読むロバの会」カテゴリーアーカイブ

読むロバの会の日

でした。
参加者は2名。

それぞれに読んでおられたのは……
ブルハン・ソンメズ(最所篤子訳)『イスタンブル、イスタンブル』
コラム・マッキャン(栩木玲子訳)『無限角形』

『イスタンブル、イスタンブル』は、地下牢に閉じ込められた4人が順繰りに拷問に連れ出されながら、お互いに物語をし合いながら過ごしているお話のようです。作者ソンメズは英国に亡命したクルド系トルコ人で、本作はトルコ語で書かれて英語に訳され、さらに日本語に訳された重訳だと思う、とのこと。

『無限角形』は、ゴム弾に命を奪われた娘をもつパレスチナ人の父親と、テロで命を奪われた娘をもつイスラエル人の父親を軸とした物語のようです。作者マッキャンはアイルランド人。重たい話だけど、各章が短く読み進めやすい、とのこと。

わたしは、李箱(斎藤真理子訳)『翼 李箱作品集』を。李箱の作品を読むのは初めてです。韓国で最も権威のある文学賞として「李箱文学賞」があることは知っているので、若くして亡くなった李箱の生前に一冊も本が出版されていないことを知り、とても驚きました。この本には「この特異な作家の才能をまんべんなく味わえるよう、詩、小説、随筆、紀行、童話、書簡など多様なスタイルの文章」(訳者まえがきより)が収められています。今日は小説「翼」の途中までしか読めなかったのですが、大正から昭和初期の日本文学の香りがしました。

さて、次の読むロバの会は、12月28日(木)15時から16時ごろまでやります。
今年最後の読書会です。
年の瀬でみなさんお忙しいことと思いますが、1時間が無理なら10分でも、コーヒーでも飲みながら本を開いてみませんか?
もう忘れられているかもしれませんが(苦笑)、30日までK-BOOKフェアも継続中ですので、ぜひ!(ご購入特典のプレゼント応募も年末までできます!)
ご予約不要、ご参加をお待ちしています!

読むロバの会の日

でした。
参加者は1名。

読んでおられたのは…
カン・ファギル(小山内園子訳)『大丈夫な人』

読書会の1時間が経ち終わる時間になって、読んでいた本をパタっと閉じての開口一番が「こわい」でした。「こわすぎる!からだに力が入ってしまって!肩が凝った!」と。「こんなにこわい本だとは思っていなかった」と。ちょっと難解な部分もあるようでしたが、おもしろいので読むのをやめられないようです。

わたしは、ファン・ボルム(牧野美加訳)『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』を。これは、わたしたちの物語だ、と思いながら読んでいます。とくべつなことが起こるわけでも、とくべつな人が登場するわけでもなく、わたしたちの日常がそのまま描かれたような物語、という意味で。それがこんなにおもしろく思えて、読んでいるのが深呼吸しているように心地いいのは、どういうわけなんだろうか、と考えたりもしています。わたしも(夫も)常日頃、一番に心がけているのが「無理をしない」ということなので、共感する部分もたくさん。ひとつの章がごく短いのと、文章がとても読みやすいので、どんどん読めます。先日、「短い読書時間しかとれなくて、長編を読みたいけど読みにくい」というお客さんにチョン・セランの『フィフティ・ピープル』をご紹介したところですが、この本もおすすめしようと思います。

今日はK-BOOKフェア期間中らしく、K-BOOKな読書会でした。
明日10日までを予定していたK-BOOKフェアですが、入荷したばかりの本もあるので、年末30日まで延長して開催いたします。

次の読むロバの会は12月20日(水)、引き続きK-BOOKもぜひ。
15時から16時ごろまでやってますので、お買い物がてら、5分でも10分でも、本を読んでいってください。
読書時間と読書空間を共有する読書会、ご予約は不要です。

読むロバの会の日

でした。
参加者は1名。

読んでおられたのは…
潤一郎訳『源氏物語』

前回に続いて、ですね。家では別の本も読んでいるそうですが、「とりあえず、第1巻は読み終えたい」とのこと。

わたしは、K-BOOKフェア開催中ということで今回もK-BOOKから、イ・グミ(李明玉訳)『アロハ、私のママたち』を。昨年読んだイ・グミさんの『そこに私が行ってもいいですか?』がおもしろすぎて、こちらの本もたのしみにしていました。どちらも、時代に翻弄されながらも自分の人生を生きようとする女性たちの物語です。今回は第二次世界大戦前、日本統治下の朝鮮から「写真花嫁」としてハワイへ渡った少女たちが主人公。彼女たちの行く末が心配でドキドキして、ページをめくる手を止められないのは前作同様。エンタメ小説として物語をたのしみながら、その時代背景である歴史を知ることもできるのが2作品に共通するところでしょうか。いま4分の3あたりまできました。これからどうなるのか、気になって仕事になりません!笑

