読むロバの会」カテゴリーアーカイブ

読むロバの会の日

でした。
参加者は3名。

それぞれに読んでおられたのは…
『どこか、安心できる場所で 新しいイタリアの文学』
ハインリヒ・フォン・クライスト(北岡武司訳)『嘘とまこと』
ミヒャエル・エンデ(田村都志夫訳)『自由の牢獄』

『どこか、安心できる場所で 新しいイタリアの文学』は、前回から続いて。複数の作家の短篇作品がおさめられた一冊の中から今日は、ヘレナ・ヤネチェクの「恋するトリエステ」を読んだそうです。「タイトルから想像していたのとは違って、実在する人物の話で、イタリアがファシズムに覆われる時代のシリアスな話だった。おもしろかったけど」とのこと。

『嘘とまこと』と『自由の牢獄』を読んでおられたおふたりは久しぶりのご参加。それぞれに「読むロバの会では小説を読んだほうがいいんじゃないか」と思われて(小説じゃなくてもいいんですよ!)、ご自宅にある“積ん読”の中から選んで来られたのだそう。
『嘘とまこと』におさめられた「決闘」を読んだ方は、「人工的に複雑にされた感じがして、ねっとりしていて……やっぱりわたしは、この時代のドイツ文学は嫌いでした」と再確認される読書になったようす。
『自由の牢獄』におさめられた「夢世界の旅人マックス・ムトの物語」を読んだ方は、「しばらく、読書会の課題図書とか目的のある読書しかしていなくて、久しぶりにぼんやりしながら読書をした」と話しておられて、その“目的のない読書”と、物語の最後でマックス・ムトが「目的地に到達したものをうらやまない。私は旅が好きだ。」と言っていることとがリンクしていて、ああ、いいなあと思わされました。

今日はそれぞれに読んでいた本のあらすじを詳しく紹介しあって、読んだあとのおしゃべりの時間もたっぷり。たのしかったです。

わたしは、チョン・ミョングァン(斎藤真理子訳)『鯨』を。国際ブッカー賞の最終候補になったことをニュースで知って読もうと思いながら、なかなか読めていなかった作品。かなり分厚い一冊。今日はそのはじめのごく一部しか読めませんでしたが、娘と母と祖母、それぞれの、かなり激しく壮絶な人生を描いた大きな物語のようです。おもしろいことはおもしろいのですが……ちょっと好みじゃないというか(たのしめる人はいると思います!韓国でも大ベストセラーだったそうですし!)……ほかに読みたい本もたくさんあるので、これは一旦置いておこうかな、と思っています。

さて、次の読むロバの会は、10月27日(金)15時から16時ごろまでやります。
今週末から来週末まで「伊東製靴店の受注会」があり、そのあいだはお休みするのでちょっと先になります。
読書の秋、いっしょにたくさん読みましょう!

読むロバの会の日

でした。
参加者は2名。

それぞれに読んでおられたのは…
『どこか、安心できる場所で 新しいイタリアの文学』
イ・ジョンチョル(印イェニ訳)『カデギ 物流倉庫でミックスコーヒーをがぶ飲みしながら働いた話』

『どこか、安心できる場所で』は、わりと最近のイタリアの文学作品を集めた短編集。13人の作家のうち11人が、この本で日本初紹介となるそうです。現代イタリア文学、と聞くと、わたしはイタロ・カルヴィーノくらいしかすぐに思いつかず、難解というかちょっと苦手なイメージを持っていますが、カルヴィーノはすでに前世紀の作家!?……ということで、新しいイタリアの文学、気になりました。

『カデギ』は、韓国のコミック。サブタイトルでなんとなく内容が想像できますが、感想を聞いてみたところ、「たいへんです…」と一言だけ。漫画家を目指しながら生計を立てるためにアルバイトしていた、作者の体験をもとに描かれた作品のようです。

わたしは、読書会の時間が始まってすぐ、ちいさいおともだちが店に遊びに来てくれたので読めず、でした。今日読むつもりだった本は、また次回に読もうと思います。

さて、次の読むロバの会は10月12日(木)15時から16時ごろまでやります。
どうぞお気軽にご参加くださいね。

読むロバの会の日

でした。
参加者は2名。

それぞれに読んでおられたのは…
スティーグ・ラーソン(ヘレンハルメ美穂、岩澤雅利訳)『ミレニアム3』
TAJIRI『少年とリング屋』

『ミレニアム3』は、スウェーデンの大ベストセラー小説。ダークサスペンスのシリーズ作品で、映画化もされています。映画はスウェーデン版とハリウッドリメイク版があって、確かハリウッド版の1作目が「ドラゴン・タトゥーの女」だったかな。映画もおもしろいけど、小説もおもしろいそうですよ。

