本づくり 2021年2月その1

立春大吉。

ヒートウェイヴ・山口洋さんの本、今年になって初めて、チーム全員でオンライン・ミーティングをしました。
メンバーは、著者の山口さん、編集チームの村崎さんと圓城寺さん、デザイン担当&版元のヒマールふたりの、計5人です。

現在、webに連載されていた部分の原稿は、「初校」という段階まで作業が進みました。
初校というのは、実際に印刷するように文字を組んだり写真をレイアウトしたりして校正するための校正紙=ゲラの、初回のことです。
本づくりと関わりのない方はほとんど目にする機会もないと思いますので、写真でチラッとご覧いただきましょう。

お気づきでしょうか?
本文を、2段で組もうと思っています。
2段組み、馴染みがない人も多いと思うのですが、そうしようと思ったのには理由があります。ページ数を抑えたい、元がweb用に書かれた原稿ということで改行や1行空きが多めなので1行の文字数を短くしたい、つまりは1ページになるべく多く文字を入れたいけれど読みやすくもしたい、ということです。
(お気づきでしょうか? そう考えて2段組みにしても、すでに連載部分だけで300ページ超、です。)

きょうのミーティングでは、事前にこの初校ゲラをデザイン担当のヒマールからみなさんに郵送して、それぞれがざっと目を通したうえで気づいた意見を出し合いました。
結果、2段組みで、いきますよ!

もう完成なのでは!?と思われたかもしれませんが、いやいや、ま〜だまだ!
このあと、著者は著者の目で、編集チームは編集の目で、あらためてゲラをじっくり読んでチェックして、修正・追加・校正をゲラに書き込んでいき、それをふたたびデザイン担当へ戻してもらって、こんどは「再校」をつくります。
初校戻しの内容次第では、文字が増えたり減ったりしてページまで変わってくる可能性もあります。今回の本は写真ページもたくさんあって、その写真が左ページにくるのか右ページにくるのかでデザインの仕方が変わってくるので、そのあたりのデザインの詰めは再校で、ということになるわけです。
ちなみに、ゲラとは別に、本の全体を見渡しながら考えるために「台割」というものもつくってあります。本の設計図、みたいなものかな。こんな感じです。

そうだ!大事なことをお伝えし忘れるところでした!!
本のタイトルが決まりました!
……と言っておきながら、まだ発表しないんですけど……ごめんなさい〜。
いろいろ整ったら、そのタイトルが決まるまでの流れも含めて、またお話させてもらいますので、予想しながら、たのしみに待っていていただけたら幸いです。

タイトルは、メールでやりとりして決まりました。
それぞれに離れたところにいるチームのメンバー、ふだんはメールや電話や郵便でやりとりをしています。そのほうが捗る作業というのももちろんあるのですが、お互いの顔を見て話しているうちにひらめくことや見えてくるものって、やっぱりあるなあ、と。あらためて、本ってチームでつくるものだなあ、と。たとえオンラインでも実感したきょうのミーティングでした。

本づくりの経過、たのしんでいただけたら嬉しいです。
また書きます!

2月の読むロバの会(オンライン読書会)開催中!

こちらは「読むロバの会(オンライン読書会)」の会場です。
日々のブログの更新は、ひとつ下の投稿から始まります。

2月の「読むロバの会(オンライン読書会)」
課題図書は……
広場
崔仁勲(チェ・イヌン)著/吉川凪訳
CUON(クオン)刊

1月に初めて韓国文学を課題図書にして、「いま」の韓国文学からSF作品を読みましたので、続いて「20世紀の名作」といわれるロングセラー小説を読んでみましょう。

2月末までの1ヶ月間、上記の課題図書を読んだ感想を、このブログのコメント欄に書いていってください。

匿名でもOK。
何度書いてもOK。
誰かのコメントに返信してもOK。
書き方は自由です。

ご参加をお待ちしています!