さて、次の読むロバの会は12月9日(土)15時から16時ごろまでやります。
ぐっと寒くなってきましたが、温かいコーヒーでも飲みながら、本を読むひとときをご一緒いたしましょう。
ご予約不要、お気軽にご参加ください。

読むロバの会の日

でした。
参加者は1名。

読んでおられたのは……
潤一郎訳『源氏物語』

前回の予告通り(!)谷崎潤一郎訳による『源氏物語」を読み始められました。「源氏物語は、だれの訳で読んでもだいたい腹が立ってきて読めなくなるのだけど、思った通り、これなら読めそう」とのこと。谷崎潤一郎は何度も改訳版を出しているのだそうです。すごいなあ!「谷崎潤一郎訳」ではなく「潤一郎訳」っていうのも、なんかかっこいい。そういえば、来年のNHK大河ドラマは紫式部らしいですね。みなさん、『源氏物語』を読んでみるなら「潤一郎訳」がよいかもですよ!

わたしは、K-BOOKフェア期間中ということで、今年の「#こえる一冊」にあげられている本から、来日中でもあるキム・ソヨン(姜信子監訳/奥歯翻訳委員会訳)『奥歯を噛みしめる 詩がうまれるとき』を。キム・ソヨンさんは詩人ですが、こちらはエッセイ集です。わたし、じつはキム・ソヨンさんの詩集をまだ読んだことがなく、以前に読んだことがあるのも『詩人キム・ソヨン 一文字の辞典』でエッセイ集(と言っていいのかな)なのですが、この2冊でもう、わたしはキム・ソヨンさんのことが大好きになり信頼しています。次こそは詩集を、『数学者の朝』を読むつもりで、とてもたのしみにしています。月に一度集まっては翻訳されたという「奥歯翻訳委員会」もすごくいいなあ。

さて、次の読むロバの会は12月1日(金)15時ごろからやります。師走に入るとなかなか読書時間がもてなくなりがちなので、思い切って読書会の予定を入れてしまうのがいいと思いますよ。
ご予約不要、本を1冊持って(店でも買えます)いらしてください。
ご参加をお待ちしています。

読むロバの会の日

でした。
参加者は2名。

それぞれに読んでおられたのは…
谷崎潤一郎『細雪』
コルソン・ホワイトヘッド(藤井光訳)『ニッケル・ボーイズ』

『細雪』は前回に続いて、今日は下巻、そして読了されました。「おもしろかった!」と。いま、谷崎潤一郎の世界にどっぷりと浸っているところなので、「『あさきゆめみし』くらいでしか読めていない『源氏物語』、いまだったら、谷崎潤一郎訳でなら読めるかも」とのこと。大長編に続く大長編。読書の秋ですね!

『ニッケル・ボーイズ』は前々回に続いて。中盤を過ぎたそうですが、「前半は辛かったけど、いまは辛くない。むしろ、のほほんとした少年たちの物語、という感じになってきた。『トム・ソーヤーの冒険』を読んでるような気分」とのこと。

わたしは、茨木のり子訳編『韓国現代詩選』を。茨木のり子さんが韓国文学の翻訳をされていたとは知りませんでした。12人の詩人の62篇の詩が、茨木のり子さんによって選ばれ訳され編まれています。今日はそこからいくつかを読んでみましたが、どれもそれぞれの詩人の作品でありながら茨木のり子さんの作品でもあるようで。あとがきで、韓国の学生に倣って自分だけのアンソロジーをつくってみたかった、というようなことが書いてありました。今日の参加者にこの本のことを説明していたら、「音楽でいうと、カバーみたいなもの?ミックステープとか?」と言われ、ああ、そうだな、これは優れたカバー曲集みたいな感じかも、と思いました。

さて、次の読むロバの会は11月26日(日)15時から16時ごろまでやります。
23日からK-BOOKフェアを開催している期間中になりますので、この機会に、K-BOOK(韓国の本)を読んでみるのはいかがでしょうか?
よかったら、本を選ぶお手伝いもします。
ご予約不要です。お気軽にどうぞー。

読むロバの会の日

でした。
参加者は2名。

それぞれに読んでおられたのは…
谷崎潤一郎『細雪』
松下竜一『狼煙を見よ』

『細雪』を読んでいた方は、中国へ長期出張する友人に「長めの小説をおすすめして」と言われてこの本をすすめたら、自分が再読したくなった、とのこと。いいですね! 文庫で上中下巻まである長編ですが、「おもしろいので長いと感じない」と、今日は中巻を読み終えられました。