『少年とリング屋』は、プロレスラーTAJIRIの作家デビュー作品。プロレスラーが書いたプロレスの小説ということであまり期待せずに(!?)読み始めたそうですが、予想外の展開が繰り広げられていて、「文章もうまいし、おもしろい!TAJIRIというレスラーのトリックスターぶりを、小説の世界でもいかんなく発揮している」とのこと。

わたしは、エリカ・チェノウェス(小林綾子訳)『市民的抵抗』を。なんだかなあと思うことが続いているので、なんとかできないものだろうかと、希望を見出したくて手にしてみました。これはなかなか勉強になるぞ!ははーん、なるほどねー、と思いながら読んでいます。

次の読むロバの会は、10月7日(土)15時から16時ごろまでやります。
ご都合つく方、どうぞお気軽にご参加ください。

読むロバの会の日

でした。
参加者は2名。

それぞれに読んでおられたのは…
村上春樹『街とその不確かな壁』
イ・グミ(神谷丹路訳)『そこに私が行ってもいいですか?』
おふたりとも、前回(日曜)の続き、でした。

わたしは、前回読んでいた『終わりのない日々』を一旦置いて、これまた一気読みしたい気持ちを抑えながらちょっとずつ、大事に読んでいるチョン・セラン(斎藤真理子訳)『シソンから、』を。登場人物が多いので、ちょっと間があくと「この人、誰だっけ?」と思って巻頭の家系図で確認することもあるのですが、読み始めたらすぐに、すっとこのお話の世界に入っていける、やっぱりおもしろい〜!と、そのたびに思います。すでにこの本を読了しておられる参加者と、「シソンが生きているように感じられるよね」「歴史的なできごとが、それを描いている小説ではないのに、シソンと家族の人々の日常にちゃんと当たり前に登場してくるのがすごいよね」というようなおしゃべりをしました。ああ、チョン・セランさんの作品て、なんでこんなにおもしろいのでしょうか!

さて、次の読むロバの会は、9月27日(水)15時から16時ごろまでやります。
どうぞお気軽にご参加くださいね。

読むロバの会の日

でした。
参加者は2名。

それぞれに読んでおられたのは……
村上春樹『街とその不確かな壁』
イ・グミ(神谷丹路訳)『そこに私が行ってもいいですか?』

『街とその不確かな壁』、かなり分厚い長編。友達とオンラインで話している読書会の、次の課題図書なのだそうです。まだ読み始めたばかり、とのこと。がんばれー。
「最近は、村上春樹自身の小説よりも、村上春樹が翻訳した小説のほうが、文章がいいなあ、と思うことが多いんだけど、なんでなんだろう」ということをちょっとおしゃべりしました。

『そこに私が行ってもいいですか?』は前回に続き。「いよいよ辛くなってきた」とのこと。わたしは読了しているので、その先を言いそうになる口をおさえて「引き続きおたのしみください」と一言だけ。

わたしは、セバスチャン・バリー(木原善彦訳)『終わりのない日々』を。読みたかったけど大事にとっておいた一冊です。「この人が翻訳した作品は読む」と決めている翻訳家が何人かいて、木原さんもそのおひとり。まだ読み始めですが、やっぱり素晴らしい作品の予感がしています。辛いけど…。インディアンの戦士が潜んでいて襲ってくる、と聞かされ、燃える小屋の煙で目が痛くなりながら銃剣で刺しまくり、自分自身が興奮していることに驚き、落ち着いてから周りを見てみると倒れているのは女と子供ばかりだった……というところで、先日見た映画『福田村事件』をまた思い出してしまいました。

さて、次の読むロバの会は、9月21日(木)15時から16時ごろまでやります。
読みたい本を持って(店頭で購入も大歓迎!)、どうぞお気軽にいらしてくださいね。

読むロバの会の日

でした。
参加者は2人。
それぞれに読んでおられたのは…
『柴田元幸翻訳叢書 アメリカン・マスターピース 準古典篇』
イ・グミ(神谷丹路訳)『そこに私が行ってもいいですか?』