2021年1月の読むロバの会 「わたしたちが光の速さで進めないなら」はこちら
2020年12月の読むロバの会 「今年おすすめの一冊!」はこちら
2020年11月の読むロバの会 課題図書「地下鉄道」はこちら

「読むロバの会」がオンライン開催になったいきさつはこちら

アイルランドからの配信(追記あり)

ちょっと前に「配信はライヴの代わりにはなれない」と書いたばかりですが、状況がどうであろうとなかなか観に行くことが難しい海外のフェスなどが配信で行われるのは、これはもう、遠く離れたところにいるわたしたちにとってはとてもありがたいというか、たいへんなことが多い中にも愉しいことがあった!という感じで、とても嬉しい。

ヒマールの初出版「NEVER TIRE OF THE ROAD/旅に倦むことなし アンディ・アーヴァインうたの世界」(柴田元幸訳)のアンディさんのライヴが数日前に配信されたことを知り、昨夜さっそく愉しみました!
アイルランドの南部の街・コークで収録されたもののよう。
YouTubeで観られます。配信の期限などは書かれていないようですが、ぜひ早めにチェックを!

「旅に倦むことなし」を読みながら聴けるのは、「THE SPIRIT OF MOTHER JONES/マザー・ジョーンズの霊」「FAREWELL TO KELLSWATER/さらばケルズウォーター」「PRINCE AMONG MEN/男の中の男」の3曲です。お愉しみください!

そして今週末(日本時間では明日の早朝から!)には、ダブリンのテンプルバーで毎年開催されている「トラッド・フェス」が、今年はTradFest@homeという企画で配信ライヴからスタートするとのことで、こちらは有料配信なのでさっそく1日目のチケットをゲット!

1日目は、アンディさんとドーナル・ラニーに、アイルランドを代表するミュージシャンたちが加わってにぎやかな演奏になっている模様。
有料といっても4.99ユーロ(650円くらい)ですから、めちゃくちゃお値打ち!
3日間はアーカイブも観られるので、早朝に起きられるか心配する必要もなし(苦笑)。

配信後、アンディさんご本人がツイッターで以下のようにコメント。
Beware!! Dónal & me play only two songs with atrocious sound. Not worth it for our fans.
さらに
It wasn’t live, it was recorded weeks ago with plenty of time to mix our tracks with some semblance of professional ability.
とも。
ご本人さえ配信されるまでわからなかったとはいえ、ヒマールのおすすめでご覧になったみなさん、ごめんなさい!
すごく残念です。

2日目以降も、ダービッシュ、ホットハウス・フラワーズ、アルタンと豪華なライヴが続くので、全日購入したい!650円なら、それもできちゃう!!
“featuring three brilliant next generation stars of the Irish Trad and Folk scene.”という日もめっちゃ気になっております。
以前にアンディさんがドーナルさんとCOVID-19以降初めての配信ライヴに出演されたとき、一緒に出ていた若手ミュージシャンたちにすごい人がたくさんいたので、これは今後チェックしていかねば、と思ったのです。

TRAD FEST、一緒にたのしみましょうー!
https://tradfest.ie/events/

読書タイム

みなさんはどんなときに本を読んでいますか?

わたしは、むかーし電車通勤をしていた頃には電車の中で。
寝る前に布団の中で読んでいた時期もありましたが、ここ数年は読書にメガネが欠かせず、寝転がって読みにくくなったのでしていません。
じゃあいつ読んでいるかというと、集中して読むのは夜、風呂上がりから寝る前の時間。
あとは、わりとちょこちょこ読みをするようになりました。朝起きて5分、ごはんを食べて5分、店から帰って家のことをやる前に5分、みたいな感じで。

1冊だけに夢中になって読むこともあるけど、数冊を並行して読んでいることが多いです。
たとえばいまは、「アンの愛情」(モンゴメリ著/松本侑子訳)、「オーバーストーリー」(リチャード・パワーズ著/木原善彦訳)、「仕事の喜びと哀しみ」(チャン・リュジン著/牧野美加訳)の3冊を読んでいます。
ぜんぶ海外文学なのは偶々。「アンシリーズ」はちょこちょこ読みに最適で、ちょっとずつ読んでいますが、母から催促されているので先に渡そうか、と思っているところ。「オーバーストーリー」は去年の春〜夏に半分あたりまで読んでなんとなくストップしていたのを再開したところ。「仕事の喜びと哀しみ」は昨年末に出たばかりの新刊で、短編集なので少しずつ読みやすいのですが、おもしろいので続けて読んでしまいそう!

