こちらは「読むロバの会(オンライン読書会)」の会場です。
日々のブログの更新は、ひとつ下の投稿から始まります。
読んで書く、文章に親しみ愉しむ読書会です。
本を読んで感じたこと、考えたこと、それを言葉に、ましてや文章にするのはなかなか難しいかもしれませんが、どうぞ気軽に書いてみてください。
11月の「読むロバの会(オンライン読書会)」
テーマは……
「K-BOOK(韓国の本)」
ヒマールは、今月開催の「K-BOOKフェスティバル」参加書店。
全国30店のポップアップストアの1店として、さまざまな韓国の本を店頭に並べています。
11/16(火)〜21(日)の6日間は、オンラインでさまざまなイベント(イ・ランさんのライブ&トーク、小泉今日子さんの朗読&トーク、キム・ヨンスさん✕星野智幸さんの対談など)も開催されます。
11月末までの1ヶ月間、上記のテーマで選んだ本について、このブログのコメント欄に書いていってください。
過去に読んだ本から選び、オススメ紹介文を書いてもよし。
テーマをもとに自分自身の今月の一冊を選んで、読んだ感想などを綴ってもよし。
匿名でもOK。
何度書いてもOK。
誰かのコメントに返信してもOK。
書き方は自由です。
ヒマール店頭でも、今月のテーマで本をセレクトして並べますので、よかったらチェックしにいらしてください。
ご参加をお待ちしています!
2021年10月の読むロバの会「テーマ:酒」はこちら!
2021年9月の読むロバの会「テーマ:老い」はこちら!
2021年8月の読むロバの会「テーマ:戦争と平和」はこちら!
2021年7月の読むロバの会「テーマ:夏」はこちら!
2021年6月の読むロバの会「テーマ:ともだち」はこちら!
2021年5月の読むロバの会「テーマ:仕事」はこちら!
2021年4月の読むロバの会「テーマ;自然/nature」はこちら!
2021年3月の読むロバの会「とにかくうちに帰ります」はこちら!
2021年2月の読むロバの会「広場」はこちら!
2021年1月の読むロバの会 「わたしたちが光の速さで進めないなら」はこちら!
2020年12月の読むロバの会 「今年おすすめの一冊!」はこちら!
2020年11月の読むロバの会 課題図書「地下鉄道」はこちら!
「読むロバの会」がオンライン開催になったいきさつはこちら!
「増補版 沸点」
チェ・ギュソク著/加藤直樹、クォン・ヨンソク 訳(ころから刊)
1987年の民主化を成し遂げた、韓国の一人ひとりの群像劇を描いた韓流コミックです。
現在、韓国での大規模なデモなどの報道を見たときに、そこまで熱くなれる人がこんなに多いのは国民性なのか何なのか、何が日本と違うのか、とふしぎに思っていましたが、このコミックを読んで、ああ、そうか、独裁政権下で長く続いた酷い社会から自分たちの手で民主化を成し遂げた、その記憶と実体験がそれぞれに鮮明に残っている国民が多いのだから、それはそうなるよな、とあらためて納得したのでした。
そうした記憶を忘れないように、30代以下の人たちにも伝えていこうと、このようなコミックや文学や映画作品などが発表され続けているのは素晴らしいことだと思います。
「ワンダーボーイ」キム・ヨンス著/きむ ふな訳(CUON刊)
「1980年代、軍事独裁政権化の韓国。超能力を得た少年の目に映ったものはーー」という帯文をちらっと読んで、「ワンダーボーイ」というタイトルから、SFだと思い込んで読み始めました。が、どうも違ったようです(たぶん)。
父親と軽トラックに乗っていて交通事故に遭い、奇跡的に一命をとりとめた少年。昏睡状態から目覚めると、人の心がよめるようになっていて、やがてその能力を軍に利用されるようになります。読んでいて一番辛かったのは、取り調べで拷問されている人の心をよまされるシーン。
