2023.4.7

初めての電子書籍、ポール・オースター『サンセット・パーク』読了。

とてもおもしろかった。
登場人物全員、読むほどにどんどん愛おしくなって、みんな、なんとか、どうか、幸せになってほしい、と願わずにはいられない。

最後、えっ!これで終わり!?これからどうなるの!?と衝撃を受けたのは、内容のみならず、電子書籍で読んだからだと思う。
そろそろ終わり、ということがまったくわからずに読むから。
一応、ページ数は表示されるけれども、選択したフォントの大きさで総ページ数は変わるし、000ページで終わり、なんてことを頭に入れて読んだりはしないから。
紙の本の、自然と終盤が近づいていることがわかる物理的な感覚、あらためて、そうだったのかーと思う。

で、じゃあどっちがいいのかと考えると、そろそろ終わり、がわかったほうがよいかわからないほうがよいか、どっちもそれぞれいい気がしている。
そろそろ終わり、がわからない読書は初めてだったけど、それはそれで悪くはなかった。

電子書籍は、たくさん買ったのでたくさん読んでみます。
電子書籍を買うときに、リアル書店を選んで買うことができたらいいな(コロナ禍のはじめに、配信で自宅で映画を見るのだけれどリアル映画館を選んで鑑賞券を買って見られたみたいに)、と思ったので、hontoに提案メッセージを出してみました。
hontoのお客さんは電子も読むけど紙の本が好きな読者も多いと思うし、hontoらしくて、kindleとの違いもアピールできていい気がするんだよね。どうかな。

2023.4.5

統一地方選挙の選挙戦がはじまっています。
選挙期間中はいい顔しとくもんだと思うけど、え、なに言ってんの!?と思う阿呆なニュースばかり聞こえてきて、もはやこの状態がデフォルトになってるんだなあ、と。
これ以上好き勝手されてたまるか、と思うエネルギーが、どんどん、もう手遅れで落ちるところまで落ちるしかないんだろうな、という実感に削がれていきます。

それでも、諦めない、というか、諦められないんですけどね。
だって、ちょっとでもいい世の中に生きていたいし、まわりにいる小さい子たちがこれから酷い世の中を生きていかなきゃいけないんだなあと思いながら死んでいくのは辛いから。
できることはやっておきたい、と思っています、これまで以上に。

読むロバの会の日

でした。

参加者は2名。
それぞれに読んでいたのは、それぞれ先週の続き。
アリ・スミス(木原善彦訳)『春』
吉川英治『三国志(四)』

わたしは『芥川賞候補傑作選 戦前・戦中編1935-1944』から、埴原一亟(はにはら・いちじょう)の「下職人」を読みました。
この本は、ふちがみとふなとさんからいただいた『埴原一亟 古本小説集』があまりにもおもしろかったので、読書会をいっしょにやっているともだちに貸したところ、ともだちも気に入って、埴原一亟が芥川賞を逃した作品を読んでみたいと思ったそうで、図書館で探して借りてきてくれたもの。ともだちが返す前に、今日の読書会のほぼ1時間で読ませてもらうことができました。
『古本小説集』におさめられた作品もそれぞれおもしろかったけど、この「下職人」はさらにおもしろく、なぜ芥川賞受賞を逃したのか首をひねってしまうほど、力のあるなんとも素晴らしい傑作でした!(このとき受賞したのは、多田裕計の「長江デルタ」)
なかなかこういう小説は最近ないような…と、ともだちとひとしきり話して、埴原一亟の作品、見つけられたらまた読みたいね、と言い合いました。
いい作家を教えてくれて、ふちふなさん、ありがとうございました!