『アメリカン・マスターピース 準古典篇』は、ヘミングウェイ、フォークナーら巨匠によるアメリカ文学の定番から、本邦初訳作まで、20世紀前半に執筆・発表された名作中の名作短篇12篇がおさめられた一冊。もちろんすべて柴田元幸さんの訳。
イーディス・ウォートンの「ローマ熱」がめちゃくちゃおもしろい!そうですよ。女性ふたりの会話のやりとりで展開していくサスペンスなのだそう。

『そこに私が行ってもいいですか?』は、読み始めたばかりだけどおもしろそう、とのこと。
じつはこの本、昨年のK-BOOKフェスティバルの「本屋が特に推したい一冊」の動画リレーで、わたくしが推しておりますー。よかったら見てみてください。

わたしは、朱喜哲『〈公正(フェアネス)〉を乗りこなす 正義の反対は別の正義か』を。まだ2章まで。著者は言語哲学を専門とする研究者。「正義」や「公正」といったちょっと使いづらい?ややこしい?難しい?いわゆる「正しい言葉」について、その言葉の「ほんとうの意味」を理解しなくても、見よう見まねで「正しい使い方」を体得することはできる、それは自転車の乗り方を説明した文章を理解しなくても、実際に自転車に乗ることができるのと似ている…というようなことが最初に書いてあって、なるほどなーと思いました。
先日、リクオさんと中川敬さんと、ライブのあとでなぜか「正義」という言葉の話になって、その後もちょっと気になっていて、そんなときにこの本に出会ったのでした。そういうものですよねー。

さて、次の読むロバの会は、9月17日(日)15時から16時くらいまでやります。
どうぞお気軽にご参加くださいね。

読むロバの会の日

でした。
参加者は3名。

それぞれに読んでおられたのは…
(ま)&アサノタカオ『「知らない」からはじまるーー10代の娘に聞く韓国文学のこと』
福井栄一『本草奇説 もの言わぬ植物たちも夢を見る』
諸星大二郎『海神記(上)』

『「知らない」からはじまるーー10代の娘に聞く韓国文学のこと』は、きょう店頭で選んで参加してくださいました。
「韓国文学をよく知らないので知りたいと思ったのもあるけど、親子の対話を読んでみたいなと思って」とのこと。

『本草奇説 もの言わぬ植物たちも夢を見る』は、植物(草花、野菜など)についての説明のあとに、その植物が登場する竹取物語や古事記などの物語を抜粋して編まれた一冊。
著者は上方文化評論家とのことで、「植物学者や古典文学研究者ではないからこそつくれたアンソロジーかも」と。「工作舎の本、おもしろい」そうです。

『海神記(上)』は、古代を舞台にした漫画。再読だそうです。下巻で未完になっているそうですが、続きは描かれる予定がないのかな?「続きを読みたい気もするけど、これで終わってもいいような気もする」とのこと。

わたしは、イ・ジヘ(尹怡景訳)『差別はたいてい悪意のない人がする 見えない排除に気づくための10章』を。
多文化と差別などを研究する著者が、学術的な調査や分析を基に、自身の体験などもまじえながら書いた一冊。
きょう読んだ冒頭では、マジョリティには「見えない」さまざまな差別について、持っていることが当たり前すぎて気づいていない「特権」について、とてもわかりやすく、読みやすく書かれていました。わかっていると思っていたけど、はっとさせられることも。
読まなくてもいい、と思っている人ほど、読んだほうがいいかもしれないです。

さて、次の読むロバの会は、9月9日(土)15時から16時ごろまで開きます。
週末がお休みの方、本を片手に(店での購入も大歓迎!)気軽にお集まりください。

読むロバの会の日

でした。
参加者は2名。

それぞれに読んでおられたのは…
ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザ(木下眞穂訳)『過去を売る男』
岸本佐知子『ねにもつタイプ』

