読むロバの会の日

でした。
参加者は2名。

それぞれに読んでおられたのは…
谷崎潤一郎『細雪』
コルソン・ホワイトヘッド(藤井光訳)『ニッケル・ボーイズ』

『細雪』は前回に続いて、今日は下巻、そして読了されました。「おもしろかった!」と。いま、谷崎潤一郎の世界にどっぷりと浸っているところなので、「『あさきゆめみし』くらいでしか読めていない『源氏物語』、いまだったら、谷崎潤一郎訳でなら読めるかも」とのこと。大長編に続く大長編。読書の秋ですね!

『ニッケル・ボーイズ』は前々回に続いて。中盤を過ぎたそうですが、「前半は辛かったけど、いまは辛くない。むしろ、のほほんとした少年たちの物語、という感じになってきた。『トム・ソーヤーの冒険』を読んでるような気分」とのこと。

わたしは、茨木のり子訳編『韓国現代詩選』を。茨木のり子さんが韓国文学の翻訳をされていたとは知りませんでした。12人の詩人の62篇の詩が、茨木のり子さんによって選ばれ訳され編まれています。今日はそこからいくつかを読んでみましたが、どれもそれぞれの詩人の作品でありながら茨木のり子さんの作品でもあるようで。あとがきで、韓国の学生に倣って自分だけのアンソロジーをつくってみたかった、というようなことが書いてありました。今日の参加者にこの本のことを説明していたら、「音楽でいうと、カバーみたいなもの?ミックステープとか?」と言われ、ああ、そうだな、これは優れたカバー曲集みたいな感じかも、と思いました。

さて、次の読むロバの会は11月26日(日)15時から16時ごろまでやります。
23日からK-BOOKフェアを開催している期間中になりますので、この機会に、K-BOOK(韓国の本)を読んでみるのはいかがでしょうか?
よかったら、本を選ぶお手伝いもします。
ご予約不要です。お気軽にどうぞー。

読むロバの会の日

でした。
参加者は2名。

それぞれに読んでおられたのは…
谷崎潤一郎『細雪』
松下竜一『狼煙を見よ』

『細雪』を読んでいた方は、中国へ長期出張する友人に「長めの小説をおすすめして」と言われてこの本をすすめたら、自分が再読したくなった、とのこと。いいですね! 文庫で上中下巻まである長編ですが、「おもしろいので長いと感じない」と、今日は中巻を読み終えられました。

『狼煙を見よ』は、1974年に連続企業爆破事件を起こしたグループ・東アジア反日武装戦線“狼”部隊のメンバーに、逮捕後に話を聞いて書かれたノンフィクションのようです。著者は豆腐屋を営みながら自身の手記をまとめた『豆腐屋の四季』でデビューし、その後、短歌や小説、随筆、記録文学など多くの作品を残した作家。「その経歴にも興味があって、読んでみようと思った」とのことです。

わたしは、チョン・セラン(すんみ訳)『八重歯が見たい』を。先月発売になった本ですが、チョン・セラン初期の作品とのこと。主人公のひとりが小説を書いていて、その短編小説が作中作のかたちでたくさん出てきます。それが全部おもしろい! この短編集、読みたい!と思いました。最近の作品『シソンから、』も作中作がたくさん出てきたのですが、初期の頃からやっぱりうまく効果的に書かれていたんだなあ、と。『八重歯が見たい』というタイトル、読む前と読んだ後とでまったく印象が……これについては、まだ読んでいない人のために何も言えません!

さて、次の読むロバの会は、11月17日(金)15時から16時ごろまでやります。
どうぞお気軽にご参加くださいね。

読むロバの会の日

でした。
参加者は3名。

それぞれに読んでおられたのは…
山本一力『ひむろ飛脚』
コルソン・ホワイトヘッド(藤井光訳)『ニッケル・ボーイズ』
アレクサンダル・ヘモン(岩本正恵訳)『ノーホエア・マン』

『ひむろ飛脚』、まだ読み始めたばかりだそうですが、将軍に献上する氷を加賀藩から運ぶ飛脚たちの物語のようです。「いまのところ6人の飛脚が出てきていて、チームで運んでいるみたいです」とのこと。

『ニッケル・ボーイズ』は「とにかく酷い」と。「黒人の少年が主人公の、刑務所の話だから」と聞いて、参加者全員、ああ……となりました。

『ノーホエア・マン』は前回に続いて。前回は読み始められたばかりでしたが、今日読み終わったそうです。「場所も時代もあちこち飛んで、視点も変わって、あれ?とよくわからなくなるところもあったけど、すごい一冊だった」とのこと。