さて、4月も読むロバの会は週1ペースで開きます。
8日(土)、14日(金)、19日(水)、27日(木)、いずれも15時から16時ごろまで。
読むロバの会は、それぞれに黙って本を読む、読書の時間と空間を共有する読書会です。
ご予約不要。読みたい本を持って、気軽にいらしてください。店で本を買って読んでくださるのも大歓迎。
参加費がわりに、1ドリンクのご注文か500円以上のお買い物をお願いしています。

読むロバの会の日

でした。
きょうの参加者は2名。

それぞれに読んでいたのは…
アリ・スミス(木原善彦訳)『春』
吉川英治『三国志(四)』

アリ・スミスの四季四部作、春に『春』を読むの、よいですね。
以前にみんなで同じ本を読んでおしゃべりする読書会を開いていたとき、課題図書で『秋』を読んだことがありました。
EU離脱に揺れるイギリスでの話だった『秋』が最初に発表されて、『冬』、『春』、そしてロックダウン下の人々を描いた『夏』で完結した四季四部作。
ブレグジット、考えてみたら3年前のことなのに、ずいぶん昔のことのように感じるね、あれからコロナがあって、戦争もあって、いろいろあったけどあまりいいことはなくて、世界はこれからどうなっていくんだろうね…というようなことを、読書の後でおしゃべりしました。

わたしは、ポール・オースター(柴田元幸訳)『サンセット・パーク』を初めての電子書籍で。
ひとりずつ、登場人物の話が増えていくにつれて、どんどん面白くなってきました。
そして電子書籍、想像していたより読みやすい。問題なく読書できています。

次の読むロバの会は3月30日(木)15時から。
それぞれ黙って本を読むだけの、読書時間と空間を共有する読書会です。
ご予約不要。参加費のかわりに1ドリンクのご注文か、500円以上の買い物をお願いしています。
どうぞ気軽にご参加くださいね。

2023.3.23

ちょっと前に書いたように、確定申告が終わったら電子書籍を読みまくるぞ!と考えていた計画を、一昨日から始動。

まず、何で読むか(端末)。
kindleの専用リーダーを使う気はないので、iPadか、スマートフォン?
スマートフォンは現在、iPhone miniを使っていて、この小ささで本を読む気にはなれないので大きいものに買い替えるか!?と一瞬考えたけれど、大きいものにしたところで本を読むには小さいし、大きい電話を持ち歩くのは嫌なので、iPadを買うことに決定。夫がiPad miniを使っていて、持ったサイズ感がわたしの手にもちょうどよさそうなので、iPad miniを購入することに。
夫に、なるべく早くなるべく安く入手できるものを探してもらい、PayPayフリマに出品の新品から、クーポンなどを使ってまあまあ安く買うことができた。しかも一昨日の午後に決めて買って、昨日の午前中に届いたよ!素早い出品者さんでよかった!

iPad、いろいろ設定しなくても自分のiPhoneと同期させてすぐに使えるようになるんですね、便利〜
さっそくAppからhontoの電子書籍リーダーをインストール。
kindleではなくhontoを選んだのは、Amazonよりhontoを応援したいから。kindleにしかない本をどうしても読みたくならない限り(そしてたぶん、そんなことにはならない)、kindleは使わないつもり。

まずは無料で読めるもの、ためし読みできるものをいくつか読んでみて、アプリがちゃんと動作すること、読めることがわかったので、記念すべき電子書籍1冊目を買ってみることに! とにかく、お金を出して自分で買って読んでみないことには、ね。
すぐに思い浮かぶ欲しい新刊の何冊かを検索したらまだ電子書籍化されていなかったので、紙の本で買いそびれていた、ポール・オースター著/柴田元幸訳『サンセット・パーク』(新潮社)を購入。hontoは登録すると電子書籍の50%(上限5,000円)OFFクーポンがもらえるのだけれど、ちょうど昨日今日限定の20%OFFクーポンも発行されていたので先にそっちを使って、なんと500円近く安く買えてしまった。すごいな。50%OFFクーポンはもうちょっと先まで使えるので、それまでに1万円分、買いたい本を選ぶたのしみもできた。1万円分の本が5,000円で買えるなんて、夢のよう!