少年は拘束されていた軍の施設から逃げ出し、助けを得て、田舎で暮らし始めます。成長するにつれてその特殊能力を失っていき、ふたたびソウルへ戻ってくるのですが……。
読後すぐは、この本をどう捉えたらいいのか、ちょっとわからなくて。まだ消化できないというか混乱しているような気分ですが。
少年の成長の物語、他者への理解と愛の物語、かな。
希望が感じられて、読後感は悪くなかったです。
初めてのキム・ヨンス作品でした。
キム・ヨンスは今年のK-BOOKフェスティバルの特集作家、ということで読んでみました。
ほかの作品も読んでみたいです。
クオンのカタログに掲載されている「韓国文学の読書トーク『ワンダーボーイ』編」がwebで公開されました。
https://note.com/cuon_cuon/n/ne9528e7cba89
キム・ジュンヒョク『楽器たちの図書館』波田野節子・吉原育子訳(クオン、2011)
作家は冒頭で「この短編集は僕からみなさんに贈る録音テープです。テープには全部で八曲の歌が録音されています」と記しています。音楽や音をめぐる短編を集めた本書は、確かに、46分のカセットテープを聴くように読むことができます。
どの短編も一人称「僕」で語られるせいか、それとも彼らがみな、都会の隙間で風変わりな職業に就き、奇妙な体験(ファンタジーとまではいかない、ほんの少しだけ現実離れした体験)をするせいか――1980年代の(『カンガルー日和』から『パン屋再襲撃』あたりの)村上春樹の短編に近い印象を受けました。風通しのよさと、節度と諦念。じっさい、本書には佐々木マキや安西水丸の装幀がしっくりきそうなのです。
この本、まだ読めていないのですが、クオンの、この「新しい韓国の文学シリーズ」はカバーのデザインが素敵で(とくに、色がきれいで好み)、どれも読んでみたくなります。「ワンダーボーイ」もこのシリーズ。
でもこの本は、佐々木マキや安西水丸、なのですね。大久保さんのそのコメントから想像。「風通しのよさと、節度と諦念。」なるほどー、興味深いです。
パク・ソルメ『出会ってみたら、わかると思うよ』(斎藤真理子訳、2021年)
すばる10月号に掲載された短篇です。
文体が独特で、だけど難解でよみにくいわけではなくて、むしろひとつひとつの
文章は語りかけているような親しみやすさに包まれているので、ついうっかり
わかったような気になってすいすい読みすすめてしまうのだけど、読み終わると
何か大事なものの前をただ通り過ぎてしまったようで、また引き返して読み返す、
という小説でした。
読み返すたびに触れる、ものや場所がかわっていくのが楽しい、こういう読書体験は
ひさしぶりに味わった気がします。
鼻水から始まり、鼻から目に上がって、ソウォンがあらわれ、顔を上げると「米」
という名の天使が涙と鼻水を拭いてくれる、という書き出しからして、いったい
どんな話が始まるんだろう、というか、まずこの書き出しだけでも3回は読み返しました。
パク・ソルメは、2019年の文藝秋号に掲載された『水泳する人』もおもしろく読んだので、
この春に白水社から刊行された単行本『もう死んでいる十二人の女たちと』も、期待して
かかりたいと思います。
パク・ミンギュ『三美スーパースターズ 最後のファンクラブ』斎藤真理子訳、晶文社、2017。
1982年春、韓国にプロ野球が誕生し、国中が新しいスポーツに熱狂した。仁川の中学に入ったばかりの「僕」も、地元にできたチーム「三美スーパースターズ」の熱狂的なファンになる。しかし、ペナントレースが始まってみると三美スーパースターズはめちゃくちゃに弱く、一緒にファンクラブに入った同級生たちも次々と離れていく。とうとう「僕」とチョ・ソンフンの二人だけが残り、ダントツで最下位のチーム(前半は10勝30敗、後半は5勝35敗)を応援しつづける。結局、チームは3年半で身売りすることに。すでに高校生になっていた「僕」とソンフンは、スーパースターズ最後の試合を見に行く――。