『過去を売る男』はアンゴラの小説。「なにかがどうかなるような話ではないけど、おもしろい」とのこと。

『ねにもつタイプ』は翻訳家によるエッセイ。「ちょっと軽いものが読みたいなと思って、選んでみた」そうです。

わたしは、バーナード・ゴットフリード(柴田元幸・広岡杏子訳)『アントンが飛ばした鳩』を。ポーランドに生まれたユダヤ人で、強制収容所を生き延びてアメリカで写真家となった著者による記録文学。
読み始めたばかりで、きょうの1時間では、戦争の影がうっすらと感じられるものの、わりとのんびりした、おかしくて笑ってしまったり、懐かしさを覚えたりする子供時代のエピソードが連作短編のように続いている。小説を読んでいるような気がした。
60年も経ってから子供の頃のことをこんなふうに書けるなんて、すごい記憶力と感性の持ち主だな、と驚きながら読んでいます。

さて、次の読むロバの会は、8月31日(木)15時から16時ごろまでやります。
どうぞお気軽にご参加ください。

読むロバの会の日

でした。
今日も暑い暑い!
参加者は2名。

それぞれに読んでおられたのは…
アリ・スミス(木原善彦訳)『夏』
イ・ジン(岡裕美訳)『ギター・ブギー・シャッフル』

『夏』は、アリ・スミスの四季四部作、完結となる作品。「8月になったからもう読んでもいいだろうと思って!」と夏を待ちわびていよいよページを開かれました。いいですね!アリ・スミス作品らしく「とてもテンポよく進んでいっている」とのこと。

『ギター・ブギー・シャッフル』は先週読み始めた続き。「思ったような展開になってきている」そうです。

わたしは、ともだちに借りた甘耀明(白水紀子訳)『冬将軍が来た夏』を。甘耀明の本を読むのは、前に同じともだちに借りた短編集『神秘列車』に続いて2冊目。帯文だけ読んだら、たぶんわたしはまだ手にとっていないだろうと思う。甘耀明の、このリズム!このトーン!変拍子と言ったらよいのか!?なんなんだ!?この人の書く小説は!こんなふうにあっちやこっちに振り回されながら、でもずっと連れていかれる小説には出会ったことがないよ。全然説明できないので、気になった人は読んで!帯文は読まずに、本文読んで!

さて、次の読むロバの会は、19日(土)15時から16時ごろまでやります。
来週はライブの準備で店内がいろいろ移動するので読書会はお休みで、2週間ちょっとあきますけど、お盆休みがある人も多いと思うので、読んだ本、よかったらコメント欄にアップしていってください。なかなか読書会に参加できない、家で参加してる、という人も、コメント欄に自由に書き込みしてくださいね。遠慮なくー。

読むロバの会の日

でした。
参加者は4名。
最高気温36度の猛烈な暑さの中、ご参加ありがとうございました!

それぞれに読んでおられたのは…
郡司ペギオ幸夫『やってくる』
萩原浩『金魚姫』
イ・ジン(岡裕美訳)『ギター・ブギー・シャッフル』
中島敦(山本善行撰)『かめれおん日記』

『やってくる』は、医学書院の「シリーズ ケアをひらく」の一冊。医療関係の本が多い出版社ですが、これはちょっと哲学書のような感じなのだそうです。タイトルと表紙の印象から「怪談本かと思いました」とお伝えしたら、「それは、外れてもいないと思う」とのこと。

『金魚姫』は、金魚すくいで持ち帰った金魚が女性になる!という物語。これぞ怪談本!?
「映画化されてませんでしたっけ?」とおっしゃる方がおられましたが、いま調べてみたところドラマ化されてました、NHKで。

『ギター・ブギー・シャッフル』は音楽と青春を描いた物語で、すいすい読みやすい、とのこと。

『かめれおん日記』は、灯光舎の「本のともしび」シリーズの一冊。「読んだことのある作品だったけど、灯光舎さんのこのシリーズが好きなので、この本で読みたくて」と再読。

わたしは、ハン・ガン(井出俊作訳)『少年が来る』を。1時間で一章を読み終わり、二章にかかったところで、ああ、この章は前回のK-BOOKフェスティバルで、女優の安藤玉恵さんが朗読されたところだ、と気づき、一章で「君」が探していたチョンデが二章の「僕」、ここにいたんだね…と。
なかなか、苦しくて読み通せずにいた本ですが、今回は最後まで読みます。

さて、次の読むロバの会は8月2日(水)15:00〜16:00に開きます。
ご予約不要です。どうぞお気軽にご参加ください。
曜日や時間帯のリクエストも、ありましたら遠慮なくどうぞ。