「1月の読むロバの会(オンライン読書会)」を開催中ですが、そろそろ2月の課題図書も考えないとなあという時期になりました。なににしよう。
1月の課題図書からのSFつながり? あるいは、韓国文学つながり? それとも、まったく別のジャンル?
どんな本が読みたいですか?
リクエストがあったら、知らせてください。

ヒライさんの音楽記録室

ちょうど一年前のきょうは、広島のOTIS!へリクオさんのライヴを観に行ったんだったなあと思い出す。一年よりもっと、むかしのことみたいに感じる。
3月にリクオさんのライヴをやることになっていたので、そのフライヤーを配らせてもらって、そこから何人もの人が3月のウチでのライヴも観に来てくださって、一緒に居酒屋で打ち上げもして、たのしかった。
それ以降、ライヴは観れていないし、やれていない。

配信でたくさんのライヴが観れるようになったことはすごく嬉しい。
いままで近くでライヴがなくて、なかなか観られる機会がなかった人のライヴも、配信で初めて観ることができた。世界中が同じ状況だから、海外のミュージシャンのライヴだって観れちゃう。すごい!サイコーだ!!
だけど、配信と生で観るライヴは、当然だけどやっぱり違う。
ライヴを観に行きにくい状況が続けば続くほど、配信を観られる喜びに、ライヴに行けないモヤモヤが覆いかぶさるようになってきた。
配信とライヴは別物。配信はライヴの代わりにはなれない。

いろんなミュージシャンが、いろんな試行錯誤をしながら配信をしている。
そんな中で最近、おー!これは、たのしいぞ!と観る前から直感したのが、ヒライマサヤさん(マーガレットズロース・The Old & Moderns・平井正也バンド・プリーズ!)の「ヒライ音楽記録室」という企画。
毎月1回の配信とソングブックの発行がセットになっている。配信はツイキャスで誰でも観られて、ソングブックを1口500円からの投げ銭で購入する。

このソングブックが昨日届いたのだけど、素晴らしいです! 配信で演奏した曲の、歌詞とコード譜、それを見て演奏する人のために「演奏のポイント」、その曲に関するエピソード、写真もたくさん入っている。すごくよくできていて、ギター超初心者のわたしも、すぐに弾いて歌ってみたくなる。1口500円で購入してしまったけれど、来月は2口以上にします!

楽譜を見ないでうたいたいから楽譜がない曲も多いというヒライさん。
最近、曲を覚えておけなくなってきているのだそう。
そういう話を聞くと、ソングブックには歌詞とコード譜が収録されているので口伝ではないのだけれど、伝承歌のようにわたしがこれを弾いて歌えるようになって広くのちのちまで伝えていかなくては!と、なぜか使命感すらおぼえてしまう。わたしのほうが年上なのを忘れ……。

今月から始まった企画で、初回の配信はこちら。ソングブックの購入はこちら
初回は「ぼくのためのうた」というテーマで選曲されていて、わたしは初めて聴く曲もありました。次回はどんな曲が聴けるのかなー。
次の配信は2月2日(火)20時〜(毎月第一火曜に配信予定)。
ヒライマサヤさんのツイキャスをチェックしてくださいね。おすすめ!

