読むロバの会の日

でした。
参加者は1名。
読んでおられたのは、ポール・オースター(柴田元幸訳)『リヴァイアサン』。
最近、続けてポール・オースター作品を読んでいるそうです。
「これは読み始めてまだ4分の1くらいなので、この先どうなるのかよくわからないけれど。とにかく文章がとても読みやすい」とのこと。

わたしは、長野まゆみ『八月六日上々天氣』を。
物語は、昭和16年暮れの東京からはじまり、女学校に通う15歳の珠紀と敦子、珠紀を「お姉さま」と慕う4つ下の従弟・史郎、そして昭和17年夏に珠紀が結婚する市岡が主な登場人物で、昭和20年8月6日の広島へと進んでいきます。
原爆を描いた小説は数多くさまざまにありますが、この小説では主人公がその日、広島にいながらも、原爆が投下されたときの爆心地のことも、その後のことも、まったく描かれていません。
著者あとがきを読むと、著者の父親は当時中学を繰り上げで卒業し、一家揃って東京から広島へ疎開、爆心地から1.2キロの家の中で被曝し、そのとき奉仕活動に出ていた小学生の弟妹たちを探して市内を走りまわったそうですが、「父は以降の数日の記憶が真っ白であるらしい。その封印を解かずにおきたいと思ってきたようだ。だから、広島県内の親族を訪ねるさいに市内は避けて通る。あるいは真っ暗になったころに到着する新幹線で広島入りする」とあり、そのことが、8月6日の原爆投下から後のことが描かれていない理由なのかな、と思いました。
登場人物の死も暗示するように描かれていて、酷い描写はほぼないと言ってよいかと思いますが、だから余計に、というか、読んでいてとても怖ろしく感じました。
戦争はほんとうに嫌です。

さて、次の読むロバの会はちょっと先、8月24日(土)18時から19時ごろまでやります。
読みたい本を持って(または、店頭で買ってくださっても)お集まりください。
読みロバの会は、読書時間と空間を共有する読書会です。
それぞれに本を読み、最後に読んでいた本を紹介しあっています。
どうぞお気軽にご参加ください。

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