『狼煙を見よ』は、1974年に連続企業爆破事件を起こしたグループ・東アジア反日武装戦線“狼”部隊のメンバーに、逮捕後に話を聞いて書かれたノンフィクションのようです。著者は豆腐屋を営みながら自身の手記をまとめた『豆腐屋の四季』でデビューし、その後、短歌や小説、随筆、記録文学など多くの作品を残した作家。「その経歴にも興味があって、読んでみようと思った」とのことです。

わたしは、チョン・セラン(すんみ訳)『八重歯が見たい』を。先月発売になった本ですが、チョン・セラン初期の作品とのこと。主人公のひとりが小説を書いていて、その短編小説が作中作のかたちでたくさん出てきます。それが全部おもしろい! この短編集、読みたい!と思いました。最近の作品『シソンから、』も作中作がたくさん出てきたのですが、初期の頃からやっぱりうまく効果的に書かれていたんだなあ、と。『八重歯が見たい』というタイトル、読む前と読んだ後とでまったく印象が……これについては、まだ読んでいない人のために何も言えません!

さて、次の読むロバの会は、11月17日(金)15時から16時ごろまでやります。
どうぞお気軽にご参加くださいね。

読むロバの会の日

でした。
参加者は3名。

それぞれに読んでおられたのは…
山本一力『ひむろ飛脚』
コルソン・ホワイトヘッド(藤井光訳)『ニッケル・ボーイズ』
アレクサンダル・ヘモン(岩本正恵訳)『ノーホエア・マン』

『ひむろ飛脚』、まだ読み始めたばかりだそうですが、将軍に献上する氷を加賀藩から運ぶ飛脚たちの物語のようです。「いまのところ6人の飛脚が出てきていて、チームで運んでいるみたいです」とのこと。

『ニッケル・ボーイズ』は「とにかく酷い」と。「黒人の少年が主人公の、刑務所の話だから」と聞いて、参加者全員、ああ……となりました。

『ノーホエア・マン』は前回に続いて。前回は読み始められたばかりでしたが、今日読み終わったそうです。「場所も時代もあちこち飛んで、視点も変わって、あれ?とよくわからなくなるところもあったけど、すごい一冊だった」とのこと。

わたしは、小山さんノートワークショップ編『小山さんノート』を。小山さんと呼ばれていたひとりのホームレスの女性が書き遺した80冊のノート。小山さんが十数年の日々を綴ったその文章もすごいのですが、それがこうして一冊の本になった過程がほんとうにすごいとわたしは感じました(「すごい」は陳腐な表現ですが、これから読む方も多いと思うので、ひとまず)。達筆すぎ、独自の当て字や言葉遣いも多い小山さんノート。その文字起こしのために始まった「小山さんノートワークショップ」。毎月1回集まっては文字起こしをすること8年! 膨大な文章からどこを抜粋して本にするか、選ぶのもほんとうにたいへんだったと思います。巻末にはワークショップ参加者のエッセイも収録されていて、それがまたすごい。「本」というかたちになって届き、読まれ、そこから読者の中やまわりにもきっとひろがっていくであろう予感まで含めて、すごい一冊だなと思います。

さて、次回の読むロバの会は11月11日(土)15時から16時ごろまでやります。
どうぞお気軽にご参加くださいね。

読むロバの会の日

でした。
参加者は2名。

それぞれに読んでおられたのは…
ソン・ホンギュ(橋本智保訳)『イスラーム精肉店』
アレクサンダル・ヘモン(岩本正恵訳)『ノーホエア・マン』

『イスラーム精肉店』、「タイトルが気になっていて」と来店されて購入されてからの読書会ご参加でした。朝鮮戦争で戦ったあとも韓国に残りムスリムでありながらモスクに通わず豚をさばくトルコ人と、彼に引き取られた(彼が義父となった)少年の物語のようです。読書会の1時間で読み終えることはできませんでしたが、「差異が差異を生んでいくような、哲学的な話だと感じる。おもしろい」とのこと。ふだんあまり小説は読まないとおっしゃっていた方なので、「おもしろい」の言葉につい嬉しくなってしまった店員です。

『ノーホエア・マン』の作者へモンはボスニア出身。アメリカに来ていたときに内戦が起きて祖国に帰れなくなり、以降そのままアメリカに暮らし、母国語ではない英語で小説を書いている作家だそうです。「読みたいと思いながら本棚に置いたままだった一冊。もうすぐ新しい翻訳作品が出ると知ったので、先に読んでおこうと思って」とのこと。「ヘモンはかっこよくておしゃれな人なので、なんとなくそんなイメージをもって読み始めたけど、いまのところ(冒頭は)ドタバタしている。これからどうなるのか、全然わからない」とのこと。

わたしは、中島岳史『思いがけず利他』を。先日、数年ぶりに会った友人といっぱい話をして、わたしの話をたくさん聞いてくれた友人が帰宅後に「この本、まだ読んでなかったらぜひ」と勧めてくれたので昨日と今日でさっそく。ずっと気にはなっていたけれど、今が読むタイミングだったんだなあ、としみじみ思いながら読みました。なんだかすっきりしています。勧めてくれてありがとう!