わたしは、小山さんノートワークショップ編『小山さんノート』を。小山さんと呼ばれていたひとりのホームレスの女性が書き遺した80冊のノート。小山さんが十数年の日々を綴ったその文章もすごいのですが、それがこうして一冊の本になった過程がほんとうにすごいとわたしは感じました(「すごい」は陳腐な表現ですが、これから読む方も多いと思うので、ひとまず)。達筆すぎ、独自の当て字や言葉遣いも多い小山さんノート。その文字起こしのために始まった「小山さんノートワークショップ」。毎月1回集まっては文字起こしをすること8年! 膨大な文章からどこを抜粋して本にするか、選ぶのもほんとうにたいへんだったと思います。巻末にはワークショップ参加者のエッセイも収録されていて、それがまたすごい。「本」というかたちになって届き、読まれ、そこから読者の中やまわりにもきっとひろがっていくであろう予感まで含めて、すごい一冊だなと思います。

さて、次回の読むロバの会は11月11日(土)15時から16時ごろまでやります。
どうぞお気軽にご参加くださいね。

読むロバの会の日

でした。
参加者は2名。

それぞれに読んでおられたのは…
ソン・ホンギュ(橋本智保訳)『イスラーム精肉店』
アレクサンダル・ヘモン(岩本正恵訳)『ノーホエア・マン』

『イスラーム精肉店』、「タイトルが気になっていて」と来店されて購入されてからの読書会ご参加でした。朝鮮戦争で戦ったあとも韓国に残りムスリムでありながらモスクに通わず豚をさばくトルコ人と、彼に引き取られた(彼が義父となった)少年の物語のようです。読書会の1時間で読み終えることはできませんでしたが、「差異が差異を生んでいくような、哲学的な話だと感じる。おもしろい」とのこと。ふだんあまり小説は読まないとおっしゃっていた方なので、「おもしろい」の言葉につい嬉しくなってしまった店員です。

『ノーホエア・マン』の作者へモンはボスニア出身。アメリカに来ていたときに内戦が起きて祖国に帰れなくなり、以降そのままアメリカに暮らし、母国語ではない英語で小説を書いている作家だそうです。「読みたいと思いながら本棚に置いたままだった一冊。もうすぐ新しい翻訳作品が出ると知ったので、先に読んでおこうと思って」とのこと。「ヘモンはかっこよくておしゃれな人なので、なんとなくそんなイメージをもって読み始めたけど、いまのところ(冒頭は)ドタバタしている。これからどうなるのか、全然わからない」とのこと。

わたしは、中島岳史『思いがけず利他』を。先日、数年ぶりに会った友人といっぱい話をして、わたしの話をたくさん聞いてくれた友人が帰宅後に「この本、まだ読んでなかったらぜひ」と勧めてくれたので昨日と今日でさっそく。ずっと気にはなっていたけれど、今が読むタイミングだったんだなあ、としみじみ思いながら読みました。なんだかすっきりしています。勧めてくれてありがとう!

さて、次の読むロバの会は、11月2日(木)15時から16時ごろまでやります。
各自で読みたい本を黙って読んで、最後に読んでいた本を紹介しあう、という読書会です。
ご予約は不要です。どうぞ気軽にご参加くださいね。

読むロバの会の日

でした。
参加者は3名。

それぞれに読んでおられたのは…
『どこか、安心できる場所で 新しいイタリアの文学』
ハインリヒ・フォン・クライスト(北岡武司訳)『嘘とまこと』
ミヒャエル・エンデ(田村都志夫訳)『自由の牢獄』

『どこか、安心できる場所で 新しいイタリアの文学』は、前回から続いて。複数の作家の短篇作品がおさめられた一冊の中から今日は、ヘレナ・ヤネチェクの「恋するトリエステ」を読んだそうです。「タイトルから想像していたのとは違って、実在する人物の話で、イタリアがファシズムに覆われる時代のシリアスな話だった。おもしろかったけど」とのこと。

『嘘とまこと』と『自由の牢獄』を読んでおられたおふたりは久しぶりのご参加。それぞれに「読むロバの会では小説を読んだほうがいいんじゃないか」と思われて(小説じゃなくてもいいんですよ!)、ご自宅にある“積ん読”の中から選んで来られたのだそう。
『嘘とまこと』におさめられた「決闘」を読んだ方は、「人工的に複雑にされた感じがして、ねっとりしていて……やっぱりわたしは、この時代のドイツ文学は嫌いでした」と再確認される読書になったようす。
『自由の牢獄』におさめられた「夢世界の旅人マックス・ムトの物語」を読んだ方は、「しばらく、読書会の課題図書とか目的のある読書しかしていなくて、久しぶりにぼんやりしながら読書をした」と話しておられて、その“目的のない読書”と、物語の最後でマックス・ムトが「目的地に到達したものをうらやまない。私は旅が好きだ。」と言っていることとがリンクしていて、ああ、いいなあと思わされました。

