て字や言葉遣いも多い小山さんノート。その文字起こしのために始まった「小山さんノートワークショップ」。毎月1回集まっては文字起こしをすること8年! 膨大な文章からどこを抜粋して本にするか、選ぶのもほんとうにたいへんだったと思います。巻末にはワークショップ参加者のエッセイも収録されていて、それがまたすごい。「本」というかたちになって届き、読まれ、そこから読者の中やまわりにもきっとひろがっていくであろう予感まで含めて、すごい一冊だなと思います。

さて、次回の読むロバの会は11月11日(土)15時から16時ごろまでやります。
どうぞお気軽にご参加くださいね。

読むロバの会の日

でした。
参加者は2名。

それぞれに読んでおられたのは…
ソン・ホンギュ(橋本智保訳)『イスラーム精肉店』
アレクサンダル・ヘモン(岩本正恵訳)『ノーホエア・マン』

『イスラーム精肉店』、「タイトルが気になっていて」と来店されて購入されてからの読書会ご参加でした。朝鮮戦争で戦ったあとも韓国に残りムスリムでありながらモスクに通わず豚をさばくトルコ人と、彼に引き取られた(彼が義父となった)少年の物語のようです。読書会の1時間で読み終えることはできませんでしたが、「差異が差異を生んでいくような、哲学的な話だと感じる。おもしろい」とのこと。ふだんあまり小説は読まないとおっしゃっていた方なので、「おもしろい」の言葉につい嬉しくなってしまった店員です。

『ノーホエア・マン』の作者へモンはボスニア出身。アメリカに来ていたときに内戦が起きて祖国に帰れなくなり、以降そのままアメリカに暮らし、母国語ではない英語で小説を書いている作家だそうです。「読みたいと思いながら本棚に置いたままだった一冊。もうすぐ新しい翻訳作品が出ると知ったので、先に読んでおこうと思って」とのこと。「ヘモンはかっこよくておしゃれな人なので、なんとなくそんなイメージをもって読み始めたけど、いまのところ(冒頭は)ドタバタしている。これからどうなるのか、全然わからない」とのこと。

わたしは、中島岳史『思いがけず利他』を。先日、数年ぶりに会った友人といっぱい話をして、わたしの話をたくさん聞いてくれた友人が帰宅後に「この本、まだ読んでなかったらぜひ」と勧めてくれたので昨日と今日でさっそく。ずっと気にはなっていたけれど、今が読むタイミングだったんだなあ、としみじみ思いながら読みました。なんだかすっきりしています。勧めてくれてありがとう!

さて、次の読むロバの会は、11月2日(木)15時から16時ごろまでやります。
各自で読みたい本を黙って読んで、最後に読んでいた本を紹介しあう、という読書会です。
ご予約は不要です。どうぞ気軽にご参加くださいね。

読むロバの会の日

でした。
参加者は3名。

それぞれに読んでおられたのは…
『どこか、安心できる場所で 新しいイタリアの文学』
ハインリヒ・フォン・クライスト(北岡武司訳)『嘘とまこと』
ミヒャエル・エンデ(田村都志夫訳)『自由の牢獄』

『どこか、安心できる場所で 新しいイタリアの文学』は、前回から続いて。複数の作家の短篇作品がおさめられた一冊の中から今日は、ヘレナ・ヤネチェクの「恋するトリエステ」を読んだそうです。「タイトルから想像していたのとは違って、実在する人物の話で、イタリアがファシズムに覆われる時代のシリアスな話だった。おもしろかったけど」とのこと。

『嘘とまこと』と『自由の牢獄』を読んでおられたおふたりは久しぶりのご参加。それぞれに「読むロバの会では小説を読んだほうがいいんじゃないか」と思われて(小説じゃなくてもいいんですよ!)、ご自宅にある“積ん読”の中から選んで来られたのだそう。
『嘘とまこと』におさめられた「決闘」を読んだ方は、「人工的に複雑にされた感じがして、ねっとりしていて……やっぱりわたしは、この時代のドイツ文学は嫌いでした」と再確認される読書になったようす。
『自由の牢獄』におさめられた「夢世界の旅人マックス・ムトの物語」を読んだ方は、「しばらく、読書会の課題図書とか目的のある読書しかしていなくて、久しぶりにぼんやりしながら読書をした」と話しておられて、その“目的のない読書”と、物語の最後でマックス・ムトが「目的地に到達したものをうらやまない。私は旅が好きだ。」と言っていることとがリンクしていて、ああ、いいなあと思わされました。