さて、次の読むロバの会は、11月2日(木)15時から16時ごろまでやります。
各自で読みたい本を黙って読んで、最後に読んでいた本を紹介しあう、という読書会です。
ご予約は不要です。どうぞ気軽にご参加くださいね。

読むロバの会の日

でした。
参加者は3名。

それぞれに読んでおられたのは…
『どこか、安心できる場所で 新しいイタリアの文学』
ハインリヒ・フォン・クライスト(北岡武司訳)『嘘とまこと』
ミヒャエル・エンデ(田村都志夫訳)『自由の牢獄』

『どこか、安心できる場所で 新しいイタリアの文学』は、前回から続いて。複数の作家の短篇作品がおさめられた一冊の中から今日は、ヘレナ・ヤネチェクの「恋するトリエステ」を読んだそうです。「タイトルから想像していたのとは違って、実在する人物の話で、イタリアがファシズムに覆われる時代のシリアスな話だった。おもしろかったけど」とのこと。

『嘘とまこと』と『自由の牢獄』を読んでおられたおふたりは久しぶりのご参加。それぞれに「読むロバの会では小説を読んだほうがいいんじゃないか」と思われて(小説じゃなくてもいいんですよ!)、ご自宅にある“積ん読”の中から選んで来られたのだそう。
『嘘とまこと』におさめられた「決闘」を読んだ方は、「人工的に複雑にされた感じがして、ねっとりしていて……やっぱりわたしは、この時代のドイツ文学は嫌いでした」と再確認される読書になったようす。
『自由の牢獄』におさめられた「夢世界の旅人マックス・ムトの物語」を読んだ方は、「しばらく、読書会の課題図書とか目的のある読書しかしていなくて、久しぶりにぼんやりしながら読書をした」と話しておられて、その“目的のない読書”と、物語の最後でマックス・ムトが「目的地に到達したものをうらやまない。私は旅が好きだ。」と言っていることとがリンクしていて、ああ、いいなあと思わされました。

今日はそれぞれに読んでいた本のあらすじを詳しく紹介しあって、読んだあとのおしゃべりの時間もたっぷり。たのしかったです。

わたしは、チョン・ミョングァン(斎藤真理子訳)『鯨』を。国際ブッカー賞の最終候補になったことをニュースで知って読もうと思いながら、なかなか読めていなかった作品。かなり分厚い一冊。今日はそのはじめのごく一部しか読めませんでしたが、娘と母と祖母、それぞれの、かなり激しく壮絶な人生を描いた大きな物語のようです。おもしろいことはおもしろいのですが……ちょっと好みじゃないというか(たのしめる人はいると思います!韓国でも大ベストセラーだったそうですし!)……ほかに読みたい本もたくさんあるので、これは一旦置いておこうかな、と思っています。

さて、次の読むロバの会は、10月27日(金)15時から16時ごろまでやります。
今週末から来週末まで「伊東製靴店の受注会」があり、そのあいだはお休みするのでちょっと先になります。
読書の秋、いっしょにたくさん読みましょう!

読むロバの会の日

でした。
参加者は2名。

それぞれに読んでおられたのは…
『どこか、安心できる場所で 新しいイタリアの文学』
イ・ジョンチョル(印イェニ訳)『カデギ 物流倉庫でミックスコーヒーをがぶ飲みしながら働いた話』

『どこか、安心できる場所で』は、わりと最近のイタリアの文学作品を集めた短編集。13人の作家のうち11人が、この本で日本初紹介となるそうです。現代イタリア文学、と聞くと、わたしはイタロ・カルヴィーノくらいしかすぐに思いつかず、難解というかちょっと苦手なイメージを持っていますが、カルヴィーノはすでに前世紀の作家!?……ということで、新しいイタリアの文学、気になりました。

『カデギ』は、韓国のコミック。サブタイトルでなんとなく内容が想像できますが、感想を聞いてみたところ、「たいへんです…」と一言だけ。漫画家を目指しながら生計を立てるためにアルバイトしていた、作者の体験をもとに描かれた作品のようです。

わたしは、読書会の時間が始まってすぐ、ちいさいおともだちが店に遊びに来てくれたので読めず、でした。今日読むつもりだった本は、また次回に読もうと思います。

さて、次の読むロバの会は10月12日(木)15時から16時ごろまでやります。
どうぞお気軽にご参加くださいね。