お知らせいろいろ

1月の店休日について

1月の日曜営業は、やらないことにしました。
なので、1月は土・日・月が店休日となります。
週末しかご来店いただけない方にはほんとうに申し訳ないのですが、オンライン読書会サバイバル・クッキングレシピで、少しでもおたのしみいただけましたら幸いです。

菓子工房ヴェールジョーヌのケーキの日

賞味期限が短いケーキ類をご予約優先で販売する「(シフォンの日改め)ケーキの日」。
今年も隔週くらいのペースでやっていきます。
現在ご予約を承っているのは以下のとおりです。
ご予約はいずれも
★それぞれの日の営業時間内(12〜18時)にご来店可能な方に限らせていただきます。
★それぞれの前々日の18時まで、店頭、電話(0827-29-0851)、メール(info@himaar.com)でお受けします。

1/28(木)チーズケーキ(冷蔵)税込1,000円
店の喫茶でお出ししていたチーズケーキが初登場!
当時から「持ち帰りたい」というご希望が多かったのですが、個包装でなかったためお応えすることができませんでした。
店内で食べることはできなくなってしまいましたが、こんどはおうちでぜひー。
・9cm四角。店でお出ししていた3個分相当。
・賞味期限は、当日を含め4日間。

2/11(木)ダブルチョコシフォン(常温)税込650円
キメが細かくふわふわなのにしっとりしていると人気のシフォンケーキ。
バレンタインの時期なので、ココア生地にチョコチップ入りの「ダブルチョコ」にしてもらいました!
・円柱の容器入り。たっぷり2人分くらいの大きさ。
・賞味期限は、当日を含めて2日間。

菓子工房ヴェールジョーヌのクッキーなどの焼き菓子は、そのときどきのラインナップで店頭にご用意しています。
いまは「バレンタインセット」「ケークギネス」などシーズン限定のものもありますので、ぜひ食べてみてくださいね!



初売り

ヒマールの店、きょうが初売りでした。
初売りといっても、福袋があるわけでもセールをやっているわけでもなく。
年末年始でせっせと模様替えをして売り場は奥までひろびろと広がりましたが、新入荷のものばかりが並んでいるというわけでもなく。
そんなかわりばえのしないヒマールに、きょうもご来店くださり、ほんとうにありがとうございました!
店に来てくださった方と、「寒いですねー」とか他愛もないことを一言二言おしゃべりするのが、ほんとうにたのしくてしみじみありがたい。
状況はよくならないどころか日々悪くなっていると感じられますが、しっかり気をつけて、できる限り、無理のない範囲で、なるべくふつうにやっていけたらいいなと、そう思っています。

本づくり 2021年1月その2

一昨日、ヒートウェイヴ・山口洋さんの本づくりの現在のようすをお伝えしましたが、きょうは並行してつくっている、もう1冊の本、アイルランド在住の写真家で料理家でエッセイストでもある、松井ゆみ子さんの本づくりについて、まずはこれまでのいきさつと、現在のようすを書いてみます。

ゆみ子さんとはふだんから頻繁にメールのやりとりなどをして、おともだちづきあいをしていただいてます。
一昨年(2019年)の夏頃でしたか、ヒマールの初出版となったアンディさんの本づくりを進めていた時期に、どちらからともなく「ゆみ子さんの本をヒマールから出しましょう!」という話になりました。その時点ではまだ原稿はひとつもなし! ざっくりと、料理のレシピとエッセイが半々くらいの本、というイメージをお互いにもってつくりはじめることにしました。

すぐに、ゆみ子さんから「こんなの書いてみた!」とタイトルをつけた短めのエッセイが続々とメールで送られてくるようになり、それがどれも毎回おもしろくって! 笑える話、じーんとする話、ゾクッとする話、軽い感じのもの、読み応えのある力作などなど。
このとき、わたしは完全にひとりの読者としてたのしんでいて、編集者として「こうしたら」「ああしたら」みたいな意識はほぼありません。読んで素直な感想や質問を送ると、それに反応してゆみ子さんが「こんなのも書いてみました!」「ちょっと書き直してみたから読んでみて〜」とまたエッセイを送ってくださる。わたしのためだけに書いてもらっているみたいで、超贅沢な気分でした!