今日はそれぞれに読んでいた本のあらすじを詳しく紹介しあって、読んだあとのおしゃべりの時間もたっぷり。たのしかったです。

わたしは、チョン・ミョングァン(斎藤真理子訳)『鯨』を。国際ブッカー賞の最終候補になったことをニュースで知って読もうと思いながら、なかなか読めていなかった作品。かなり分厚い一冊。今日はそのはじめのごく一部しか読めませんでしたが、娘と母と祖母、それぞれの、かなり激しく壮絶な人生を描いた大きな物語のようです。おもしろいことはおもしろいのですが……ちょっと好みじゃないというか(たのしめる人はいると思います!韓国でも大ベストセラーだったそうですし!)……ほかに読みたい本もたくさんあるので、これは一旦置いておこうかな、と思っています。

さて、次の読むロバの会は、10月27日(金)15時から16時ごろまでやります。
今週末から来週末まで「伊東製靴店の受注会」があり、そのあいだはお休みするのでちょっと先になります。
読書の秋、いっしょにたくさん読みましょう!

読むロバの会の日

でした。
参加者は2名。

それぞれに読んでおられたのは…
『どこか、安心できる場所で 新しいイタリアの文学』
イ・ジョンチョル(印イェニ訳)『カデギ 物流倉庫でミックスコーヒーをがぶ飲みしながら働いた話』

『どこか、安心できる場所で』は、わりと最近のイタリアの文学作品を集めた短編集。13人の作家のうち11人が、この本で日本初紹介となるそうです。現代イタリア文学、と聞くと、わたしはイタロ・カルヴィーノくらいしかすぐに思いつかず、難解というかちょっと苦手なイメージを持っていますが、カルヴィーノはすでに前世紀の作家!?……ということで、新しいイタリアの文学、気になりました。

『カデギ』は、韓国のコミック。サブタイトルでなんとなく内容が想像できますが、感想を聞いてみたところ、「たいへんです…」と一言だけ。漫画家を目指しながら生計を立てるためにアルバイトしていた、作者の体験をもとに描かれた作品のようです。

わたしは、読書会の時間が始まってすぐ、ちいさいおともだちが店に遊びに来てくれたので読めず、でした。今日読むつもりだった本は、また次回に読もうと思います。

さて、次の読むロバの会は10月12日(木)15時から16時ごろまでやります。
どうぞお気軽にご参加くださいね。

読むロバの会の日

でした。
参加者は2名。

それぞれに読んでおられたのは…
スティーグ・ラーソン(ヘレンハルメ美穂、岩澤雅利訳)『ミレニアム3』
TAJIRI『少年とリング屋』

『ミレニアム3』は、スウェーデンの大ベストセラー小説。ダークサスペンスのシリーズ作品で、映画化もされています。映画はスウェーデン版とハリウッドリメイク版があって、確かハリウッド版の1作目が「ドラゴン・タトゥーの女」だったかな。映画もおもしろいけど、小説もおもしろいそうですよ。

『少年とリング屋』は、プロレスラーTAJIRIの作家デビュー作品。プロレスラーが書いたプロレスの小説ということであまり期待せずに(!?)読み始めたそうですが、予想外の展開が繰り広げられていて、「文章もうまいし、おもしろい!TAJIRIというレスラーのトリックスターぶりを、小説の世界でもいかんなく発揮している」とのこと。

わたしは、エリカ・チェノウェス(小林綾子訳)『市民的抵抗』を。なんだかなあと思うことが続いているので、なんとかできないものだろうかと、希望を見出したくて手にしてみました。これはなかなか勉強になるぞ!ははーん、なるほどねー、と思いながら読んでいます。

次の読むロバの会は、10月7日(土)15時から16時ごろまでやります。
ご都合つく方、どうぞお気軽にご参加ください。

読むロバの会の日

でした。
参加者は2名。

それぞれに読んでおられたのは…
村上春樹『街とその不確かな壁』
イ・グミ(神谷丹路訳)『そこに私が行ってもいいですか?』
おふたりとも、前回(日曜)の続き、でした。

わたしは、前回読んでいた『終わりのない日々』を一旦置いて、これまた一気読みしたい気持ちを抑えながらちょっとずつ、大事に読んでいるチョン・セラン(斎藤真理子訳)『シソンから、』を。登場人物が多いので、ちょっと間があくと「この人、誰だっけ?」と思って巻頭の家系図で確認することもあるのですが、読み始めたらすぐに、すっとこのお話の世界に入っていける、やっぱりおもしろい〜!と、そのたびに思います。すでにこの本を読了しておられる参加者と、「シソンが生きているように感じられるよね」「歴史的なできごとが、それを描いている小説ではないのに、シソンと家族の人々の日常にちゃんと当たり前に登場してくるのがすごいよね」というようなおしゃべりをしました。ああ、チョン・セランさんの作品て、なんでこんなにおもしろいのでしょうか!