今日はそれぞれに読んでいた本のあらすじを詳しく紹介しあって、読んだあとのおしゃべりの時間もたっぷり。たのしかったです。

わたしは、チョン・ミョングァン(斎藤真理子訳)『鯨』を。国際ブッカー賞の最終候補になったことをニュースで知って読もうと思いながら、なかなか読めていなかった作品。かなり分厚い一冊。今日はそのはじめのごく一部しか読めませんでしたが、娘と母と祖母、それぞれの、かなり激しく壮絶な人生を描いた大きな物語のようです。おもしろいことはおもしろいのですが……ちょっと好みじゃないというか(たのしめる人はいると思います!韓国でも大ベストセラーだったそうですし!)……ほかに読みたい本もたくさんあるので、これは一旦置いておこうかな、と思っています。

さて、次の読むロバの会は、10月27日(金)15時から16時ごろまでやります。
今週末から来週末まで「伊東製靴店の受注会」があり、そのあいだはお休みするのでちょっと先になります。
読書の秋、いっしょにたくさん読みましょう!

読むロバの会の日

でした。
参加者は2名。

それぞれに読んでおられたのは…
『どこか、安心できる場所で 新しいイタリアの文学』
イ・ジョンチョル(印イェニ訳)『カデギ 物流倉庫でミックスコーヒーをがぶ飲みしながら働いた話』

『どこか、安心できる場所で』は、わりと最近のイタリアの文学作品を集めた短編集。13人の作家のうち11人が、この本で日本初紹介となるそうです。現代イタリア文学、と聞くと、わたしはイタロ・カルヴィーノくらいしかすぐに思いつかず、難解というかちょっと苦手なイメージを持っていますが、カルヴィーノはすでに前世紀の作家!?……ということで、新しいイタリアの文学、気になりました。

『カデギ』は、韓国のコミック。サブタイトルでなんとなく内容が想像できますが、感想を聞いてみたところ、「たいへんです…」と一言だけ。漫画家を目指しながら生計を立てるためにアルバイトしていた、作者の体験をもとに描かれた作品のようです。

わたしは、読書会の時間が始まってすぐ、ちいさいおともだちが店に遊びに来てくれたので読めず、でした。今日読むつもりだった本は、また次回に読もうと思います。

さて、次の読むロバの会は10月12日(木)15時から16時ごろまでやります。
どうぞお気軽にご参加くださいね。

読むロバの会の日

でした。
参加者は2名。

それぞれに読んでおられたのは…
スティーグ・ラーソン(ヘレンハルメ美穂、岩澤雅利訳)『ミレニアム3』
TAJIRI『少年とリング屋』

『ミレニアム3』は、スウェーデンの大ベストセラー小説。ダークサスペンスのシリーズ作品で、映画化もされています。映画はスウェーデン版とハリウッドリメイク版があって、確かハリウッド版の1作目が「ドラゴン・タトゥーの女」だったかな。映画もおもしろいけど、小説もおもしろいそうですよ。

『少年とリング屋』は、プロレスラーTAJIRIの作家デビュー作品。プロレスラーが書いたプロレスの小説ということであまり期待せずに(!?)読み始めたそうですが、予想外の展開が繰り広げられていて、「文章もうまいし、おもしろい!TAJIRIというレスラーのトリックスターぶりを、小説の世界でもいかんなく発揮している」とのこと。

わたしは、エリカ・チェノウェス(小林綾子訳)『市民的抵抗』を。なんだかなあと思うことが続いているので、なんとかできないものだろうかと、希望を見出したくて手にしてみました。これはなかなか勉強になるぞ!ははーん、なるほどねー、と思いながら読んでいます。

次の読むロバの会は、10月7日(土)15時から16時ごろまでやります。
ご都合つく方、どうぞお気軽にご参加ください。

読むロバの会の日

でした。
参加者は2名。

それぞれに読んでおられたのは…
村上春樹『街とその不確かな壁』
イ・グミ(神谷丹路訳)『そこに私が行ってもいいですか?』
おふたりとも、前回(日曜)の続き、でした。