そんなふうにたのしいやりとりを続けながら、全体の構成(章立てや収録順など)も相談しあいながら、そろそろ一冊にまとめられそう!というところで始まったのが、コロナ禍。去年の春に最初のロックダウン(アイルランドでは「コクーニング(巣ごもり)」と呼ばれていました)が始まって、この状況も書くべきなんじゃないか、と話し合った結果、本づくりは一旦ストップすることにして、ヒマールのサイト内でゆみ子さんのブログを始めました。そのことは年末にも書きましたので、ぜひお読みください!

じつは、この時期、ゆみ子さんにはコロナ禍による生活の変化と同時に、長く暮らした市街地から田舎の村のさらにはずれへのお引越しという環境の変化がありました。
2つの大きな大きな変化があったゆみ子さん、新たに書きたいことが出てくるのは当然です。実際、夏に本づくりを再開させてからもらう原稿がめちゃくちゃおもしろい! そこで「レシピとエッセイ半々ではなくて、今回はエッセイがメインの本にしませんか?」とご提案。
そうして、その後も名作や力作をたくさん受け取り、今度こそ、ついにまとめる段階に!

現在は、収録順を相談しあってほぼ決めたので、お互いにその順番で通して読み、原稿を整理しているところです。なにしろ一昨年の夏から長い期間をかけて書いていただいたものですから、あらためて通して読むと、お互いが見逃していた重複しているところや書き足したほうがよいところなど、見えてくることも多いのです。
これもまた、たのしい作業。ゆみ子さんとの作業は、いつだってなんだってたのしいのですけど!

わたしが「本づくりのブログを書き始めた」とお知らせしたら、なんと、ゆみ子さんが「本を書く側から」の文章を寄せてくださいました。

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本を書く側から。

 幸いなことに今までいくつか書籍を出版する機会を得て、さらに幸いなことに、何人もの優秀な編集の方たちと作業しました。
 1冊目は共著で、わたしは写真とイラストの担当でしたから、原稿を形にしていく過程を傍らで見学できたのはラッキーでした。
 2冊目はわたし個人の著書で、編集担当者は1冊目と同じ、コミュニケーションはばっちりとれていましたし、経験豊富なベテラン編集者なので、たくさん勉強させてもらいました。
 本作りをしてみるまで、本は書き手が作るものと思っていましたけれど、大きなまちがい。編集者なくして本はできないのです。当たり前のことなのですけど。原稿があっても、すぐに本ができるわけではないことは、すでに前回じゅんこさん(ヒマールの編集長。おともだちでもあるので、こうよばせていただいています)が詳しく書いているので割愛。

 編集者はいちばん最初の「読者」です。
 原稿をお渡しした後の反応はかなり気になるところ。書き手も様々ですから、何も気にせず書き続けていく方もいるのでしょうけど。自信ありの原稿ほど、反応が気になるものです。
 ここからは、ヒマールじゅんこさんへの賛美。
 原稿には即座に目を通し、すぐさま感想を送ってくれるのが、ものすごくありがたい。(って、無理しないでくださいね!)
 疑問点は率直に言ってくれるので、説明の足りなかった部分に気付けて、校正などの調整時期よりも前に手直しすることができます。

 大きな出版社には、校閲といって、文字の直しだけでなく、言葉の意味や文法的なことまでチェックする担当者がいて、粗忽なわたしはずいぶんと助けてもらいました。編集者が校正と校閲の二役を務めるときもあり、じゅんこさんはまさしくそんなオールラウンドプレーヤー。頼りにしています。
 ヒマールから出すわたしの新刊は、今までのエッセイ本よりも多く、アイルランドの歴史や文化に言及しているので、じゅんこさんの“Eagle eye”(アイルランドでは“鷹の目”とよばず、“ワシの目”)が重要な役割を務めます。

 本を作るのは至福の喜びで、こういう機会を得るのは、ほんとうにラッキーですし、光栄なことです。同時に責任も強く感じているので、充実した本をみなさんにお届けしたいと思っています。

 じゅんこ編集長、ひき続きよろしく!!