さて、次の読むロバの会は、9月27日(水)15時から16時ごろまでやります。
どうぞお気軽にご参加くださいね。

読むロバの会の日

でした。
参加者は2名。

それぞれに読んでおられたのは……
村上春樹『街とその不確かな壁』
イ・グミ(神谷丹路訳)『そこに私が行ってもいいですか?』

『街とその不確かな壁』、かなり分厚い長編。友達とオンラインで話している読書会の、次の課題図書なのだそうです。まだ読み始めたばかり、とのこと。がんばれー。
「最近は、村上春樹自身の小説よりも、村上春樹が翻訳した小説のほうが、文章がいいなあ、と思うことが多いんだけど、なんでなんだろう」ということをちょっとおしゃべりしました。

『そこに私が行ってもいいですか?』は前回に続き。「いよいよ辛くなってきた」とのこと。わたしは読了しているので、その先を言いそうになる口をおさえて「引き続きおたのしみください」と一言だけ。

わたしは、セバスチャン・バリー(木原善彦訳)『終わりのない日々』を。読みたかったけど大事にとっておいた一冊です。「この人が翻訳した作品は読む」と決めている翻訳家が何人かいて、木原さんもそのおひとり。まだ読み始めですが、やっぱり素晴らしい作品の予感がしています。辛いけど…。インディアンの戦士が潜んでいて襲ってくる、と聞かされ、燃える小屋の煙で目が痛くなりながら銃剣で刺しまくり、自分自身が興奮していることに驚き、落ち着いてから周りを見てみると倒れているのは女と子供ばかりだった……というところで、先日見た映画『福田村事件』をまた思い出してしまいました。

さて、次の読むロバの会は、9月21日(木)15時から16時ごろまでやります。
読みたい本を持って(店頭で購入も大歓迎!)、どうぞお気軽にいらしてくださいね。

読むロバの会の日

でした。
参加者は2人。
それぞれに読んでおられたのは…
『柴田元幸翻訳叢書 アメリカン・マスターピース 準古典篇』
イ・グミ(神谷丹路訳)『そこに私が行ってもいいですか?』

『アメリカン・マスターピース 準古典篇』は、ヘミングウェイ、フォークナーら巨匠によるアメリカ文学の定番から、本邦初訳作まで、20世紀前半に執筆・発表された名作中の名作短篇12篇がおさめられた一冊。もちろんすべて柴田元幸さんの訳。
イーディス・ウォートンの「ローマ熱」がめちゃくちゃおもしろい!そうですよ。女性ふたりの会話のやりとりで展開していくサスペンスなのだそう。

『そこに私が行ってもいいですか?』は、読み始めたばかりだけどおもしろそう、とのこと。
じつはこの本、昨年のK-BOOKフェスティバルの「本屋が特に推したい一冊」の動画リレーで、わたくしが推しておりますー。よかったら見てみてください。

わたしは、朱喜哲『〈公正(フェアネス)〉を乗りこなす 正義の反対は別の正義か』を。まだ2章まで。著者は言語哲学を専門とする研究者。「正義」や「公正」といったちょっと使いづらい?ややこしい?難しい?いわゆる「正しい言葉」について、その言葉の「ほんとうの意味」を理解しなくても、見よう見まねで「正しい使い方」を体得することはできる、それは自転車の乗り方を説明した文章を理解しなくても、実際に自転車に乗ることができるのと似ている…というようなことが最初に書いてあって、なるほどなーと思いました。
先日、リクオさんと中川敬さんと、ライブのあとでなぜか「正義」という言葉の話になって、その後もちょっと気になっていて、そんなときにこの本に出会ったのでした。そういうものですよねー。

さて、次の読むロバの会は、9月17日(日)15時から16時くらいまでやります。
どうぞお気軽にご参加くださいね。

読むロバの会の日

でした。
参加者は3名。

それぞれに読んでおられたのは…
(ま)&アサノタカオ『「知らない」からはじまるーー10代の娘に聞く韓国文学のこと』
福井栄一『本草奇説 もの言わぬ植物たちも夢を見る』
諸星大二郎『海神記(上)』