フィリップ・ロスの『素晴らしいアメリカ野球』や高橋源一郎の『優雅で感傷的な日本野球』のように、野球の魅力を物語りながら、同時に歴史や社会を浮かび上がらせる小説。しかしなんといっても、弱小チームを必死で応援する少年の日々を弾む文章で描いた第1章が、だんぜん素晴らしいのです。
例えば、次のような一節。
「野球が好きな人は誰しも、自分だけの選手とチームを持っている。六〇年間野球を愛し続けてきた老人にとっても、昨日の夜野球に目覚めた中学生にとってもそれは同じだ。大統領や国会議員を選ぶときとは違い、少なくとも野球においては『どこも似たようなもんだろ』とか、『どうせみんな泥棒だろ』みたいな態度は成立しないから。野球に特に関心がない人でも、試合をずっと見ていればいつのまにか、誰かを応援したりどっちかのチームの健闘を期待している自分に気づく。野球ってそういうものなのだ。
こんなことを言うと、もしあなたが政治家なら絶対、強い反感を持つだろう。あなたは言うだろう、『じゃあ、大統領や国会議員が野球選手より劣るってことか?』と。もちろんだ。史上いかなる大統領も国会議員も、野球選手より偉大だったことはない。いや、はなから偉くなれるはずがないんだ。政治と違って野球には、原則もあればルールも存在するんだから。
だから人々は政治より野球を愛する。」
この本、読みかけてやめたままになっています。
わたしが、野球にほぼ興味がないからか!?と思ったのですが、どうでしょうか?
大久保さんは野球好きですか?
ちせさんはこの本、読んだことがあるのだったよね?
野球が好きなほうがおもしろく読めるのかな。
『三美スーパースターズ……』は、少年時代の「特別な3年半」を勢いのある文体で描いた第1部がよかったです。第2部、第3部と進むにつれて、期待したのとは違う展開になってしまいましたが……。(野球はたまに見るくらい。)
キム・オンス『設計者』オ・スンヨン訳(クオン、2013)
今月末までには読み終わらなそうなので、まだ途中ですが感想を。主人公レセンは、図書館で育ち、「書見台」と「スタンド」という名前のシャム猫を飼っている暗殺者。『ジョン・ウィック』シリーズを小川洋子がノベライズしたらこうなるかも、という不思議なタッチの殺し屋小説です。今のところ楽しく読んでいます。
わたしのように、自分の中に野球チーム(弱)をもつとはどういうことか、
ということを常に意識して暮らしているものにとっては、どまんなかの
ストレート、大好きな小説だけど、野球好きもいろいろなのでどうかな。
それより、この小説自体が好みの分かれるタイプなのではないかと思う。
パク・ミンギュの他の作品をおもしろく読むことができたら、もう一回
チャレンジしてみて。
パク・ミンギュの「ピンポン」も読みかけてやめてしまったので、わたしにはいま読む本ではないのかもしれないね。時間を置いてまた読んでみます。
キム・グミ『あまりにも真夏の恋愛』(すんみ訳、晶文社 2018年)
晶文社の「韓国文学のオクリモノ」シリーズの装幀も好きです。
つい触りたくなる。
ひとに選書してもらって入手した本。自分の意志ではたぶん手に
取ることもなかったと思うので、まずは出会えてよかった。
9作品が収められた短編集。
どの作品も、失ったり追いつめられたり、この話この先どうなっちゃう
んだろうと不安で息が詰まるようで、読んでいて苦しくなる。
はっきりした結末も答えも救いもないまま、話は終わる。
それでも、何々と確かな言葉では言えないけど、伝わってくるものは
全然わるいものではないし、とにかく何かたくさんのものが伝わって
くるのを感じる。
何が伝わってきてるんだろうな。
いい話はひとつもないんだけど、何度も読んでしまう一冊です。
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