 松井ゆみ子

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ゆみ子さん、こちらこそ、引き続きよろしくお願いします!

松井ゆみ子さんの本づくり、山口洋さんの本づくり、ともに引き続きお伝えしていきますので、それぞれのつくり方の違いを、たのしんでいただけましたら幸いです!!

本づくり 2021年1月その1

しばらく店の模様替えに奮闘していましたが、12日からの初営業に間に合う目処がついたので、ここ数日はヒマールの出版業のほう、本づくりにも励んでいます。

去年初めての本を出版して以降、「本ってどうやってつくるの?」「編集ってどんなことをするの?」とよく聞かれるようになりました。わたしは以前も編集の仕事をしていたことがあるのですが、これがなかなか説明するのが難しい。一言で説明しづらいし、詳しく言おうとすると本ごとに違うのでまた難しい、と思ってしまうのです。
でも、そうして説明しないでいると、いつまでたっても「本をつくる」という仕事を知ってもらうことはできません。本づくりという仕事を知ってもらわないと、本をつくりたいと思う人もいなくなってしまうかもしれない。それは困る。
ので、まわりの人からのすすめもあって、これからヒマールの本づくりの過程をお伝えしていってみようと思います。あくまでも、本づくりの一例、ということになりますが。もし質問があったら、じゃんじゃんしてください!できるだけお答えしていきたいと思います。

さて、ヒマールではいま、2冊の本をつくっています。

1冊は、ヒートウェイヴの山口洋さんの本。
ソニー・ミュージックエンタテインメントが運営するWebメディア「エンタメステーション(現ワッツイントーキョー)」に昨年7月まで、3年7ヶ月に渡って書き続けられた連載を一冊にまとめようという企画です。
つまり、この本の場合、書き下ろし部分(ある予定です!)を除き、連載時の原稿がすでにあります。が、もちろん、そのまま印刷して本にすればいいというわけにはいきません。

webに限らず新聞や雑誌なんかでもそうですけど、連載というのは、アップされるそのときに、リアルタイムで読んでもらうことを前提に書かれています。なので、山口さんの連載にも、そのときそのときの社会の動きだったり開催されたばかりのイベントだったり、当時の空気感が含まれています。その空気感は、本にするときにも残したほうがいいものもあるし、本になったときにはピンとこないかもしれないものもあります。
それらをまず検討するのは編集の仕事のひとつ。
今回、この点でとてもありがたく幸いだなと思うのは、webでの連載の担当者だった村崎文香さんと圓城寺裕子さん、連載当時の空気感をもっともよく知るおふたりに、本でも編集チームとして携わっていただいていることです。
本に収録する順番を、連載順にするか並べ替えるか、全体の構成も検討していただいたり、登場するミュージシャンのプロフィールなど、webの場合は文字数制限がないので長かったり短かったりするまちまちなデータを書き直していただいたり、細かいことまで言うと、web上では改行や一行あきが多いほうが読みやすいのですけど本では逆にパラパラしすぎると読みにくくなってしまうので、一行あきのままにするところと、つめるところ、そんな判断もしていただいています。

こうした編集作業を進めてもらうために、まずはweb連載では横書きだった原稿を、本にするときの文字の組み方をおおよそ決めて縦書きにしました。これはブックデザインを担当するヒマール(夫のほう)が作業。横書きの文章を縦書きにする、これだけで、西暦や年齢など数字の表記、バンドやミュージシャン名、楽曲や単位などの英語表記をどうするか、という課題が生まれます。それらをどう表記するかのルール「組版ルール」を、あらかじめ編集チームと版元&デザイン担当のヒマールとで相談して決めました。これから刊行するまで、同じ原稿を何度も繰り返し読むので、先にルールを決めておいて読むたびに全員がチェックするほうが見落としも少なくなる、というわけです。