そうして昨夜からさっそく読み始めた『サンセット・パーク』。
本の感想はひとまずおいといて、電子書籍初日の感想を。
・iPad miniを横長に持つとちょうど文庫本を開いているようなサイズ感で悪くない。
・開いたページを押さえておかなくてもいい、というのは思った以上にラクだった。手から離して置いてもページが閉じない!
・フォントは3種類から選択して変えることができ(いずれも代表的な読みやすいフォントであるところもよい)、フォントサイズも10段階くらいで変えられる。
・背景も白無地をはじめ、淡いクリーム系の色など計4色から選択して変えられる。さらに夜間モードがあって画面の眩しさを自動的におさえてくれる機能もある。眩しいのが苦手で、電子書籍を読もうと思ったとき一番気になっていたことだったので、これはよかった。

ほかに、縦組みを横組みに変えたりもできる。本に線を引いたり書き込みもできるようだけど、まだ使ってみていない。
「注」からリンクで飛べたり、目次から各章・各項に飛べたりもするみたい。

初日の感想だけで言うと…
思ってたよりも、いいみたい!
です。


読むロバの会の日

…ということをすっかり忘れていて、15時前に参加する人が来られて初めて「あ、そうだった!」と思い出した本日、でした。いかんいかん。

本日の参加者は2人、プラス、ギリギリ間に合わなくて読む時間がなかった人が1人。
それぞれに読んでいたのは…
山本善行撰『埴原一亟 古本小説集』
吉川英治『三国志(三)』
間に合わなかった人が購入だけしてくださったのは…
レアード・ハント(柴田元幸訳)『インディアナ、インディアナ』

『双調平家物語』を読んでいた人、続いて『三国志』を読み始めたそうです。
いまのところの感想は「ばかばっかり」とのこと。

わたしは、そういうわけですっかり忘れていたので読む本を用意しておらず、慌てて、もう随分前にともだちからすすめられていたパク・ソルメ(斎藤真理子訳)『もう死んでいる十二人の女たちと』を店の本棚から。
短篇集だったので、まずは表題作の「もう死んでいる十二人の女たちと」と「海満(へマン)」を読んでみたのですが…うわー、なんだこれ!? こんな小説、読んだことないぞ!びっくりー。すごいな、パク・ソルメ、そして斎藤真理子…という阿呆な言葉しかちょっと出てこないほど衝撃を受けて動揺している、今です。
読みます。

次回は、3月24日(金)15時から16時です。
読むロバの会は、それぞれに本を読むだけの、読書空間と読書時間を共有する読書会です。
ご参加は、ご予約不要、時間途中からの参加も途中でやめることも自由です。
参加費のかわりに、1ドリンクのご注文または500円以上のお買い物をお願いしています。
どなたもお気軽にどうぞ。

読むロバの会の日

でした。

参加者は2人。
それぞれに読んでおられたのは…
ポール・ラファージ(柴田元幸訳)『失踪者たちの画家』
ジョーン・R・R・マーティン(酒井昭伸訳)『ナイトフライヤー』

『失踪者たちの画家』は読み始めて小一時間のところまできても「どういう話なのかよくわからない!」とのこと。
ポール・ラファージ、おもしろい人みたいですけど、先へ読み進めるのがたのしみですね。

わたしは、藤原辰史『植物考』を。
藤原さんの本、ずっといろいろ気になってはいたのですが、読むのはこれが初めてです。
そもそも今日は、この本を読もうか、カレル・チャペックの『園芸家の一年』を読もうか、迷ってこちらにしたんですけど、読んでいたら早々に『園芸家の一年』が登場しました!つながってたのか〜。
そういえば去年の今頃は、エドゥアルド・コーンの『森は考える』を読んでいたし、春はそういう本を読みたい気持ちにさせるのかも、です、わたしの場合。

次の読むロバの会は、3月12日(日)15時から16時ごろまでやります。
読むロバの会は、各自で読みたい本を黙ってただ読む、読書空間と読書時間を共有する読書会です。
お互いにどんな本を読んでいるのか、見せあうくらいはしますが、発言を求めたり戦ったりはしません。
途中参加・退出もOKですので、ご都合のついた時間だけ、10分でも本を読んでいってください。ご予約も不要です。
参加費のかわりに1ドリンクのご注文か500円以上のお買い物をお願いしています。
お気軽にどうぞ。

読むロバの会の日

でした。

参加者は2人。
それぞれに読んでいたのは…
スコット・フィッツジェラルド(村上春樹訳)『グレート・ギャツビー』
劉慈欣(大森望、光吉さくら、ワン・チャイ訳)『三体0 球状閃電』