『「知らない」からはじまるーー10代の娘に聞く韓国文学のこと』は、きょう店頭で選んで参加してくださいました。
「韓国文学をよく知らないので知りたいと思ったのもあるけど、親子の対話を読んでみたいなと思って」とのこと。

『本草奇説 もの言わぬ植物たちも夢を見る』は、植物(草花、野菜など)についての説明のあとに、その植物が登場する竹取物語や古事記などの物語を抜粋して編まれた一冊。
著者は上方文化評論家とのことで、「植物学者や古典文学研究者ではないからこそつくれたアンソロジーかも」と。「工作舎の本、おもしろい」そうです。

『海神記(上)』は、古代を舞台にした漫画。再読だそうです。下巻で未完になっているそうですが、続きは描かれる予定がないのかな?「続きを読みたい気もするけど、これで終わってもいいような気もする」とのこと。

わたしは、イ・ジヘ(尹怡景訳)『差別はたいてい悪意のない人がする 見えない排除に気づくための10章』を。
多文化と差別などを研究する著者が、学術的な調査や分析を基に、自身の体験などもまじえながら書いた一冊。
きょう読んだ冒頭では、マジョリティには「見えない」さまざまな差別について、持っていることが当たり前すぎて気づいていない「特権」について、とてもわかりやすく、読みやすく書かれていました。わかっていると思っていたけど、はっとさせられることも。
読まなくてもいい、と思っている人ほど、読んだほうがいいかもしれないです。

さて、次の読むロバの会は、9月9日(土)15時から16時ごろまで開きます。
週末がお休みの方、本を片手に(店での購入も大歓迎!)気軽にお集まりください。

多謝!中川敬&リクオ「うたのありか2023」岩国篇

中川敬とリクオ「うたのありか2023」岩国篇、終了しました。

今年リクオさんをお迎えするのは、早くも2回目です。
1月に、昨年末ヒマールから出したリクオ初書籍『流さない言葉① ピアノマンつぶやく』出版記念ライブを開催したばかりですが、あれからわずか半年ちょっと。
じつは、本も発売からわずか半年ちょっとで、7月にめでたく重版したところで!
わたしたちにとっては“重版記念ライブ”という感もあった今回でした。祝!(本をお求めくださったみなさん、ほんとうにありがとうございます!まだの方はぜひ!)

リクオさんとソウル・フラワー・ユニオンの中川敬さんが一緒に長く続けているシリーズ「うたのありか」。
『流さない言葉① ピアノマンつぶやく』の一番最後に収録した書き下ろしエッセイは、昨年6月に宮城・南三陸で開催された「うたのありか」を軸とした物語です(力作!ぜひ読んでください!)。

中川さんをお迎えするのは今回が初めて。
なのですが、じつはヒマールは中川さんと初対面ではなく!35年前、夫がボーカル、わたしがマネージャーをしていたバンドが、新宿アンティノックというライブハウスで、中川さんの当時のバンド、ニューエスト・モデルと対バンしていて、打ち上げにも行っていたのでした!
打ち上げに誘っておきながらろくに話もしない、つまらないメンバーばかりだったので(苦笑)、中川さんの記憶に残っているはずもないのですが……バンド名だけ覚えておられました!チラシを手作りしていた効果!奇跡!(笑)

そんなこともあり、いろいろと気合や緊張や嬉しさが入りまじったライブ。
おかげさまで、予約完売で当日を迎えることができました!

ライブは、ふたりでの演奏から始まり、それぞれのソロがあって、最後にふたたびふたりで。そしてアンコールへ!

写真撮影はすべて、ナガツカアキラさんです。
いつもありがとう!

日曜の17時スタート。まだまだ明るい夏の夕方。ヒマールは窓ガラス面が広いので、真昼のような明るさからだんだんと暗くなっていく店内の感じは、ライブハウスでのライブとはまたちょっと違った雰囲気です。
よくライブハウスへ行かれる方にも、あまり行かない方にも、ライブをもっとたのしんでもらえたら嬉しいです。ライブ、ほんとにサイコーなんで!

いつものお客さんも、遠方から来てくださったお客さんも、ご来場ありがとうございました!

中川さん、リクオさん、素晴らしい演奏、最高な「うたのありか」、ありがとうございました!またお待ちしています!!