年明けの現在は、デザイン担当が縦書きに組み直した連載原稿の本文に、編集チームが手を入れて戻してくれたので、ふたたびデザイン担当がそれを反映させているところです。
デザイン担当は続いて収録する写真を選び、「ゲラ」と呼ばれる、本として印刷するかたちの原稿作成に入ります。

そして、もう1冊つくっているのは、松井ゆみ子さんの本。
つくり方は、山口さんの本とはまた全然違います。
続けて書こうかと思いましたが、すごく長くなってしまったので、また後日!

ヒマールの喫茶と飲食店のこと

今年は久しぶりの家族やともだちと集まる正月が叶わなかったので、3日から仕事をはじめています。

といっても、店の営業は12日から。
ではなにをしているのかというと、おもに店内の大々的な模様替えをしています。

昨春以降、喫茶席を利用される方には「30分くらいを目安に」とお願いしなければならなかったり、天井から布を垂らして店内を区切ったり、『臨時』の状態で営業を続けていることにずっともやもやしていました。
コロナ禍はもう嫌だけど、まだしばらくは続きそうです。ならば、感染の状況に左右されずに店を続けていける『通常営業』のかたちを見つけたい。
お客さんには、店内でのマスク着用はまだお願いせざるを得ないけれど、それ以外は、制限したり緊張させたりすることがなるべくないように、できるだけリラックスして過ごしてもらえるようにしたい。
それでいろいろと考えた結果、これまで「カフェ」としてヒマールをご利用くださっていた方にはとても心苦しいのですが、ヒマールの広い喫茶席をなくすことにしました。
喫茶は、引き続きテイクアウトはしてもらえますし、お買い物や通りかかったついでに飲み物を一杯飲まれるあいだ、腰掛けてもらえる椅子は置いてあります。ただ、お友達同士でお茶しながらゆっくりおしゃべりしたり、おひとりで勉強したり本を読んだり……という感じのご利用は、これでひとまず、していただけなくなります。すみません。
そのかわり、クラフトや本をはじめ、みなさんにご紹介するものをもっと充実させて、しっかり届けていきたいと思います。
展示会やトークイベント、ライヴもやっていきます。引き続き「ディスタンス」は必要でしょうから、陳列棚と陳列棚のあいだに椅子を並べていったらちょうどいい感じで、20人くらいまでのイベントならやれるなあと考えています。

ヒマールは飲食がメインの店ではないのでこういう軌道修正もできますが、飲食店はたいへんです。
ほとんどの飲食店は、すでにできる限りの感染予防対策のための努力と負担をしてきているんじゃないでしょうか。そこにさらに行政が時短要請などで営業に制限をかけるのなら、補償もするのが当然です。これ以上、店まかせにするのは無理だと思います。

店をやっていると、世の中にはいろいろな人がいる、ということが日々実感できます。新型コロナのことに関して言えば、ご家族や持病の関係ですごく気をつかっている方もいらっしゃれば、自分はまったく気にしていないという方もおられます。
ここで「自分はまったく気にしていない」という方にちょっとお願いがあります。
ヒマールに限らず、多くの店は感染予防対策をしています。どんなに店が気をつけていても、まったく気にしていない人が店内でまったく気にしていない行動をされれば、意味がなくなってしまうかもしれません。
ひとりの人にとっては自分だけのこと、店にいるあいだだけのことでも、その空間には、入れ違いにほかの人がたくさん来るということ、店の人はずっとそこにいるということを、どうか想像してみてください。

感染予防対策は店だけがするものではなくて、店とそこを利用する人が双方でするものだという意識をお互いに持てたら、もう少し状況はよくなるんじゃないかなあと感じています。
もちろん行政の補助もありつつで!こういうときのために税金納めてるんですからね。どんどん使ってくれていいですよー!!