どちらも相当におもしろいようで、それぞれ集中してぐんぐん読んでおられました。

わたしは、山本善行撰『埴原一亟 古本小説集』を。
先日演奏に来られたふちがみとふなとさんが、この本はおもしろい!と(はちみつと交換で)くださったもの。
ほんと、おもしろいです!読み始めたらあっという間にその時代(大正から昭和初期)の空気に包まれてしまいました。タイムスリップして、読んでいるのだけれどなんだかぼんやりしています。いい感じ〜。

3月も週1くらいで開く予定です。
日程が決まったらまたお知らせします。
曜日や時間のリクエストがあったら遠慮なくしてくださいね。

2023.2.22

骨折した足首がギプスからサポーターになり、まだ松葉杖の補助付きながらも両足揃った靴をはいて地面に足をつけられるようになったので、2ヶ月ぶりに外食したり買い物に出かけたりして、気分も軽快になった。

いまは確定申告の準備に追われているけれど、これが終わったら……と今年のビジョンをあれこれ考えてみる余裕もある。やりたいこと、とりかかりたいこと、山盛り!

出版は、今年はヒマールからの刊行物はない予定。
リクオさんの『流さない言葉②』の企画を進めつつ、新刊を予定しているこぶな書店のサポートをしていくが、それと並行してとりかかりたいと考えていることがある。
それは、既刊の「電子書籍化」と「音訳化」。
電子書籍は、これまで個人的には受け入れられず、漫画本は購入したことがあるけれど(紙の本が絶版で買えなかったので仕方なく)、積極的に読みたいと思ったことは一度もなかった。なのに、なぜ自社本の電子書籍化を考え始めたのかというと、音訳化と理由は同じなのだが、昨年、思いがけず目に問題がみつかって(治療中ですが安定していますのでご心配なく)、一瞬、本が読めなくなったらどうしよう!?と思う出来事があったのがきっかけ。電子書籍は文字を拡大でき、読みやすい(見えやすい)書体に変えたり、あるいは縦書きの文章が読みづらいという障害がある人がいて横書きに変えれば読める、といった話を聞いたりして、紙の書籍にこだわることは非障害者の視点だったのだな、と気づかされた。
もちろん、装丁も含め一冊の本として、紙で届ける意義がある作品もたくさんある。同時に、紙であれ電子であれ、ひとりでも多くの人に読んでもらえるほうがよい内容の作品もたくさんある。
紙の値段が高騰していることも、電子書籍化にとりかかる理由としてあげられる。紙はどんどん貴重品になっていく。大事にしたい気持ちもある。
すべて電子書籍化、というのではなくて、作品によって「電子書籍もあり」はありかも、と考えられるようになった。そして、紙で出版する本は長く愛読されるものを、ずっと持っていたいと思ってもらえるものをつくることを、今まで以上に考えてつくっていきたい。

そういうわけで、確定申告が終わったら、電子書籍で本を読みまくろうと思っている。まずは自分で読んでみるところから。まだその段階です(苦笑)。

2023.2.21

別々のともだちが出演するラジオドラマがたまたま同じ時期に放送されて、聴いてみた。

ストーリーは違うけれど、どちらも「好きなことをして生きていきたい」「自分がほんとうにやりたいことはなんだろう?」という同じテーマがあるように感じられた。

わたしは好きなことをして……というか正確に言うと、嫌なことは積極的にやめて生きてきて現在に至り、やりたいことをやっている、と思っている。
類は友を呼ぶのかもしれないけれども、あらためて考えてみると、まわりのともだちもほとんどが好きなこと、やりたいことをやっている人たちだ、と思う。
なので、正直言うと、どちらのラジオドラマもわたしの胸には響かなかったのだけれど(作品がよくなかったというわけではなくて、言われるまでもないという意味で)、こうしたテーマの作品が同時期に同じラジオ局(だったんです)で2本も制作されているということは、こういう内容が胸に響く人たちがたくさんいる、つまり、好きなことをやれず、どうしたらいいのかわからず、なんか違う、辛い、と思いながら毎日を過ごしている人たちが大勢いる、ということなんだな……と感じて、けっこうせつない気持ちになった。

ラジオドラマが聴いた人たちの力になったらいいな。