わたしは、前回読んでいた『終わりのない日々』を一旦置いて、これまた一気読みしたい気持ちを抑えながらちょっとずつ、大事に読んでいるチョン・セラン(斎藤真理子訳)『シソンから、』を。登場人物が多いので、ちょっと間があくと「この人、誰だっけ?」と思って巻頭の家系図で確認することもあるのですが、読み始めたらすぐに、すっとこのお話の世界に入っていける、やっぱりおもしろい〜!と、そのたびに思います。すでにこの本を読了しておられる参加者と、「シソンが生きているように感じられるよね」「歴史的なできごとが、それを描いている小説ではないのに、シソンと家族の人々の日常にちゃんと当たり前に登場してくるのがすごいよね」というようなおしゃべりをしました。ああ、チョン・セランさんの作品て、なんでこんなにおもしろいのでしょうか!

さて、次の読むロバの会は、9月27日(水)15時から16時ごろまでやります。
どうぞお気軽にご参加くださいね。

読むロバの会の日

でした。
参加者は2名。

それぞれに読んでおられたのは……
村上春樹『街とその不確かな壁』
イ・グミ(神谷丹路訳)『そこに私が行ってもいいですか?』

『街とその不確かな壁』、かなり分厚い長編。友達とオンラインで話している読書会の、次の課題図書なのだそうです。まだ読み始めたばかり、とのこと。がんばれー。
「最近は、村上春樹自身の小説よりも、村上春樹が翻訳した小説のほうが、文章がいいなあ、と思うことが多いんだけど、なんでなんだろう」ということをちょっとおしゃべりしました。

『そこに私が行ってもいいですか?』は前回に続き。「いよいよ辛くなってきた」とのこと。わたしは読了しているので、その先を言いそうになる口をおさえて「引き続きおたのしみください」と一言だけ。

わたしは、セバスチャン・バリー(木原善彦訳)『終わりのない日々』を。読みたかったけど大事にとっておいた一冊です。「この人が翻訳した作品は読む」と決めている翻訳家が何人かいて、木原さんもそのおひとり。まだ読み始めですが、やっぱり素晴らしい作品の予感がしています。辛いけど…。インディアンの戦士が潜んでいて襲ってくる、と聞かされ、燃える小屋の煙で目が痛くなりながら銃剣で刺しまくり、自分自身が興奮していることに驚き、落ち着いてから周りを見てみると倒れているのは女と子供ばかりだった……というところで、先日見た映画『福田村事件』をまた思い出してしまいました。

さて、次の読むロバの会は、9月21日(木)15時から16時ごろまでやります。
読みたい本を持って(店頭で購入も大歓迎!)、どうぞお気軽にいらしてくださいね。

読むロバの会の日

でした。
参加者は2人。
それぞれに読んでおられたのは…
『柴田元幸翻訳叢書 アメリカン・マスターピース 準古典篇』
イ・グミ(神谷丹路訳)『そこに私が行ってもいいですか?』

『アメリカン・マスターピース 準古典篇』は、ヘミングウェイ、フォークナーら巨匠によるアメリカ文学の定番から、本邦初訳作まで、20世紀前半に執筆・発表された名作中の名作短篇12篇がおさめられた一冊。もちろんすべて柴田元幸さんの訳。
イーディス・ウォートンの「ローマ熱」がめちゃくちゃおもしろい!そうですよ。女性ふたりの会話のやりとりで展開していくサスペンスなのだそう。

『そこに私が行ってもいいですか?』は、読み始めたばかりだけどおもしろそう、とのこと。
じつはこの本、昨年のK-BOOKフェスティバルの「本屋が特に推したい一冊」の動画リレーで、わたくしが推しておりますー。よかったら見てみてください。

わたしは、朱喜哲『〈公正(フェアネス)〉を乗りこなす 正義の反対は別の正義か』を。まだ2章まで。著者は言語哲学を専門とする研究者。「正義」や「公正」といったちょっと使いづらい?ややこしい?難しい?いわゆる「正しい言葉」について、その言葉の「ほんとうの意味」を理解しなくても、見よう見まねで「正しい使い方」を体得することはできる、それは自転車の乗り方を説明した文章を理解しなくても、実際に自転車に乗ることができるのと似ている…というようなことが最初に書いてあって、なるほどなーと思いました。
先日、リクオさんと中川敬さんと、ライブのあとでなぜか「正義」という言葉の話になって、その後もちょっと気になっていて、そんなときにこの本に出会ったのでした。そういうものですよねー。

さて、次の読むロバの会は、9月17日(日)15時から16時くらいまでやります。
どうぞお気軽にご参加くださいね。